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ヒロイセカイ

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 俺は五味保(ごみたもつ)。
 この劇場で俺のことを知らない芸人はいない。今日も若手からベテランまでこの劇場でしのぎを削る。

 壁に向かって練習するやつら。1人で弁当を食うやつ。ギリギリまで劇場に来ない奴。どいつもこいつもてっぺん目指してギラギラしてやがる。

 おっと若手が声をかけてきやがった。
「五味さん、うっす。今日もよろしくお願いします」
「おう!お前らこの前のネタ、よかったよ。あれさつっこみのタイミングキレッキレだよな。すげーいいと思う」
「ありゃっす!」

 おっとあいつはこの前だだすべりしたやつだったな。
「おっつ。どうだ今日は?」
「この前ネタが飛んだんでちょっと心配っす」
「ミスなんて誰にでもある。あいつらみてみろここでだだ滑りだった次の日M-1で準決勝までいったじゃねーか」
「そっすね!五味さんサンキューす!」

 おやおやあれは事務所の社員さんじゃないか。
「おつかれさまです。珍しいですね」
「そろそろ年末も近いしさ特番に向けて若い奴何組か引っ張ってこうと思ってね」
「そうなんですか。あいつらなんかツッコミとボケが噛み合ってていい感じですよね」
「あっちはどうかな」
「あぁ、あいつらは今だとちょっとリズムネタは古いかなー。でも逆に若い子たちには新鮮かもですね」
「ありがとう。さすが劇場歴20年!五味さんの意見参考にするよ」
「いえいえ!おっかれしたー!」

 俺の目に狂いはない。この20年見てきた芸人でハズレはないのだから!

「おい!ゴミタメ!んなとこでサボってねーで便所掃除してモギリの準備しろや!」

「Hey!館長!」
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