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第八章 王との謁見(相応しいのは誰だ?直接対決編)

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「仲間?あ~……仲間って彼奴らの事?フン!あんな風にぃ~、愛子に攻撃してくる様な奴、仲間なんかじゃないもん!愛子はのぞむくんのが心配…「のぞむ君の心配はわたくしが致しますし、怪我もわたくしが治しますわ!ですが、そもそもでございますけども!貴女がお悪いのではなくて?のぞむ君の傍にいらした貴女が、彼等からの攻撃を受けた際、ちゃんと結界を張りさえすればこの様な事にはならなかったのです!」なっ!!」

え?何で?何で愛子が悪いの?ちょっと意味分かんないんだけど!
頭に来て文句言ってやろうと思ったのに、ミランダって人が、のぞむくんを抱いたまま金色の光に包まれたの。
その光はキラキラしてて、眩しくて、そして暖かそうだった。

暫くすると、その光は無くなってて、のぞむくんの身体は綺麗になってたの。
顔色も良くなって、血も止まってて……。愛子、本当に本当に心配だったから、助かって良かったって思ってのぞむくんに触れようとしたら、
「君も早く、彼等を治してやったらどうだ?」
って伸ばした手を叩かれたんだよ?酷いと思わない?
「だから彼奴らは仲間じゃないもん!何回言ったら分かるのよ!」
て逆ギレしてやったの。

そしたら、
「我が妹のミランダは、のぞむの身体をちゃんと治したんだ。君も聖女だと言うのなら、怪我人を治すべきだろう?治せなければ、聖女対決は、のぞむを治したミランダの勝ちだ。そしてミランダが領域の封印を行う。そうなったら、君は私達に同行する事も出来ないんだよ?そして、愛子という異世界から来た聖女は、人々の記憶の中で、小さく……小さく小さく小さくなって、軈て跡形もなく消える事になるだろう。」
て綺麗な笑顔でその人がそんな事を言ったんだよ?

勇達を治せなかったら、愛子…小さく小さく小さくなって消えちゃうの?
え?そんなのヤダ!消えたくないもん!
みんなの中で、可愛い・・・聖女様として生きていたいの!

「治れ~!もぉ!治れってば!」

愛子は急いで、勇や賢と昴がいる場所に走っていって"治れ!”って言ってるのに、全然誰も良くならない!
このままじゃ、愛子、みんなの中から消えちゃうのに!
「もぉ!治れって言ってんの!なんで治んないのよ!!」
て、のぞむくんに撃たれた跡がある賢の足をビシッと叩いたら、
「痛てぇ!」
て言って、もう片方の足で蹴られちゃったの。
「酷い!蹴らなくたっていいじゃん!賢の馬鹿!!うぇ~ん。」
ていつもの泣き真似をしてやったわ。

でも……誰も愛子を慰めてはくれなかったの。

どうして?愛子は誰からも愛されるんだよ?だって愛子は愛されキャラなんだから。
ね?そうでしょ?勇?て思って彼氏の勇の方を見ると、そこにはミランダが居て、勇の事を治してた。
「あぁ……痛みが引いていく……。ありがとうございます、聖女様。」
とミランダを見て言う勇は、さっきまで苦しそうだったのに、今はもう大丈夫そう。
良かったぁ。

でも、この子が此処に居るってことは、のぞむ君は放置って事じゃん!
大変!のぞむくんは怪我人なのに……。
あ!だったら愛子がのぞむくんの傍に居てあげないとだよね?
だって愛子は聖女様なんだもん。
怪我を治すのはこの子がやってくれたから、愛子は看病する側になるんだもん。
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