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第二章 異世界での生活
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その後なんとか部屋に戻った洋平だったが、部屋にいた侍女達が一新されているのを見てとても驚いた。
なんとそこには、昨日まで世話をしてくれていた若く綺麗な侍女達では無く、彼女達の母親くらいの年齢の女性達がデーンと構えていたからだ。
「これから私達が、戦士様のお世話をさせていただきますわ。さぁ!先ずはその残飯が腐った様な悪臭を放つ身体を隅々まで洗わせて頂きますわね。」
と言って、洋平が着ていた物を引っ剥がす。
と、途端に露になってしまった裸体を侍女達に見られた洋平は、手で自身の身体を隠そうとするも、
「あらあらまぁまぁ。随分と若い侍女達に対して偉そうにしていらしたわりに、お粗末なピーーーでいらっしゃいますこと。」
と侍女の一人が洋平のモノを見て嘲笑する。と、他の侍女も
「ソコからも強烈な臭いが致しますわね。洗い甲斐がありますわ。」
と指をバキバキと鳴らしている。
身の危険を感じた洋平は、脱兎の如く逃げようとするも、何故か侍女達に捕まえられ湯殿へ強制連行された。そして、侍女達が手にしていた物を見て洋平は固まってしまったのだ。
彼女達の手には、たわしというか?糸瓜というか?兎に角、そんな様な物で身体を洗われたら痛みを感じるに決まっているだろうと思われる物が握られていたからだ。
「お、おい!や、や、止めろ!!お、俺は戦士様なんだ!異世界から来た救世主様なんだぞ!」
と、手で迫り来る侍女達を防ごうとするも、徒党を組んだ彼女達は知らん顔。寧ろ好戦的な視線を向けられるだけだった。
そして彼女達はそれ等を使用し、容赦なくゴシゴシと洋平の身体を擦り、身体中の垢を剥がそうとしている。長年、風呂に入るのは数日に一回の割合でしかなく、しかも超おざなりな入り方をしていた洋平の身体には、長年に渡り蓄積された垢で、全身が黒ずんでいた。その為、侍女達は、折角運んだお湯が汚れてしまう事を嫌がり、先ずは洗い場で垢を擦り落とす事を先決したのだ。
「痛い!痛い!止めろ~!止めてくれ~!!」
と叫びのたうち回る洋平だが、4人の侍女達は両手両足をがっちりと押さえ込んだ状態で垢を擦り落としていく。
なかなか頑固な垢擦り時間が漸く終わると、洋平はやっとの思いで湯船に浸かったのだった。
「では、私共はお食事のご用意をして参ります。お召し物は此方にご用意してございます故、どうぞご自分でお召し下さい。」
そう言って侍女達が湯殿から出て行くと、洋平はほっと息をついた。そして、
「なんなんだ!なんであんなババァ達に代わってんだ?昨日迄は可愛い子達ばっかりだったのに……。大体!俺は戦士様なんだぞ!戦士様には可愛い女の子が傍にいるのが当たり前だろう!それなのに何でババァにオールチェンジしてんだよ!うん。これは後から王様に文句言ってやらなきゃだな。…………まぁいい。兎に角腹が減った。飯が楽しみだ。きっと肉肉肉。美味い肉のオンパレードだよな。」
と食事を楽しみにして湯殿から出てきた洋平だったが、居室に来ると料理を見て驚いた。
それもその筈。テーブルに並んでいたのは、少しばかりの肉とたっぷりの生野菜やら温野菜。野菜たっぷりのトマトスープと硬そうなライ麦パンが3つというメニューだったからだ。
壁に控えている侍女達に向かい料理について文句を言うと、
「その弛んだお身体にたーーーっぷりと脂を溜め込んでおられるのですから、肉は不要かと存じますわ。」
と言われ、洋平はその場で絶叫した。
「もう嫌だ!帰る!元の世界に帰る。帰らせてくれーー!!」
次の日から洋平は、討伐の王命が出る日まで誰とも話をする事が無かった。
~戦士の洋平side~
なんとそこには、昨日まで世話をしてくれていた若く綺麗な侍女達では無く、彼女達の母親くらいの年齢の女性達がデーンと構えていたからだ。
「これから私達が、戦士様のお世話をさせていただきますわ。さぁ!先ずはその残飯が腐った様な悪臭を放つ身体を隅々まで洗わせて頂きますわね。」
と言って、洋平が着ていた物を引っ剥がす。
と、途端に露になってしまった裸体を侍女達に見られた洋平は、手で自身の身体を隠そうとするも、
「あらあらまぁまぁ。随分と若い侍女達に対して偉そうにしていらしたわりに、お粗末なピーーーでいらっしゃいますこと。」
と侍女の一人が洋平のモノを見て嘲笑する。と、他の侍女も
「ソコからも強烈な臭いが致しますわね。洗い甲斐がありますわ。」
と指をバキバキと鳴らしている。
身の危険を感じた洋平は、脱兎の如く逃げようとするも、何故か侍女達に捕まえられ湯殿へ強制連行された。そして、侍女達が手にしていた物を見て洋平は固まってしまったのだ。
彼女達の手には、たわしというか?糸瓜というか?兎に角、そんな様な物で身体を洗われたら痛みを感じるに決まっているだろうと思われる物が握られていたからだ。
「お、おい!や、や、止めろ!!お、俺は戦士様なんだ!異世界から来た救世主様なんだぞ!」
と、手で迫り来る侍女達を防ごうとするも、徒党を組んだ彼女達は知らん顔。寧ろ好戦的な視線を向けられるだけだった。
そして彼女達はそれ等を使用し、容赦なくゴシゴシと洋平の身体を擦り、身体中の垢を剥がそうとしている。長年、風呂に入るのは数日に一回の割合でしかなく、しかも超おざなりな入り方をしていた洋平の身体には、長年に渡り蓄積された垢で、全身が黒ずんでいた。その為、侍女達は、折角運んだお湯が汚れてしまう事を嫌がり、先ずは洗い場で垢を擦り落とす事を先決したのだ。
「痛い!痛い!止めろ~!止めてくれ~!!」
と叫びのたうち回る洋平だが、4人の侍女達は両手両足をがっちりと押さえ込んだ状態で垢を擦り落としていく。
なかなか頑固な垢擦り時間が漸く終わると、洋平はやっとの思いで湯船に浸かったのだった。
「では、私共はお食事のご用意をして参ります。お召し物は此方にご用意してございます故、どうぞご自分でお召し下さい。」
そう言って侍女達が湯殿から出て行くと、洋平はほっと息をついた。そして、
「なんなんだ!なんであんなババァ達に代わってんだ?昨日迄は可愛い子達ばっかりだったのに……。大体!俺は戦士様なんだぞ!戦士様には可愛い女の子が傍にいるのが当たり前だろう!それなのに何でババァにオールチェンジしてんだよ!うん。これは後から王様に文句言ってやらなきゃだな。…………まぁいい。兎に角腹が減った。飯が楽しみだ。きっと肉肉肉。美味い肉のオンパレードだよな。」
と食事を楽しみにして湯殿から出てきた洋平だったが、居室に来ると料理を見て驚いた。
それもその筈。テーブルに並んでいたのは、少しばかりの肉とたっぷりの生野菜やら温野菜。野菜たっぷりのトマトスープと硬そうなライ麦パンが3つというメニューだったからだ。
壁に控えている侍女達に向かい料理について文句を言うと、
「その弛んだお身体にたーーーっぷりと脂を溜め込んでおられるのですから、肉は不要かと存じますわ。」
と言われ、洋平はその場で絶叫した。
「もう嫌だ!帰る!元の世界に帰る。帰らせてくれーー!!」
次の日から洋平は、討伐の王命が出る日まで誰とも話をする事が無かった。
~戦士の洋平side~
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