“魔剣" リルムリート

さよなら本塁打

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序章3 新たなる恋? 川岸で、脱がされて……!

第7話 ベッド

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 いつもの川岸に隼人は立っていた。暑い。水浴びをしたくなる。 


 先客がいた。その豊満な裸身は真ッ白だ。髪と股間だけが黒々としている。 


「あらっ?こんにちは」 


 細い二重まぶたが、笑ってあいさつをした。和美だった。相変わらず、いやらしい体をしている。胸は大きく尻も豊かだ。腰まわりはくびれているが、柔らかそうで全体的に細すぎないのがいい。


 香代と違う。あいつは子供だったから、おっぱいもお尻もなくて、ガリガリで細かった。もし生きていて大人のオンナになれてたら、こんな風にエッチな女の子になっていたのかもしれない。でも、死んじゃったから、ずーっと子供のまんまだ。 


「あなたもいっしょに入るでしょ?お洋服もパンツも、脱ぎなさいな」 


 和美が言わなくとも、隼人はもう脱いでいた。おちんちんを見られることを恥ずかしいなんて、もう思わない。むしろ、和美さんに見せたいと思った。見て、こんなに大きくなってるでしょ? 


「おいで……こっち……」 


 そう言われたので、隼人は川に入り、和美のもとに近づいた。彼女は大人にしては、背が高いほうではない。それでも11歳にしては小柄な隼人と並ぶと、背丈はずいぶんと違う。 


 和美が抱きしめてくれた。顔に大きな胸が当たり、ちょっと苦しい。息をはいたら、彼女の大きめの乳首に、それがかかった。 


「あァン♪」 


 和美が色っぽく喘いだ。感じてしまったらしい。


「もう、バカ……今、わたしにエッチなことしたでしょ?」 


 してないよ。息をしただけだよ。 


 隼人を抱く和美は、甘くていい匂いがする。香代も似たような匂いをしていた。銃弾をよけそこねた痛みと恐怖に泣いたとき、香代もこんな風に抱きしめてくれた。そのときに嗅いだ匂いだ。 


 そういえば、まだ啓子の匂いを嗅いだことがない。いつもいっしょにいるのに。今度、彼女が寝てるときに嗅いでみよう。どんな感じかな? 


「これからわたしたち、もっとエッチなことをするのよ……」 


 和美が言った。 


 “もっとエッチなこと"って、なに? 


 和美の体から顔だけ解放された隼人が、彼女を見上げた。露出したおちんちんは、和美のジューシーな太もものあたりに当たっている。ちょっと、気持ちいい。 


「それはね……」 


 目をつむった和美の唇が、隼人の顔に近づいてきた。美人じゃないけれど、なんか……かわいい! 










 隼人は目を覚ました。朝にさえずる鳥の声は、まだしない。かわりにカエルの鳴き声がうるさかった。時計の針は暗くて見えないが、夜中だろう。起きるには早すぎた。 


「痛ッ……」 


 下腹に痛みを感じた。パジャマのスボンをめくると、啓子から借りているパンツの真ん中が膨らんでいる。隼人は勃起していた。なんだか、熱い…… 


 小学五年生の隼人でも、“こうなること"は知っていた。はじめての経験ではない。香代とのことを思い浮かべて、なったこともある。ただ、好きな女の子のことを思うとなるものだと、子供の彼は勘違いをしていた。 


(和美さんのこと、好きになっちゃったのかな……) 


 そう思いながら、隼人は横に目を向ける。隣のベッドは空だった。啓子は今夜、同級生の家にお泊まりに行っている。彼女がいないほうが、都合が良かった。 


 隼人は起き上がると、その啓子のベッドにうつ伏せになった。枕に美しい顔をうずめ、シーツをはったマットレスに勃起した性器を押し付けたまま、腰を動かす。とても気持ちが良かった。 


(啓子ちゃん……和美さんの代わりにして……ごめん、ごめんね……でも、我慢できないよ……) 


 心の中で詫びながらも、隼人は快楽の虜になった。啓子の枕は、シャンプーの匂いがした。それを嗅ぎながら、彼は何度か果てた。 










 同じ頃。薩摩郡T町池田川元いけだかわもと


 さきほど、高中みゆきが、“なにか"に惨殺された池田野口に隣接したこの集落は、県道に沿った田んぼと畑に囲まれた、のどかな集落である。築百年を数えるような古い家も多く、高齢の住民が大半をしめるが、中には同一の敷地内に息子夫婦が新築を建てている家庭もある。田舎にしては世帯数も多く、面積も広い集落だが、それでも幹線道路を外れれば、やはり寂しくなる。 


