バトロワゲーヲタの異世界無双物語

第二章 異世界での生活

7

ルードリッヒさんの注文を受けてから（爺さんに押し付けられたともいう）というもの。ケイドル爺さんの店は、連日多くのお客さんで賑わうようになっていた。
何故なら、ルードリッヒさんが店の事を口コミで広げてくれたからだ。
『ケイドル爺さんとこの店には、凄腕の鑑定士がいる。そいつは鑑定をしながら、その武器に対して最適な魔石を付けてくれるんだ。勿論。ケイドル爺さんが作る武器は最高級品だ！』といった具合だ。

あとから爺さんから聞いたんだけど、ルードリッヒさんはなんと！【A級ランク冒険者】で、今までも高ランクの魔獣をガンガン倒した実績があるんだそうだ。
そんな人が店の宣伝をしてくれた事で、ケイドル爺さんの店に訪れる冒険者がひっきりなしに来て予約をしてくれる為、僕は必死で接客をする毎日を過ごしていた。
本当は、爺さんの手伝いをしながら、魔銃を作りたいと思っていたんだけど、なかなかその時間は取れない状態だった。

そんなある日
朝から大賑わいだった店内から、やっとお客さんが居なくなった時、ケイドル爺さんが、武器を飾ってある商品棚からあの魔銃を取り僕に手渡してきたんだ。
「え？爺さん？」
と戸惑いながら爺さんの行動の理由を聞く僕に、
「のぞむは本当は、この魔銃を作りたいんだろ？」
と言う爺さん。
「え？何で知って……。」
「ふとした時に、のぞむはいつもこの銃を見とるだろうが。」
（僕はそんなに見ていたのか。この銃を。）とケイドル爺さんに渡された魔銃をじっと見ていると、突然僕の鑑定スキルが発動した。
銃の構造は、爺さんから前に聞いたとおり、元の世界の銃のグリップに埋め込まれてる魔石に魔力を流し、シリンダーにあたる部分に魔力を溜める。溜まった魔力は、トリガーを引く事で圧縮された魔力が銃弾の様に銃口から発射され魔獣を倒すといったものだ。
（この程度の銃身の長さでも射程距離が3kmなら、ライフルくらい長い銃身にしたら、距離も2倍位伸びるのかな？いや待てよ？魔力って、ずっと圧縮された状態でいられるのか？いや寧ろ散弾銃みたいになればいいかもしれない。散弾銃みたいだと、いざ魔獣に対しての殺傷能力は劣るかもしれないけど……。）
と妄想が止まらなくなっている僕の顔を見ていた爺さんが、
「そいつはのぞむにやる。じっくり研究して、いつかのぞむの様に魔力が無い者でも扱える魔銃をつくってみてくれないか？」
と言ってくれた。

僕は爺さんにお礼を言ってその銃を大事に鞄にしまうと、胸をワクワクさせながらノートに思いついた事を書き付けた。そしてまた、来店したお客さんの対応を始めたんだ。

後にこの、"魔銃を作る”という気持ちが、僕を冒険者への道へと進ませる事になるとは、この時の僕には想像もしていなかったんだ。