バトロワゲーヲタの異世界無双物語

Saeko

文字の大きさ
79 / 130
第六章 ヲタは領域を制す(王との謁見編)

6

しおりを挟む
「陛下の仰るとおり。この者は、我が公爵家の護衛騎士の者で、名を"のぞむ わたせ”と申します。」
と、僕の代わりにルードリッヒさんが答えてくれた。

「はて…変わった名前であるな。"わたせ”等という貴族は、この国にはおらぬはずだが……。ダ・マーレよ。そなたは知っておるか?」
と聞かれ、
「いえ。私も聞き覚えの無い貴族名ですな。」
とおじさんが答えた為、二人は首を傾げて考え込んでいる。
そんな彼等を見て、
「何を仰ていらっしゃいますの?陛下。のぞむ君は、異世界より、貴方がたが召喚した中のおひとりでいらっしゃいますのに。」
呆れたように言ったミランダさんの言葉に、唖然としたまま口を開けたままの王様に対して、更に追い討ちをかける様に、
「ミランダが申すとおりにございます陛下。のぞむはあの日、此方で魔力無しという判定を受けた事で、少しばかりの路銀を握らせ城から追い出されたのです。右も左も分からない、のぞむからしたら全く知らない世界に、彼を一人きりで放り出した。なんと惨い仕打ちをなさったのでしょうか、陛下。」
とルードリッヒさんが王様を責め立てた。

たじろぎ乍も王様は、
「余は知らん!その少年を城から放り出したのは、ダ・マーレの判断だ。」
と苦しい言い訳をし、知らぬ存ぜぬを貫こうとするも、
「なッ!何を仰いますか!私は……私は、古きしきたりに則り……「そのしきたりを重視するがあまり、異世界から呼び寄せた若者を市井に放り出したのですね?ダ・マーレ司祭様?」ミ……ミランダ様……そ、それは…その……。」
話を振られた司祭のおじさんも言い淀んだ。
「陛下。」
「な、なんだ?ルードリッヒ。」
「のぞむは、ここから追い出された後、親切な平民達に出会い、彼等に守られ、今日こんにちまで過ごしてこられました。が、もし!悪い者に捕まり、嬲りものにされたり、儚くなっていたらどうなさるおつもりでしたか?」
「そ……それは……。」
「のぞむは異世界の民。もしのぞむに万が一の事があったとしたなら、のぞむの親御様になんと伝えるおつもりでしたか?のぞむは、この国の民ではない!!」
「…………」
「のぞむ君の国は、この国とはまた違う高度な文明で栄えている国だと、のぞむ君からお聞きしておりますわ。そのお話から察するに、のぞむ君を儚くさせたとあれば、この国では考えられない武器を使用し、報復措置をとられたかもしれないのですよ。そうなったら、どうなさるおつもりでしたの?陛下。ダ・マーレ司祭様。」

怒りを込めて言ってくれているミランダさんに、(いやいやミランダさん。僕の国は戦争をしない国だと明言してます。だから、僕如きで報復措置は無いかと……。)と心の中で突っ込みを入れた僕。でもまぁ、城から放り出された時に感じた不安を、僕の代わりに代弁してくれている。そんな二人に出会えて良かった。それに、カールソンさんにも本当に良くして貰えたし。それから……、ハイネさんやケイドル爺さん。服屋のヨハネスさん達。彼等に出会えなかったら、僕は今頃、森で魔獣の餌食になっていたかもしれない。
僕は運が良かったんだなと、頭を下げたままのカールソンさんの隣りで、同じポーズを取りながらそう考えたんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

勇者パーティーの保父になりました

阿井雪
ファンタジー
保父として転生して子供たちの世話をすることになりましたが、その子供たちはSSRの勇者パーティーで 世話したり振り回されたり戦闘したり大変な日常のお話です

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜

サカキ カリイ
ファンタジー
「なんだ!あの農具は!槍のつもりか?」「あいつの頭見ろよ!鍋を被ってるやつもいるぞ!」ギャハハと指さして笑い転げる正規軍の面々。 魔王と魔獣討伐の為、軍をあげた帝国。 討伐の為に徴兵をかけたのだが、数合わせの事情で無経験かつ寄せ集め、どう見ても不要である部隊を作った。 魔獣を倒しながら敵の現れる発生地点を目指す本隊。 だが、なぜか、全く役に立たないと思われていた部隊が、背後に隠されていた陰謀を暴く一端となってしまう…! 〜以下、第二章の説明〜 魔道士の術式により、異世界への裂け目が大きくなってしまい、 ついに哨戒機などという謎の乗り物まで、この世界へあらわれてしまう…! 一方で主人公は、渦周辺の平野を、異世界との裂け目を閉じる呪物、巫女のネックレスを探して彷徨う羽目となる。 そしてあらわれ来る亡霊達と、戦うこととなるのだった… 以前こちらで途中まで公開していたものの、再アップとなります。 他サイトでも公開しております。旧タイトル「茫漠と彷徨えるなにか」。 「離れ小島の二人の巫女」の登場人物が出てきますが、読まれなくても大丈夫です。 ちなみに巫女のネックレスを持って登場した魔道士は、離れ小島に出てくる男とは別人です。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...