バトロワゲーヲタの異世界無双物語

第六章 ヲタは領域を制す（王との謁見編）

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フルボリュームで謁見の間に流れ始めた、あの日偶然 ┄ 本当、偶々たまたま偶然に録音されてたんだ。きっと時空を超えた時に、何らかの誤作動が起こったんだと思う ┄ 録音された音声。その会話の内容は、ルードリッヒさんやミランダさん、そしてカールソンさんの顔をどんどん険しくさせるものだった。
「のぞむ君になんて酷い事を……。」
「本当だね、ミランダ。私も同じだよ。この様な仕打ち、聞くに耐えないよ。」
二人がそう言ってくれるのは嬉しいけど、僕は平気だった。何故ならいつも、元の世界で勇達や寺田先生から言われ、慣れていたからだ。だからといって、全く傷つかないわけでは無かったけど……。

「よく耐えたね、のぞむ。」
「お兄様の仰るとおりですわ、のぞむ君。味方が全くおらない場でしたのに、たった一人で立ち向かっただなんて、普通は卒倒してしまうものですわ。でものぞむ君は、そうはならなかったのですわね。きっと、真の強さをお持ちなのですわ。」
と言ったミランダさんの言葉を聞いて、僕は、ふ～ん…そうなんだな……と思った。
ふ～ん……そうなのか。普通なら"卒倒してしまう”ものなんだな……。でも……元の世界あっちで虐めを受けてる時に卒倒なんてしたら、きっと今頃この世界どころか、この世にさえいなかっただろうな。自分の身を守れなくて……。
確かに勇達からの"殴られ蹴られ”の間、何度か意識が飛びそうになった事はある。けど、そんな事になったら、きっと内臓破裂を起こしていたかもしれない。
それぐらい彼奴らからの仕打ちは酷かった。
だから僕は、意識を飛ばす事無く、痛みに耐え必死で身を守っていたんだ。
誰一人味方になってくれる人がいない中で……。

どこか遠い目をしていたらしい僕の顔を覗き込んで、ミランダさんが心配そうな顔をしているのに気が付いた僕は、
「ありがとうございます、ミランダさん。僕は平気です。それに今は、僕には味方がいっぱいいてくれますから。」
と言えば、
「そうですわ。私わたくしも、お兄様もカールソンも、それから……市井に住むのぞむ君の周りの人々も、全員がのぞむ君の味方でしてよ。」
とパッと花が咲いたよに笑うミランダさん。
彼女のあまりの可愛さに、思わず抱き締めたくなる衝動をなんとか抑えた。その代わり、
「……ったく。可愛いかよ。」
と、誰にも聞こえない位の声で思わずボソッと言ってしまったんだ。

なのに
「え？今なんと仰ったんですの？」
と言って、首を傾げ聞いてくるミランダさん。そんな彼女に僕は、
「な、なんでもありません。こっちの話です。」
と言って、誤魔化すのが精一杯だった。