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第七章 ヲタは領域を制す(王の依頼と煩い奴等編)
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「ほぅ~。直接対決とは、いい考えであるな。聖女愛子殿。どうだ?当然受けて立つのであろう?」
悪い顔をして愛子を挑発する言葉を言う王に、ルードリッヒさんが重なって見える。
うん……血は争えないってやつだね。
すると、
「勿論、愛子、やるもん!やってやるもん!」
と息巻いている愛子がそこにいた。
あらま、乗せられちゃったよ。
まぁ、やるだけやってみたら良いのかな。
どうせ勝敗は、こっちとしては対決見る前に分かってる事だけど、愛子にとっては、身体で分からせた方が良いだろうしさ。
そんな風に思っていたら、
「俺も対決したい!」
と、さっきまで黙って座っていた勇が急に立ち上がりそう言った。
これには賢と昴が慌てて勇を止めようとするが、勇の意思は固そうだった。
「勇者殿は、誰と対決をしたいんだ?」
と問われた勇は、
「勿論渡瀬だ!」
と、僕を指差しそう言った。
「え?僕と?」
と、勇から名指しされた僕は、驚きと戸惑いから間抜けな声を出してしまったんだ。なのに、
「良いだろう。で、勇者殿はのぞむに勝った時はどうしたいんだ?」
とその対決を簡単に受けてしまうルードリッヒさんを止めようとしたのに、カールソンさんが僕を後ろから羽交い締めにして、僕の口を手で押さえたんだ。
僕は必死で「そんな対決したくない!」
と言ってるつもりなのに、
「ふご。ふごごごふご!」
としか音にならない僕の声。
そんな状態の僕を横目でチラッと見たルードリッヒさんは、
「のぞむも是非やりたいと言ってるようだ。で?勇者殿の希望は何?」
と勝手に話を纏めているじゃないか!
「俺の希望は…。俺の希望は!領域の封印に同行する事だ!」
とルードリッヒさんに懇願するかのような声で告げる勇に応えるかのように、王を見るルードリッヒさん。
すると王は、
「あい、分かった。ならば、実行日は本日、場所は城内訓練場、時刻は城の金が午後1時を告げた時とする。勇者殿、聖女殿、そしてのぞむ殿、それで宜しいか?」
と問われ、勇は「勿論!」と即答し、「はぁ~い。」とやる気あんのか?と思える様なダルい返事をする愛子。
僕はといえば、本当は首を横に振りたいのだけど、カールソンさんに口を押さえられた状態でヘッドロックをかけられているので、意思表示が全く出来ない。
その代わり、
「のぞむも『承知致しました』と申しております、陛下。」
と僕の意志とは真逆の答えをするカールソンさん。
「双方の了承を得、本日対決を実施するものと致す。して、ルードリッヒよ。ミランダには如何するのだ?」
と、ルードリッヒさんにミランダさんの気持ちはどうなんだ?と聞く王。
(そ、そうだよ。ミランダさんは、こんなのやるって……、了承するって言わないよ。)と思っていると、
「ミランダの事は大丈夫です、陛下。私には妹が絶対に頷くという切り札を持っております故。」
「そうか。ならば安心であるな。では、これにて散会!」
王の言葉に、騎士団の人達やルードリッヒさん達が騎士の礼をとる中、王は謁見の間を出ていった。
すると、カールソンさんの羽交い締めから解消された僕の前に勇が立ち、
「渡瀬。俺はお前には負けねぇ!絶対勝つ!!」
と勝利宣言をしたんだ。
そんな勇に
「あ、あぁ……。そう……。」
とはっきりしない言葉を発する僕にイラついたのか?
「俺は全力でお前に勝ちに行く!だからお前も全力で来いよ!」
と言って、勇者らしくマントを翻して謁見の間を出ていく勇。
それを慌てて追いかける賢と昴に、
「ねぇ~、ちょっと待って~。」
と愛子が声をかけるが、三人は無視してどんどん歩いて行ってしまう。
「うんもぉ~。あ!のぞむくん?勇に怪我させられちゃったら、愛子が全力で治してあげるからね?じゃ、またね~。ねぇってばぁ~!待ってって言ってるでしょぉ~!」
と言い残し、愛子も勇達を追って謁見の間を出ていった。
残された僕は、勝手に話を進めたルードリッヒさんとカールソンさんを睨みつけたけど、
「「お前なら出来るよ?のぞむ。」」
と、笑顔の二人から頭をポンポンとされてしまったんだ。
ホント、いつもいつも勝手過ぎなんだって!
