35 / 70
新たなる幕開け
不審な動き
しおりを挟む
今日も1人で教室に向かう。
あの日、屋上での出来事がきっかけで、私はカイくんと一緒に登校しなくなっていた。
あの豹変した様子が忘れられず、どうしても距離を置かずにはいられなかった。
その事と、リッくんの事が重なり、最近は憂鬱な生活を送っていたのだが、昨日の電話でリッくんが元気だと知れて少し安心した。
ただ、まだ気掛かりはあるのだけれど──。
「よう、七瀬!今日も早いじゃねーか。」
教室に入るなり、真っ先に弘毅が声をかけてきた。
今までも馴れ馴れしいとは思っていたが、最近特に話しかけてくるようになった。
もしかしたら、彼なりに気にかけてくれているのかもしれないと思い、今ではあまり鬱陶しくなかった。
「おはよう。いつも元気そうで、羨ましい限りね。」
「おうよ!俺は元気だけが取り柄だから……って、こらっ!」
むしろ今では、弘毅の明るさが、私の心の支えになっていた。
でもやはり、彼に対しては素直にはなれないのだが。
その後、なんだかんだ2人で話していると、カイくんが教室に入ってきた。
その時、昨日のリッくんとの会話が蘇り、思わず私は凝視した。
『僕が兄さんを救って見せるから。』
そして、あの時のカイくんの言葉が、私の脳裏に蘇った。
「おっ!陸斗も来たか。おはよー!」
いつものカイくんなら、クラスメイトと当たり障りのない会話をするが、今日は何だが様子がおかしかった。
弘毅の挨拶に応えるどころか、目を向けることなく、そのまま席に着いた。
「なあ、七瀬。あいつ、どうしちまったんだ?」
弘毅はカイくんに聞こえないように、耳打ちをしてきた。
「そんなの、私も分からないよ。」
「……だよな。」
そう、分からない。
私は最初から、カイくんの事を理解できていないのだから。
「でもさ、あれ、怒ってるよな。」
「誰に?」
「知るかよ、そんなの……。」
確かに弘毅の言う通り、カイくんはいつもと違って、何だか少し怖い雰囲気だった。
顔に出ている、というわけでもないけど、そういうオーラ?みたいなのを感じた。
そうして2人でカイくんの事を話していると、ホームルームを告げるチャイムが鳴った。
「ヤベッ!もうそんな時間か。」
そう言うと弘毅は、慌てて自分の席へと帰っていった。
そうして、授業が始まっていったのだが、私はカイくんの事が気になって、全然集中出来なかった。
なので昼休みになった時、意を決してカイくんに話しかけようとした。
ところが──。
「えっ……帰るの?」
何とカイくんはリュックを背負って、教室から出ようとしていた。
私の声に気付いたのか、カイくんはゆっくりと私の方に顔を向けた。
すっかり優しさの無くなった冷徹な目が、私を捉えた。
でもその目は、私ではない、どこか別のものに向けられている気がした。
「体調不良……。後、しばらく学校休むから。先生に言っておいて。」
「えっ………?」
そう言うとカイくんは、さっさと教室から出ていってしまった。
残された私は、しばらく呆然と、カイくんが出ていった出入り口を見つめていた。
あの日、屋上での出来事がきっかけで、私はカイくんと一緒に登校しなくなっていた。
あの豹変した様子が忘れられず、どうしても距離を置かずにはいられなかった。
その事と、リッくんの事が重なり、最近は憂鬱な生活を送っていたのだが、昨日の電話でリッくんが元気だと知れて少し安心した。
ただ、まだ気掛かりはあるのだけれど──。
「よう、七瀬!今日も早いじゃねーか。」
教室に入るなり、真っ先に弘毅が声をかけてきた。
今までも馴れ馴れしいとは思っていたが、最近特に話しかけてくるようになった。
もしかしたら、彼なりに気にかけてくれているのかもしれないと思い、今ではあまり鬱陶しくなかった。
「おはよう。いつも元気そうで、羨ましい限りね。」
「おうよ!俺は元気だけが取り柄だから……って、こらっ!」
むしろ今では、弘毅の明るさが、私の心の支えになっていた。
でもやはり、彼に対しては素直にはなれないのだが。
その後、なんだかんだ2人で話していると、カイくんが教室に入ってきた。
その時、昨日のリッくんとの会話が蘇り、思わず私は凝視した。
『僕が兄さんを救って見せるから。』
そして、あの時のカイくんの言葉が、私の脳裏に蘇った。
「おっ!陸斗も来たか。おはよー!」
いつものカイくんなら、クラスメイトと当たり障りのない会話をするが、今日は何だが様子がおかしかった。
弘毅の挨拶に応えるどころか、目を向けることなく、そのまま席に着いた。
「なあ、七瀬。あいつ、どうしちまったんだ?」
弘毅はカイくんに聞こえないように、耳打ちをしてきた。
「そんなの、私も分からないよ。」
「……だよな。」
そう、分からない。
私は最初から、カイくんの事を理解できていないのだから。
「でもさ、あれ、怒ってるよな。」
「誰に?」
「知るかよ、そんなの……。」
確かに弘毅の言う通り、カイくんはいつもと違って、何だか少し怖い雰囲気だった。
顔に出ている、というわけでもないけど、そういうオーラ?みたいなのを感じた。
そうして2人でカイくんの事を話していると、ホームルームを告げるチャイムが鳴った。
「ヤベッ!もうそんな時間か。」
そう言うと弘毅は、慌てて自分の席へと帰っていった。
そうして、授業が始まっていったのだが、私はカイくんの事が気になって、全然集中出来なかった。
なので昼休みになった時、意を決してカイくんに話しかけようとした。
ところが──。
「えっ……帰るの?」
何とカイくんはリュックを背負って、教室から出ようとしていた。
私の声に気付いたのか、カイくんはゆっくりと私の方に顔を向けた。
すっかり優しさの無くなった冷徹な目が、私を捉えた。
でもその目は、私ではない、どこか別のものに向けられている気がした。
「体調不良……。後、しばらく学校休むから。先生に言っておいて。」
「えっ………?」
そう言うとカイくんは、さっさと教室から出ていってしまった。
残された私は、しばらく呆然と、カイくんが出ていった出入り口を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる