どうぞお好きになさいませ

第1章 田舎貴族と呼ばれた令嬢、婚約破棄される

第3話 貴族学院

そうですわ！丁度良いので、私わたくしが通う貴族学院の事について、少しだけ触れておきましょうか。
私わたくし達、貴族の子息令嬢のみが通えますこの学院には、先程お話致しました騎士科の他に、文官科・淑女科・薬師科・領地経営科・帝王学科（此方は王族の方々だけですわね）がございますの。

学院では先ず、一年生は全員普通科といわれる科で同じ勉学をし、二年生からそれぞれが希望致します科に別れますの。

私わたくし達貴族社会に於いて、次期当主は嫡子が継ぐのが当然の事ですので、次男三男の子息は文官になったり騎士になったり、また令嬢はそれ相当の殿方の元へと嫁いだり、高位貴族のお屋敷で侍女になったりと、それぞれが家を離れ、自立するのが当たり前なんですのよ。
ですので、あとを継げない子息令嬢は、この学院で自身で生きていく為の"術”を得るのですわ。

私わたくし自身は、領地経営科に進みましたの。
何故か？ですって？
それはでございますが、学院に入学する前から婚約者がおりました私わたくしは、当初淑女科に進もうと思っておりましたの。
ですが、一年生の途中で入学して来られた成金男爵令嬢マーガレット様に一目惚れをなさったアルフレッド様が、婚約者である私わたくしを蔑ろになさい始めましたので、とっとと選択を変更いたしましたのよ。

え？お前は領地も爵位も継げないだろう？でございますか？
その心配はご無用ですわ。何故なら私わたくし、学院卒業後にやりたい事がございますもの。
アルフレッド様との婚約が決まってしまいましたので、諦めておりましたが、私わたくしとの婚約を破棄される事は確定の様ですので、卒業後には心置き無くやりたい事それに打ち込めるという事ですわね。

う～ん。楽しみですわ～。

早く卒業式が来てくれませんでしょうか。そして早く婚約破棄して下さる事をお待ちしておりますわね、アルフレッド様。

でもまぁ、アルフレッド様は卒業出来ず、式にも出られないのかもしれませんけれども。

因みにそのアルフレッド様でございますが、彼は次男で爵位が継げませんので文官科に在籍なさっておられ、彼の愛しの成金男爵令嬢マーガレット様は淑女科に在籍なさっておられますの。
とはいえ、先程来申し上げておりますとおり、お二人は、講義は自主休講気味、課題も未提出気味、おまけに試験はと申しますと、低空飛行を保っておられるご様子。
今時点（卒業式一ヶ月前）に於いて卒業試験にも受かっておられないとお聞きしておりますので、どうなさるおつもりなのでしょうか……。
もしかするとではございますが、学院初の・・留年生になられるのかもしれませんわね。

何いずれに致しましても、どうぞお好きになさいませ。でございますけどもね。