8 / 130
第1章 異世界召喚
6
しおりを挟む
僕達は勇を先頭に、順にクリスタルに触っていった。
クリスタルの反応での判定結果は次のとおりだ。
【勇者】相田 勇 Lv.10 HP 300/300 MP100/100 魔法スキル/火属性
【賢者】田代 賢 Lv.10 HP 100/100 MP150/150 魔法スキル/風属性
【魔法使い】 中山 昴Lv.10 HP 100/100 MP300/300 魔法スキル/水属性
【聖女】 西山 愛子 Lv.5 HP 100/100 MP500/500 魔法スキル/光属性
【戦士】中島洋平 Lv.2 HP 50/50 MP 0/0 魔法スキル/無し
【僧侶】 寺田 昭弘 Lv.10 HP 100/100 MP100/100 魔法スキル/木属性
「俺が勇者。ま、当然だな。」
「私は賢者ですか……。まぁ賢明な人選ですね。」
「僕は魔法使いかぁ。ま、いいや。ちょっと面白そうだからね。」
勇 賢 昴が自分のステータスや属性の判定に対して満足しているのに対し、
「え?愛子、聖女様なの?マジ?キャー!やったぁ~。ね?ね?王子さま~。愛子聖女様だよ~。」
と、王子に抱き着きに行こうとする愛子だったが、騎士達に止められ
「もぉ~なによぉ。愛子は聖女様なのよぉ~。聖女様は~、王子様と結婚する運命なんだからね~。」
と、頬を膨らめていた。
一方、Lv2の戦士判定になった中島は、
「俺がLv2だって?そんな事有り得ないだろう!もう一回やらせろ~!!」
と吠え、僧侶判定の寺田は、
「僕の方が賢者に相応しいと思うんだよな。田代なんかより僕の方が博識なのに……。」
と不満タラタラだった。
そんな彼等を横目で見ながら、僕はクリスタルに手を乗せると……
【平民】渡瀬 望 Lv.1 HP 10/10 MP10/10 魔法スキル/無し ユニークスキル/鑑定・付与
と出た。それを見た勇が
「おい、皆。見ろよ!渡瀬のヤツ、Lv1で魔法スキル無しとかどんだけだよ。」
と言って笑うと、
「本当ですね。まさかアノ中島先輩より劣るとは……。」
と賢は肩を揺らし、
「MP10とかってゴミじゃん。魔法なんてぜぇったい使えないよね。渡瀬、可哀想。」
と昴もケラケラと笑っている。
「まぁ、お前よりマシな判定だから、僕もこれで良しとするか。」
と、自分より結果が悪かった望を嘲笑う寺田。
彼等の中には、誰も望を励ましたり慰めたりする者はいなかった。
「では、皆様には、これより魔物討伐に向けた訓練を受けて頂きます。勇者の勇様はあちら、賢者の賢様はこちら。昴様は……、寺田様は……」
と司祭が次々に訓練へ向かう場所を指示していく。
そして残った僕の前に立つと、
「望様は平民でしたので、討伐隊ではなく、市井に下りて頂き平民として暮らして頂きます。」
と言った。それから、
「こちらは陛下からのご温情でございます。当面の生活資金としてお使い下さい。」
と言って銀貨と銅貨が入った小さい麻袋を渡してきた。
そこで僕は
「あのぉ。一つだけ教えて欲しいのですが…。」
とずっと疑問に思っていた事を司祭にぶつける事にしたんだ。
「何でしょう、望様。」
人の良さそうな笑みを浮かべながら司祭は言う。
「此処に召喚される前に、僕達の世界で、地震が起きました。あれって召喚に関係があった事なんですか?」
と聞くと、
「異世界から人を呼び寄せる時には、時空を曲げる必要がございます。私や他の司祭の者と共同で魔法陣を構築し、召喚を行うのでございますが、その際どうしても、多少ではありますが、召喚される側の世界の地盤が揺れてしまうのでございます。」
と答えてくれた。
