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第六章 ヲタは領域を制す(王との謁見編)

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「陛下。」
「ま、まだあるのか?ルードリッヒよ。」
「先程、大規模討伐の際、私が陣頭指揮を取ったと仰いましたが、それは間違いでございます。」
「ま…間違いだと?余は確かにそう聞いておるぞ。」
「確かに表立って魔獣討伐の指揮を取ったのは私ですが、影の指揮官はのぞむなのです。」
「それは誠か?ルードリッヒよ。」
「はい。お疑いのようでしたら、こちらをご覧頂ければ分かることかと存じます。」
そう言うと、ルードリッヒさんはパチンと指を鳴らした。

何事か?と思った僕は、下げていた頭を徐ろにあげた。
その様子を見たミランダさんが、
「のぞむ君。貴方の勇姿をご覧なさい。」
と言って、謁見の間の壁を指さしたんだ。

壁がスクリーンの様な役割を担い、そこにはある動画が流れ始めた。

それを見た僕は、目を見張った。
ミランダさんが言うとおり、他の冒険者さんや魔導士さん達に指示を出しながら戦う僕や、中島先輩を助けたり愛子を炎から守ったり、勇達と何か言い争いをしている僕が映し出されていた。

「こ、こんなの……いつの間に……。」
だけ・・がフューチャーされた様な動画を見てそんな事を呟くと、
「悪い様にしないと言ったろ?のぞむ。」
とルードリッヒさんが僕の顔を見ながら、優しく微笑んでそう言ってくれた。

画像を見終わると、
「ルードリッヒの言うとおりであった。此度こたびの討伐の影の、いや、真の勇者はのぞむ殿であったか。」
と、王様は玉座に座り、綺麗に切りそろえられた顎髭を触りながらそう言った。
「誠に、そうでしたな。しかし……、魔力無しと判定されたのぞむ殿にこの様なさいがあったとは……。」
と、司祭のおじさん ┄ ちゃんと・・・・ダ・マーレさんて名前で言っとかないと、いざって時におじさんって言っちゃいそうだな ┄ は、いまいち納得出来てないのか?そう言いながらしきりと首を傾げていた。

いや別にダ・マーレおじさんさんに認められなくても良い。
だって僕は忘れない。城から追い出される時に、騎士に引き摺られる様にされてその場を離れていく僕の方を向いてぼそっと言ったあの言葉を。
『ふん!まさかあんな役立たずまで召喚してしまうとは。』

だから、僕はこう言ってやった。
「僕にも発言をお許し下さいますか?」
「おお!許すぞ、のぞむ殿。して、言いたい事は何だ?」
「王様にっていうか、そこにいる司祭のおじさん・・・・に(やっぱりおじさん呼ばわりしちゃったけども……、まぁいいか。)言いたいんですけど……。」
「え?私にですかな?如何なさいました?のぞむ殿。」
「さっきの僕の動画を見終わった時、なんだか納得してないみたいでしたけど……今更感満載なんで、別に無理矢理納得なんてしなくてもいいですよ。どうせ僕は、役立たず・・・・なんですから。」
「なッ!!そんな事言って…「ませんて?あの……、嘘言わないで貰えます?ちゃんと聞こえてたんですけど?あの日言われた言葉。あ~。なんなら音声もありますけど、聞きますか?」
と言って、僕は着ていた騎士服の上着の下に隠していたウエストポーチ版の異空間鞄の中からスマホを取り出し、再生ボタンをタップしたんだ。
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