バトロワゲーヲタの異世界無双物語

第二章 異世界での生活

6

その次の日から
僕はドアーフの髭オヤジ━もとい  ケイドル爺さんの店に通い続けた。

ケイドル爺さんは、少しずつではあったが、僕に剣の事を教えてくれるようになり、助手の様な事もさせてくれる様になった。


そんなある日。
僕は爺さんに強引に頼まれて、店番をする事になった。

爺さんは、武器の材料や魔石の買い付けの為、冒険者ギルドに行かなければならないのだが、その日は剣を受け取りに来るお客さんが来店する予定だった為、どうしても店を閉められない。
そこで僕に店番を頼んできた。
コミュ障の僕がいくら「接客なんて出来ない！」と言っても、爺さんは「剣これを渡してお代を頂くだけだ。」と言って引いてくれない。
仕方なく僕は、爺さんの頼みを引き受け、店番をする事にしたんだ。

店番を始めて少しすると、爺さんが言ってたお客さんと思おぼしき大男がのっしりと店に入ってきた。
「ケイドルの爺さんは？」
と大男に聞かれ、
「ケイドル爺さんは留守にしています。あの……。貴方のお名前をお聞きしても……。」
と怖々聞くと、
「俺の名前はルードリッヒだ。爺さんに頼んでいた剣ブツを受け取りに来たんだが……。」
と言って、ウエストポーチのようなものの中から一枚の紙を見せてきた。
それは、爺さんが言っていた武器の引き換え券だった。
僕はその券を「券、お預かり致します。少々、お、お待ち……下さい。」と言ってルードリッヒさんから受け取り、教えられていた武器庫の鍵を開けると、引き換え券の名前が依頼された武器商品と同じサインか？を確かめてから、両手で大事に抱え、ルードリッヒさんに渡した。
「こちらでお間違えはございませんか？」
と尋ねると、ルードリッヒさんは鞘さやから剣をスラッと抜き、念入りに確かめをしたんだ。
「如何ですか？」
と聞いた僕にルードリッヒさんは、
「うん。間違いない。依頼通りだ。」
と言って満足気だった。
それから、料金の支払いをしてくれたルードリッヒさんは、
「悪いが坊主。爺さんに、見て貰いたい物があるんだが。」
そう言って僕の前に一本の剣を置いた。
その剣を見た僕は、
「とても良い剣ですが、何かが……。あぁ！分かりました。この剣と、こちらに埋め込まれてる魔石との相性が合わないのかもしれませんね。」
と言って、僕はその剣のグリップに埋め込まれてる魔石を指した。
「相性？」
「はい。この剣は元々獣系の魔獣に特化した剣なのですが、此処に埋め込まれてる魔石は水属性なんです。確かに水に弱い獣系の魔獣もいますが、どちらかと言えば火属性の魔石の方が良いかと思います。獣は火が苦手ですからね。」
と言うと、ルードリッヒさんは
「坊主。お前。なんて凄いやつなんだ。よし！ならこの剣は坊主に預けるから、この剣に相応しい魔石を入れてくれ！」
そう言って僕に剣を押し付けて来たんだ。
「ぼ、僕は……。た、ただの店番なので……。」
と必死で断るも、
「良いじゃないか、のぞむ。」
とタイミング良く（？）店に帰ってきたケイドル爺さんの言葉で、僕はその剣の修繕をする事になってしまったんだ。