(あの揺れは、全然多少じゃなかったけどな。)と思ったが、僕は敢えて口にはしなかった。どうせ僕は此処から追い出される身なのだから、言っても無駄だと思ったからだ。
黙り込んだ僕に、
「では、望様。お元気で。」
と言いながら司祭が右手をサッとあげると、二人の騎士が僕の両脇をガシッと持ち、半ば引ずる様に大広間から連れ出した。
長い長い廊下を、騎士二人が僕の両脇にピタリとくっついたまま無言で歩く。多分この建物の出口迄誘導されるのだろう。
暫く歩くと、目の前に大きな扉が現れた。騎士二人がそれを開き、その1人が僕に向かって、
「このまま真っ直ぐ進むと城の門があります。前の道を左に進むと貴族街、右に進むと平民達が暮らす平民街があります。どうぞお元気でお暮らし下さい。」
と無表情ながらも優しく教えてくれた。そしてもう1人の騎士は、
「これは魔石です。貴方の様に魔力が無い人でも、これがあれば魔物から貴方を護ってくれます。どうそお持ち下さい。」
と、僕に赤い石の様な物を一つくれた。
「ご親切に有難うございます。お二人も魔物討伐に行くのでしょうが、くれぐれもお気をつけ下さい。では、さようなら。」
そう言って、僕は後ろを振り向く事無く真っ直ぐ歩き出したんだ。
「とりあえず、腹ごしらえだよな。」
と脳天気に言って、見知らぬ世界に放り出された不安を頭から追い出す事にして。
クリスタルの反応での判定結果は次のとおりだ。
【勇者】相田 勇 Lv.10 HP 300/300 MP100/100 魔法スキル/火属性
【賢者】田代 賢 Lv.10 HP 100/100 MP150/150 魔法スキル/風属性
【魔法使い】 中山 昴Lv.10 HP 100/100 MP300/300 魔法スキル/水属性
【聖女】 西山 愛子 Lv.5 HP 100/100 MP500/500 魔法スキル/光属性
【戦士】中島洋平 Lv.2 HP 50/50 MP 0/0 魔法スキル/無し
【僧侶】 寺田 昭弘 Lv.10 HP 100/100 MP100/100 魔法スキル/木属性
「俺が勇者。ま、当然だな。」
「私は賢者ですか……。まぁ賢明な人選ですね。」
「僕は魔法使いかぁ。ま、いいや。ちょっと面白そうだからね。」
勇 賢 昴が自分のステータスや属性の判定に対して満足しているのに対し、
「え?愛子、聖女様なの?マジ?キャー!やったぁ~。ね?ね?王子さま~。愛子聖女様だよ~。」
と、王子に抱き着きに行こうとする愛子だったが、騎士達に止められ
「もぉ~なによぉ。愛子は聖女様なのよぉ~。聖女様は~、王子様と結婚する運命なんだからね~。」
と、頬を膨らめていた。
一方、Lv2の戦士判定になった中島は、
「俺がLv2だって?そんな事有り得ないだろう!もう一回やらせろ~!!」
と吠え、僧侶判定の寺田は、
「僕の方が賢者に相応しいと思うんだよな。田代なんかより僕の方が博識なのに……。」
と不満タラタラだった。
そんな彼等を横目で見ながら、僕はクリスタルに手を乗せると……
【平民】渡瀬 望 Lv.1 HP 10/10 MP10/10 魔法スキル/無し ユニークスキル/鑑定・付与
と出た。それを見た勇が
「おい、皆。見ろよ!渡瀬のヤツ、Lv1で魔法スキル無しとかどんだけだよ。」
と言って笑うと、
「本当ですね。まさかアノ中島先輩より劣るとは……。」
と賢は肩を揺らし、
「MP10とかってゴミじゃん。魔法なんてぜぇったい使えないよね。渡瀬、可哀想。」
と昴もケラケラと笑っている。
「まぁ、お前よりマシな判定だから、僕もこれで良しとするか。」
と、自分より結果が悪かった望を嘲笑う寺田。
彼等の中には、誰も望を励ましたり慰めたりする者はいなかった。
