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鉢合わせ
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両親と華蓮との食事の時間はとても有意義で穏やかな時間だった。
華蓮のさり気ない両親への気配りや話の聞き方、嫌味を感じない受け答えに好感がもてる。
それに、会話の中で俺をきちんと立ててくれる事も忘れない。
俺の萌佳なら……
俺の可愛い萌佳だったら……
等と、以前だったら事ある事に萌佳の方が華蓮よりいいと思っていた。が、今はどうだ?まるっきり真逆の気持ちが俺の中にある。
華蓮はとても優しい女性だ。
頭の回転も早いし、行動力も洞察力もある。
何より、普段はクールなのだが、俺の両親に褒められると頬をうっすらとピンクに染め恥ずかしそうに笑う名前のとおり可憐な笑顔がとても印象深い。
こんな女性だったら…
こんな女性との結婚生活だったら、俺はいつも心穏やかでいられるのかもしれない。
華蓮とのやり取りを重ねる度に、そんな事を考える様になっていた。
「じゃあね、華蓮さん。またお食事しましょうね。」
「はい、奥様。今夜はありがとうございました。」
「もう。奥様だなんて水臭いわ。お義母様と呼んで頂戴な。」
「いえ。まだ……。」
「そういう奥ゆかしいところが、華蓮さんの素敵なところよね。本当に、早く呼んで貰いたいわ。」
「はい。」
母はそう言って華蓮を褒めちぎる。
そんな時……
「かずちゃん?」
俺の名を呼ぶ、少し甲高い声が後ろから聞こえた。
聞こえない振りをしていると、ヒールをカツカツいわせながら萌佳の足音が近づいてくる。
「ねぇ!かずちゃんよね?ちょっと何シカトしてんのよ!!」
萌佳の怒鳴り声が聞こえ、俺は恐る恐る振り返る。と、そこには鬼の形相をした萌佳が仁王立ちしていた。
「一紀?其方の方は?」
空気を読まない母が声をあげた。
「てか、その女って誰よ?かずちゃん。」
母よりもっと空気が読めない萌佳が声をあげる。
ヤバい!!このままじゃ俺の計画が全ておじゃんになってしまう。
どうこの場を乗り切ろうかと頭の中で考えるが、妙案が浮かばない。
「はじめまして。私、末本一紀さんの婚約者の柿沼華蓮と申します。失礼ですが、貴女様は一紀さんとどのようなご関係ですか?」
華蓮が臆する事無く萌佳に話しかけた。
「え?えと…萌、あたしはかずちゃんの「あ~、分かりました。以前一紀さんからお聞きしたことがあります。」え?」
「貴女のその格好は、夜のお仕事の方でしょう?」
「あ……あ、は、い。」
「一紀さんが私と婚約する前に通っていらしたお店で、とても親身になって話を聞いてくれた優しい女性がいた、と。その方に癒してもらっていたそうで。それが貴女ですか?」
「あ。そ、そうです。」
「その節はありがとうございました。一紀さんの事は私が幸せにします。もうお店に行くことはないと思いますので、一紀さんの連絡先を消しておいて下さいますか?」
「え?えと…「それから、こんな時刻にこんな場所にいても大丈夫なのですか?私は、貴女がいらっしゃる世界に関して疎いので詳しい事は分かりませんが、貴女に会いに既にお店にいらっしゃるお客様が、既にお待ちなのではないでしょうか?」」
「貴女達のお仕事は、お客様に夢を与えるお仕事かと思います。お客様の為にさぁ!」
と華蓮はこの場から離れなさいと言わんばかりに、右手を横に動かした。
そして、俺達の方を見ると、
「お義父様。お義母様。こんなところに長居をしては体に毒です。帰りましょうか。」
「そ、そうね、華蓮さん。華蓮さんの言うとおりだわ。あなた、帰りましょうか。」
「あぁそうだね。ほら、一紀も帰るぞ。」
父に促され、母と俺と華蓮は萌佳を背を向け帰路に着いた。
萌佳が何か後ろで言っている声が聞こえたが、無視をしたままで……。
華蓮のさり気ない両親への気配りや話の聞き方、嫌味を感じない受け答えに好感がもてる。
それに、会話の中で俺をきちんと立ててくれる事も忘れない。
俺の萌佳なら……
俺の可愛い萌佳だったら……
等と、以前だったら事ある事に萌佳の方が華蓮よりいいと思っていた。が、今はどうだ?まるっきり真逆の気持ちが俺の中にある。
華蓮はとても優しい女性だ。
頭の回転も早いし、行動力も洞察力もある。
何より、普段はクールなのだが、俺の両親に褒められると頬をうっすらとピンクに染め恥ずかしそうに笑う名前のとおり可憐な笑顔がとても印象深い。
こんな女性だったら…
こんな女性との結婚生活だったら、俺はいつも心穏やかでいられるのかもしれない。
華蓮とのやり取りを重ねる度に、そんな事を考える様になっていた。
「じゃあね、華蓮さん。またお食事しましょうね。」
「はい、奥様。今夜はありがとうございました。」
「もう。奥様だなんて水臭いわ。お義母様と呼んで頂戴な。」
「いえ。まだ……。」
「そういう奥ゆかしいところが、華蓮さんの素敵なところよね。本当に、早く呼んで貰いたいわ。」
「はい。」
母はそう言って華蓮を褒めちぎる。
そんな時……
「かずちゃん?」
俺の名を呼ぶ、少し甲高い声が後ろから聞こえた。
聞こえない振りをしていると、ヒールをカツカツいわせながら萌佳の足音が近づいてくる。
「ねぇ!かずちゃんよね?ちょっと何シカトしてんのよ!!」
萌佳の怒鳴り声が聞こえ、俺は恐る恐る振り返る。と、そこには鬼の形相をした萌佳が仁王立ちしていた。
「一紀?其方の方は?」
空気を読まない母が声をあげた。
「てか、その女って誰よ?かずちゃん。」
母よりもっと空気が読めない萌佳が声をあげる。
ヤバい!!このままじゃ俺の計画が全ておじゃんになってしまう。
どうこの場を乗り切ろうかと頭の中で考えるが、妙案が浮かばない。
「はじめまして。私、末本一紀さんの婚約者の柿沼華蓮と申します。失礼ですが、貴女様は一紀さんとどのようなご関係ですか?」
華蓮が臆する事無く萌佳に話しかけた。
「え?えと…萌、あたしはかずちゃんの「あ~、分かりました。以前一紀さんからお聞きしたことがあります。」え?」
「貴女のその格好は、夜のお仕事の方でしょう?」
「あ……あ、は、い。」
「一紀さんが私と婚約する前に通っていらしたお店で、とても親身になって話を聞いてくれた優しい女性がいた、と。その方に癒してもらっていたそうで。それが貴女ですか?」
「あ。そ、そうです。」
「その節はありがとうございました。一紀さんの事は私が幸せにします。もうお店に行くことはないと思いますので、一紀さんの連絡先を消しておいて下さいますか?」
「え?えと…「それから、こんな時刻にこんな場所にいても大丈夫なのですか?私は、貴女がいらっしゃる世界に関して疎いので詳しい事は分かりませんが、貴女に会いに既にお店にいらっしゃるお客様が、既にお待ちなのではないでしょうか?」」
「貴女達のお仕事は、お客様に夢を与えるお仕事かと思います。お客様の為にさぁ!」
と華蓮はこの場から離れなさいと言わんばかりに、右手を横に動かした。
そして、俺達の方を見ると、
「お義父様。お義母様。こんなところに長居をしては体に毒です。帰りましょうか。」
「そ、そうね、華蓮さん。華蓮さんの言うとおりだわ。あなた、帰りましょうか。」
「あぁそうだね。ほら、一紀も帰るぞ。」
父に促され、母と俺と華蓮は萌佳を背を向け帰路に着いた。
萌佳が何か後ろで言っている声が聞こえたが、無視をしたままで……。
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