堕ちた双子

ゆきみまんじゅう

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新たなる幕開け

負のスパイラル

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いつもより早い電車に乗った後、俺は深くため息をついた。

あんな海斗を見たことがなく、つい逃げ出してしまった。

とはいえあれでは、余計に海斗に怪しまれてしまうし、海斗の心を傷つけてしまう。

そう、分かっていたはずなのに。

やはり俺は、ただの臆病者で、情けない奴だと、自分を咎め続けた。

「………はあぁ。」

それにも関わらず、俺はいつもの定位置である壁際まで来ていた。

もはやそれは、自ら男を待ちわびているのと同義であり、そんな無意識な行為に、心底呆れてしまった。

「…………ん?」

その時、尻に違和感を覚えた。

最初は何かが当たる程度だったが、次第にそれは撫で回すような動きになり、ついには鷲掴みにされ、揉まれ始めた。

一瞬、あの男が来たのかと思ったが、散々アイツに痴漢された俺には、すぐに別人だと分かった。

相手を確認すべく、恐る恐る後ろに振り向くと、そこにはスーツを着て、眼鏡をかけた、中年太りの男が立っていた。

そして俺と目が合うと、気持ち悪い顔でニタニタ笑った。

「やっ、やめ…ッ……ぐっ!!」

すぐに抵抗しようとしたが、中年の男に手で口を塞がれ、無理矢理窓側に向かされた。

「やめて、じゃないよね?」

耳に息がかかるほどの距離で囁かれ、身の毛がよだった。

「僕は毎朝、君が痴漢されているのを知ってるよ。でも君は、全く抵抗していなかったじゃないか。本当は、こういう事が好きなんだよね?」

中年の男の話を聞いた俺は、図星を突かれたようで愕然とした。

今まで必死に否定していたのに、側から見てもそうとしか見えないほど、俺は快楽に従順だったと悟ってしまったからだ。

とはいえ、こんな見ず知らずの中年の男なんかに犯されるわけにはいかず、何とか抵抗を試みようとした。

しかし中年の男に耳たぶを甘噛みされてしまい、一気に力が抜けてしまう。

そんな俺を嘲笑うかのように、中年の男は俺のベルトの金具を外し、下着の中に手を忍ばせてきた。

「ん…んん……ッ…んーっ!!」

そして半勃ちのものを直に扱き始めた。

その快楽になす術などあるはずもなく、されるがままになってしまう。

「ほーら、もうこんなに大きくさせちゃって。本当にいやらしい子だ。」

中年の男の手によって、あっという間に隆起させられてしまい、悔しさと恥ずかしさでいっぱいになる。

それなのに、気持ちよくてたまらなくなってしまう。

「やっぱり、遠くで眺めているよりも、実際に触れる方がずっといい。今まではあの男がいたせいで無理だったが、ようやく君を我が物に出来る。」

そう言いながら、中年の男が自らの硬くなったものを、後ろから押し当ててくる。

「ああ……もう、我慢できない。………挿れるよ?」

その言葉を聞いた瞬間、俺は正気を取り戻した。

さすがにこんな人目のある場所で、大人しく抱かれるわけにはいかず、俺はジタバタもがきつつ、俺の口を塞いでいる、中年の男の手に噛みついた。

そして中年の男が怯んだ隙に、何とか中年の男の手を振り払い、体を翻した。

「痛っ……!このガキが…。往生際が悪いぞ。」

中年の男は頭に血が昇ったのか、俺に掴みかかろうとした。

それを何とかかわすと、動く電車の中、中年の男から距離を離すため、必死に人並みの中を進んだ。

そして前方車両に移動した頃に、ホームに着くアナウンスが聞こえてきた。

そのホームは、本来降りるところではなかったが、そんな事はどうでも良かった。

早く、ここから出たい……。

ただそれだけの思いで、ホームに着いた電車から、ふらふらの体で出て行った。

そして一目散でトイレの個室に駆け込むと、下着ごとズボンを下ろした。

「はあ…はあ……はぁ…っ…ん。」

俺は左手の指を舐めると、それを迷いなくあそこの中に押し入れた。

そして右手で、ものを扱いた。

だけどやはり、何か物足りない。

指なんかじゃ、満足できない。

「あ…っ……んぁ……ッ…ああん……欲しい…。」

頭の中に浮かんでくるのは、男にものを突っ込まれて、喘ぐ自分の姿だった。

犯されたい…。

だけどそれは、もう叶わない。

何故だかそう分かった。

すると自然と、涙が頬を伝った。

それは、満たされない快楽からの苦痛と、もう抱かれる事のないからへの絶望、そして──。

俺は、あいつの事が──。

「何で……どうして…なんだよ………!!」

俺は自慰をしていた手を止め、その場に泣き崩れた。
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