「では、皆様には、これより魔物討伐に向けた訓練を受けて頂きます。勇者の勇様はあちら、賢者の賢様はこちら。昴様は……、寺田様は……」
と司祭が次々に訓練へ向かう場所を指示していく。
そして残った僕の前に立つと、
「望様は平民でしたので、討伐隊ではなく、市井に下りて頂き平民として暮らして頂きます。」
と言った。それから、
「こちらは陛下からのご温情でございます。当面の生活資金としてお使い下さい。」
と言って銀貨と銅貨が入った小さい麻袋を渡してきた。
そこで僕は
「あのぉ。一つだけ教えて欲しいのですが…。」
とずっと疑問に思っていた事を司祭にぶつける事にしたんだ。
「何でしょう、望様。」
人の良さそうな笑みを浮かべながら司祭は言う。
「此処に召喚される前に、僕達の世界で、地震が起きました。あれって召喚に関係があった事なんですか?」
と聞くと、
「異世界から人を呼び寄せる時には、時空を曲げる必要がございます。私や他の司祭の者と共同で魔法陣を構築し、召喚を行うのでございますが、その際どうしても、多少ではありますが、召喚される側の世界の地盤が揺れてしまうのでございます。」
と答えてくれた。
(あの揺れは、全然多少じゃなかったけどな。)と思ったが、僕は敢えて口にはしなかった。どうせ僕は此処から追い出される身なのだから、言っても無駄だと思ったからだ。
黙り込んだ僕に、
「では、望様。お元気で。」
と言いながら司祭が右手をサッとあげると、二人の騎士が僕の両脇をガシッと持ち、半ば引ずる様に大広間から連れ出した。
長い長い廊下を、騎士二人が僕の両脇にピタリとくっついたまま無言で歩く。多分この建物の出口迄誘導されるのだろう。
暫く歩くと、目の前に大きな扉が現れた。騎士二人がそれを開き、その1人が僕に向かって、
「このまま真っ直ぐ進むと城の門があります。前の道を左に進むと貴族街、右に進むと平民達が暮らす平民街があります。どうぞお元気でお暮らし下さい。」
と無表情ながらも優しく教えてくれた。そしてもう1人の騎士は、
「これは魔石です。貴方の様に魔力が無い人でも、これがあれば魔物から貴方を護ってくれます。どうそお持ち下さい。」
と、僕に赤い石の様な物を一つくれた。
「ご親切に有難うございます。お二人も魔物討伐に行くのでしょうが、くれぐれもお気をつけ下さい。では、さようなら。」
そう言って、僕は後ろを振り向く事無く真っ直ぐ歩き出したんだ。
「とりあえず、腹ごしらえだよな。」
と脳天気に言って、見知らぬ世界に放り出された不安を頭から追い出す事にして。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
そんなに義妹が大事なら、番は解消してあげます。さようなら。
雪葉
恋愛
貧しい子爵家の娘であるセルマは、ある日突然王国の使者から「あなたは我が国の竜人の番だ」と宣言され、竜人族の住まう国、ズーグへと連れて行かれることになる。しかし、連れて行かれた先でのセルマの扱いは散々なものだった。番であるはずのウィルフレッドには既に好きな相手がおり、終始冷たい態度を取られるのだ。セルマはそれでも頑張って彼と仲良くなろうとしたが、何もかもを否定されて終わってしまった。
その内、セルマはウィルフレッドとの番解消を考えるようになる。しかし、「竜人族からしか番関係は解消できない」と言われ、また絶望の中に叩き落とされそうになったその時──、セルマの前に、一人の手が差し伸べられるのであった。
*相手を大事にしなければ、そりゃあ見捨てられてもしょうがないよね。っていう当然の話。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる