は?勝手に召喚しといてそれですか?

Saeko

文字の大きさ
31 / 64
第3章 聖女の力と幸せな時間

聖女はお仕事致します

しおりを挟む
「お久しぶりです、カルディール侯爵夫人。その後お加減は如何ですか?」

私は今、カルディール侯爵夫人ナーデリア様の寝室にお見舞いに来ている。
部屋には、夫人の夫であるマハディ=カルディール侯爵閣下と、リューベック様。そして、侯爵家の執事とナーデリア様付きの侍女長がいた。

夫人は、酷い肺炎の症状は治ったようだが、呪いのせいだろうか、まだベッドから出られない様だった。

「マコ様に診て頂いてから、だいぶ良いのよ?少し咳が出るくらいかしら。」

と綺麗な笑顔を見せては下さるが、やはりそのお顔は健康的な顔色では無かった。

「それは良かったです。………あの…カルディール侯爵夫人。今日はお話があって参りました。」

ナーデリア様は、ちょっと首をかしげたが、私の声のトーンと表情で何かを察してくれたのか

「お聞きするわ。」

と真剣な顔で答えてくれた。

「夫人は【魔女ランディルの呪い】についてご存知でしょうか?」

「………… ええ。」

「ご自覚がお在りでは?」

「…………ええ。あるわ。」

「母上!」

「ナーデリアよ!!それは真か?」

驚くリューベック様と侯爵閣下。
だが、夫人は静かに話し出した。

「ええ。この侯爵家に嫁ぐ際、両親から呪いの事は聞きましたわ。」

「なっ…なんと……。」

絶句する閣下の手を取られ、夫人は

「ですが、私は閣下をお慕いしておりましたので、覚悟を決めて侯爵家に嫁いで参ったのです。」

おっしゃった。

「そ…そうだったのか。すまぬ。ナーデリアよ。」

「いいえ、いいえ閣下。謝らないで下さいませ。私はとても幸せなのです。閣下のお子を3人ももうけ、その子らも皆立派になってくれましたから。」

そう仰った夫人の表情は、心からそう思っているのだろう。本当に幸せそうだった。

だから私も…覚悟を決めた。

「夫人のお身体は、今もその【呪い】に侵されています。先日迄の症状もそれが引き起こしたものです。」

「やはりそうでしたか。」

「はい。」

「マコ様?私はいつまで生きていられますの?」

「はっ…母上!何を!」

冷静に話す夫人に、リューベック様が驚愕きょうがくの声をあげる。

「良いのですリューベック。覚悟は出来ているのですから。」

にっこりと笑みを見せる夫人に、母親の強さと愛情を感じる。

「夫人。ではその覚悟を今、お見せ頂けますか?」

「マコ!そなた何を!」

カルディール侯爵閣下が、慌てて私を止めようとする。が、それを夫人は手で制する。

「分かりましたわ。マコ様。宜しくお願い致します。」

そう言って頭を下げられた夫人の肩は、微かに震えていた。

(怖いよね。私だって怖いんだもん。でも……絶対成功させてみせるから。だから女神様!協力宜しく!!)

私はにこっと微笑んで、右手で夫人の手をぎゅっと握り、左手で胸元のペンダントを触った。

「古より続きし【魔女ランディルの呪い】よ。女神イズールの名の元、この者の身体より現れい出よ!」

すると、夫人の口から真っ黒な塊が現れ、私の前に対峙する。
私はすかさずそれを聖結界の中に閉じ込めた。

夫人が意識を失い、そのままベッドに倒れたのをご覧になった閣下とリューベック様が、夫人を助け起こそうとする。

「ナーデリア!しっかりするのだ!!」

「母上!!」

「夫人は大丈夫です。一時的に気を失っているだけです。それより、私から離れていて下さい!誰も近づいてはいけません!!」

私の強い口調にいち早く反応した、夫人を抱く閣下を守る様に立つリューベック様を見やった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

処理中です...