悪い顔をして愛子を挑発する言葉を言う王に、ルードリッヒさんが重なって見える。
うん……血は争えないってやつだね。
すると、
「勿論、愛子、やるもん!やってやるもん!」
と息巻いている愛子がそこにいた。
あらま、乗せられちゃったよ。
まぁ、やるだけやってみたら良いのかな。
どうせ勝敗は、こっちとしては対決見る前に分かってる事だけど、愛子にとっては、身体で分からせた方が良いだろうしさ。
そんな風に思っていたら、
「俺も対決したい!」
と、さっきまで黙って座っていた勇が急に立ち上がりそう言った。
これには賢と昴が慌てて勇を止めようとするが、勇の意思は固そうだった。
「勇者殿は、誰と対決をしたいんだ?」
と問われた勇は、
「勿論渡瀬だ!」
と、僕を指差しそう言った。
「え?僕と?」
と、勇から名指しされた僕は、驚きと戸惑いから間抜けな声を出してしまったんだ。なのに、
「良いだろう。で、勇者殿はのぞむに勝った時はどうしたいんだ?」
とその対決を簡単に受けてしまうルードリッヒさんを止めようとしたのに、カールソンさんが僕を後ろから羽交い締めにして、僕の口を手で押さえたんだ。
僕は必死で「そんな対決したくない!」
と言ってるつもりなのに、
「ふご。ふごごごふご!」
としか音にならない僕の声。
そんな状態の僕を横目でチラッと見たルードリッヒさんは、
「のぞむも是非やりたいと言ってるようだ。で?勇者殿の希望は何?」
と勝手に話を纏めているじゃないか!
「俺の希望は…。俺の希望は!領域の封印に同行する事だ!」
とルードリッヒさんに懇願するかのような声で告げる勇に応えるかのように、王を見るルードリッヒさん。
すると王は、
「あい、分かった。ならば、実行日は本日、場所は城内訓練場、時刻は城の金が午後1時を告げた時とする。勇者殿、聖女殿、そしてのぞむ殿、それで宜しいか?」
と問われ、勇は「勿論!」と即答し、「はぁ~い。」とやる気あんのか?と思える様なダルい返事をする愛子。
僕はといえば、本当は首を横に振りたいのだけど、カールソンさんに口を押さえられた状態でヘッドロックをかけられているので、意思表示が全く出来ない。
その代わり、
「のぞむも『承知致しました』と申しております、陛下。」
と僕の意志とは真逆の答えをするカールソンさん。
「双方の了承を得、本日対決を実施するものと致す。して、ルードリッヒよ。ミランダには如何するのだ?」
と、ルードリッヒさんにミランダさんの気持ちはどうなんだ?と聞く王。
(そ、そうだよ。ミランダさんは、こんなのやるって……、了承するって言わないよ。)と思っていると、
「ミランダの事は大丈夫です、陛下。私には妹が絶対に頷くという切り札を持っております故。」
「そうか。ならば安心であるな。では、これにて散会!」
王の言葉に、騎士団の人達やルードリッヒさん達が騎士の礼をとる中、王は謁見の間を出ていった。
すると、カールソンさんの羽交い締めから解消された僕の前に勇が立ち、
「渡瀬。俺はお前には負けねぇ!絶対勝つ!!」
と勝利宣言をしたんだ。
そんな勇に
「あ、あぁ……。そう……。」
とはっきりしない言葉を発する僕にイラついたのか?
「俺は全力でお前に勝ちに行く!だからお前も全力で来いよ!」
と言って、勇者らしくマントを翻して謁見の間を出ていく勇。
それを慌てて追いかける賢と昴に、
「ねぇ~、ちょっと待って~。」
と愛子が声をかけるが、三人は無視してどんどん歩いて行ってしまう。
「うんもぉ~。あ!のぞむくん?勇に怪我させられちゃったら、愛子が全力で治してあげるからね?じゃ、またね~。ねぇってばぁ~!待ってって言ってるでしょぉ~!」
と言い残し、愛子も勇達を追って謁見の間を出ていった。
残された僕は、勝手に話を進めたルードリッヒさんとカールソンさんを睨みつけたけど、
「「お前なら出来るよ?のぞむ。」」
と、笑顔の二人から頭をポンポンとされてしまったんだ。
ホント、いつもいつも勝手過ぎなんだって!
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