6 / 8
隣りの芝で
しおりを挟む
「結奈ちゃーん」
「那智ちゃーん」
橋本さんの家の車が我が家の前で止まり、チャイルドシートのベルトを外して貰ったらしい結奈ちゃんが車の中から出てきた。
幼稚園でお別れ会をした以来、お引っ越しの忙しさからか?結奈ちゃんは幼稚園に登園して来なかった様だ。
娘は家でもずっと「寂しい寂しい」と言っていたので、芽衣子さんにメッセージを送り、お引っ越しされる時に我が家の前を通って欲しいと伝えたのだ。
息子を含めた子供3人は楽しそうに、最近張り替えた芝が漸く綺麗に生え揃った庭に、主人が子供の頃から植わっているヤマモモの木に取り付けたブランコに乗って遊んでいる。
そんな子供達の様子に目を細めながら、
「忙しいのに寄ってくれてありがとう。」
とお礼を言った私に芽衣子さんは、
「こちらこそ今まで色々ありがとう」
と返してよこした。
その顔は少しだけ不安そうだったけど、私ら敢えて何も言わかなった。
「そろそろ行くぞー!」
と、主人と話をしていた(主人と橋本さんのご主人とは、幼稚園の行事でよく一緒になっていた事で面識はある)橋本さんのご主人から声がかかり、結奈ちゃんは素直にそれに従った。
娘は私の元に走りよって来て
「ママ!クッキー」
と言う。それはさっき那智と一緒に焼いた結奈ちゃんへのお餞別。
「分かったわ。今持ってくるわね」
と、掃き出し窓から居間へと入ると、娘が一生懸命書いた手紙とクッキーを詰めた箱を持ち、それを娘に渡した。
「結奈ちゃん。これね。那智がママと焼いたクッキーなの。ばぁばのお家で食べてね。」
「ありがとう那智ちゃん。大切に食べるね。じぃじとばぁばにもあげて良い?」
「うん。………結奈ちゃん。那智……寂しいよー。えーん」
さっきからずっと、必死で涙を堪えていた娘だったが、とうとう涙腺が決壊し大泣きしてしまった。結奈ちゃんも貰い泣きをしてしまい、お互い抱き合って泣いていた。
本当に仲の良い友達との別れは、何歳でも辛いのだなぁと思っていると、
「ほら、那智?結奈ちゃんを離してやりなさい。お前が離れてやらないと、結奈ちゃんが新しいお家に行けないだろう?」
と主人が優しく娘に諭している。すると橋本さんのご主人も、
「那智ちゃんパパの言うとおりだぞ、結奈。結奈が離れてやらなきゃ那智ちゃんも離れられないだろ?」
と結奈ちゃんの目線に合わせてそう言い聞かせている。
娘は主人の言うとおり、結奈ちゃんは結奈ちゃんパパの言うとおり、互いの身体から離れる為腕を下ろした。そして
「那智、お手紙書くね。」
「うん、結奈も書く。」
「うん。結奈ちゃんは那智とずっとずっとお友達でいてね」
「うん。結奈、那智ちゃんとずっとずっとお友達でいるよ。」
「バイバイ、結奈ちゃん」
「うん…那智ちゃん、バイバイ。また遊ぼうね」
「うん!約束ね」
幼い仲良しの2人はもう一度だけぎゅっとと抱き合い、そして笑顔でさよならをした。
この街を出ていく結奈ちゃんの車が見えなくなる迄、
「バイバーイ。バイバーイ!結奈ちゃーん!バイバーイ!」
と大きく手を振っていた。
「那智ちゃーん」
橋本さんの家の車が我が家の前で止まり、チャイルドシートのベルトを外して貰ったらしい結奈ちゃんが車の中から出てきた。
幼稚園でお別れ会をした以来、お引っ越しの忙しさからか?結奈ちゃんは幼稚園に登園して来なかった様だ。
娘は家でもずっと「寂しい寂しい」と言っていたので、芽衣子さんにメッセージを送り、お引っ越しされる時に我が家の前を通って欲しいと伝えたのだ。
息子を含めた子供3人は楽しそうに、最近張り替えた芝が漸く綺麗に生え揃った庭に、主人が子供の頃から植わっているヤマモモの木に取り付けたブランコに乗って遊んでいる。
そんな子供達の様子に目を細めながら、
「忙しいのに寄ってくれてありがとう。」
とお礼を言った私に芽衣子さんは、
「こちらこそ今まで色々ありがとう」
と返してよこした。
その顔は少しだけ不安そうだったけど、私ら敢えて何も言わかなった。
「そろそろ行くぞー!」
と、主人と話をしていた(主人と橋本さんのご主人とは、幼稚園の行事でよく一緒になっていた事で面識はある)橋本さんのご主人から声がかかり、結奈ちゃんは素直にそれに従った。
娘は私の元に走りよって来て
「ママ!クッキー」
と言う。それはさっき那智と一緒に焼いた結奈ちゃんへのお餞別。
「分かったわ。今持ってくるわね」
と、掃き出し窓から居間へと入ると、娘が一生懸命書いた手紙とクッキーを詰めた箱を持ち、それを娘に渡した。
「結奈ちゃん。これね。那智がママと焼いたクッキーなの。ばぁばのお家で食べてね。」
「ありがとう那智ちゃん。大切に食べるね。じぃじとばぁばにもあげて良い?」
「うん。………結奈ちゃん。那智……寂しいよー。えーん」
さっきからずっと、必死で涙を堪えていた娘だったが、とうとう涙腺が決壊し大泣きしてしまった。結奈ちゃんも貰い泣きをしてしまい、お互い抱き合って泣いていた。
本当に仲の良い友達との別れは、何歳でも辛いのだなぁと思っていると、
「ほら、那智?結奈ちゃんを離してやりなさい。お前が離れてやらないと、結奈ちゃんが新しいお家に行けないだろう?」
と主人が優しく娘に諭している。すると橋本さんのご主人も、
「那智ちゃんパパの言うとおりだぞ、結奈。結奈が離れてやらなきゃ那智ちゃんも離れられないだろ?」
と結奈ちゃんの目線に合わせてそう言い聞かせている。
娘は主人の言うとおり、結奈ちゃんは結奈ちゃんパパの言うとおり、互いの身体から離れる為腕を下ろした。そして
「那智、お手紙書くね。」
「うん、結奈も書く。」
「うん。結奈ちゃんは那智とずっとずっとお友達でいてね」
「うん。結奈、那智ちゃんとずっとずっとお友達でいるよ。」
「バイバイ、結奈ちゃん」
「うん…那智ちゃん、バイバイ。また遊ぼうね」
「うん!約束ね」
幼い仲良しの2人はもう一度だけぎゅっとと抱き合い、そして笑顔でさよならをした。
この街を出ていく結奈ちゃんの車が見えなくなる迄、
「バイバーイ。バイバーイ!結奈ちゃーん!バイバーイ!」
と大きく手を振っていた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる