バトロワゲーヲタの異世界無双物語

Saeko

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第五章 変わったヲタ

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伏せろという渡瀬の声に、戸惑いながも反応出来たのは、俺と賢、それから昴の3人だけで、愛子と先生寺田は反応出来なかった。
「愛子!伏せろ!!」
と伏せたまま叫ぶ俺の声に、
「え?え?」
とキョロキョロしている愛子だったが、熊が先程吸い込んだ息を思いっきり吐き出すと共に、物凄い火力の炎を吐き出したのを見て、恐怖からか立ち竦んでしまった。

「愛子!早く!早く伏せろ!!」
と俺が叫ぶのと同時に、
「西山~!」
と言って、渡瀬が愛子に向かって猛ダッシュをしていた。
熊が吐き出した炎の軌道を避ける様に走ってきた渡瀬は、愛子を抱き込みその場に伏せたのが見えた。
その瞬間!俺達の頭の直ぐ上を、物凄い熱量が通り過ぎて行く。
あまりの熱さから来る恐怖に、俺は目を瞑ってそれをやり過ごした。

空気がまだ熱気を帯びているようだったが、あの猛烈な熱さはなくなっていた。どうやら炎はなくなったのだろう。
すると、
「ぐぁぁぁぁぁ~。」
という誰かの叫び声を聞いた俺は、伏せていた顔を上げた。するとそこには、熊の炎をまともに受けてしまったらしい人間が、炎に包まれた状態でのたうち回っていた。

寺田先生だ。

熊が炎を吹いたと同時に此方へ走って来た渡瀬だったが、どうやら愛子と寺田を2人同時には助けられなかったのだろう。
俺は直ぐに起き上がり、恐る恐る寺田に近づいた。そして、
「先生!先生!」
と火達磨になっている先生に呼びかけるも、彼から答えが返って来ない。すると渡瀬が俺を押し退け、
「退いて!邪魔。」
と言いやがった。
「は?渡瀬!てめぇ!「見てるだけで何も出来ないなら、邪魔でしかない!」あ……。」
渡瀬に正論を言われ、ぐうの音も出ない俺を他所に、
「中山君!水!!水をかけてこの火を消してくれ!」
「み、水?!「もたもたしてないで、早く!!」」
と慌てて走りよって来た昴に向かって渡瀬が怒鳴る。

「何をボーッとしてるの?僕が先生の手当てをしている間、相田君と田代君はベアと応戦!くれぐれも、火による攻撃はしないで!彼奴の別名は、"Fire Breath bear”。その名の通り、火を吐く熊。火を使って攻撃すれば、またさっきみたいな攻撃をして返して来るんだ。さぁ!早く!!このままじゃ、皆死ぬよ?」
渡瀬がそう言っている間にも、昴は先生に水をかけ炎を消している。
火を消し止めると、今度は氷で全身を冷やせと昴に指示を出す渡瀬の言葉に、昴が素直に応じているのには驚いた。

そんな渡瀬達を横目で見ながら、賢と2人、此方に突進して来る熊に対して、どう応戦したら良いのかわからずにいると、
「田代君は風魔法で、風の壁を作って!相田君は、ベアの腕を切り落とすんだ!」
と、戸惑う俺達を見かねた渡瀬が、的確な戦い方を言ってきた。
「お、おう!」
と答えた俺に返事もせず、
「西山さん!先生に治癒魔法を!」
と渡瀬が言っているのが聞こえた。が、愛子にはそんな高度な魔法なんて使える訳がない。
案の定、
「愛子~そんなの出来ないよぉ~。」
と半泣きだ。
「田代君!凍ってる先生の身体を風魔法で、僕の仲間がいるところまで運んでくれ!その間、中山君は、氷魔法で、氷の壁を作ってガード!」
「「わ、分かった!」」
賢と昴が渡瀬の言葉どおりポジションスイッチをすると、
「西山さんは、そこに居て相田君達を助けていてくれ!田代君、行くよ。」
と言って、賢の風魔法で氷に包まれたまま宙に浮いてる先生を連れ、渡瀬と賢は俺達から遠ざかって行く。と、途端に不安になってきた俺達の後ろから、
「応援に来たぜ!勇者様よっ。」
と声がした。
振り向けば、そこには、武器を肩に担いだ筋骨隆々な男達が10人くらい立っていた。

~勇者 勇side 終~
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