 その民家がまったくないあたりの狭い道路に、車が一台入れるほどのスペースがあり、そこに黒いワンボックスが停まっていた。 


「なァに?また、車の中でするの?……ンもうッ……」 


 舌っ足らずな声を出すその口を、男の口がふさいだ。入念に舌の表面を舐め回し、歯茎までをも舐め取ると、互いの口から蜘蛛の巣のような糸が引いて、落ちた。抱いた腕に力がこもる。 


 女の方の名前は、新庄麻沙美しんじょう まさみ。S市内にある私立大学の一年生である。彼女にとってのルーキーイヤーでありながら、今年のミスコン優勝候補筆頭と目されるほどの美形であり、学内にファンも多いが、そのファンたちが知らない淫猥な顔を今宵、見せていた。 


「いいじゃねぇかよ……誰もいねぇしよォ」 


 男は鼻息も荒く、もう一度キスをした。フラットにした後部座席がぎしり、と音を立てる。ふたりは寝そべった状態で、抱き合っていた。 


 麻沙美の美しさは群を抜いていた。整った目鼻がバランス良く配置された現代的な小顔は、それだけで目立つレベルにあるが、あえて黄金率を否定するかのような肉厚な唇もまた、魅力的だった。


 全体的なイメージはロリータフェイスでありながら、唇だけが魔性を持つという個性は、超一流の発想と技術を持つ画家だけが描くことを許される、アンバランスな女性画と共通する美しさと言っていい。 


 入学当初から同じ大学の男たちの間では、“誰が麻沙美の心を射止めるか"と、話題になっていた。ゴールデンウィークまでに、二十人以上の男子学生から告白され、そのすべてに対し、丁寧な断り方をするのは大変な苦労だった。美人な上に、人当たりが良いので、余計に人気者になった。 


 そんな彼女は結局、学外に男を作った。 


「こんなド田舎、誰も来やしねぇしよ」 


 その男の名前は、山之内宏昌やまのうち ひろまさ。二十歳。洋菓子店で働く、パティシエ見習いである。 


 ふたりの出会いは、宏昌の勤務先だった。ケーキを買いに店を訪れた麻沙美は、そこで懸命に雑用をこなす彼を見たのである。けっこうルックスが良い、というのが第一印象だったが、それが、口うるさそうなおばさんパートにこき使われてる姿に、奇妙な母性を感じたのだ。 


 何度か店に通い、宏昌に顔を覚えられたころ、近所の書店で二人は、ばったりと運命の出会いを果たした。宏昌は著名な菓子職人の本を、麻沙美はアルバイトの求人誌を手にとっていた。 


“将来は留学して、一流のパティシエになる" 


 そう語る宏昌の姿が、麻沙美にはとても眩しく見えた。見習いパティシエとはいえ、明確な目標を持たない学生の立場から見れば、それはとても素敵な夢に思えたからだ。 


 こうして、ふたりの交際は始まった。付き合い始めて三ヶ月。若い肉体は会うたびに、必ず互いの肉体を求めるようになっていた。宏昌は絶倫だったが、それを受け入れられるだけの性的体力が、麻沙美にもあった。一、二回戦程度では、終わらない。 


 最近はアブノーマルな路線にも、何度か踏み込んでいる。つい先日も宏昌が、いかがわしい店で調達したナース服を着せたままで、ことに及んだ。その前は、マンションのベランダで夜風にあたりながら交わった。そんなふたりが、カーセックスをすることなど、不思議でもなんでもないのである。 


「ヒロくん……誰かに聴かれちゃったらどうするの?」  


 甘えた声で麻沙美が聞いた。断わるつもりはない。 


「誰にも聴こえたりしねぇよ。こんな時間に来ねえって……」 


 まだ明け方まで時間がある。こんな深夜に人が通るはずはない。 


「もう……ヒロくんは、元気だなぁ……」 


 麻沙美の肉厚な唇から、甘い吐息が漏れる。華やかな見た目に反して、尽くすタイプの女だったが、それはこういうときも変わらない。宏昌が普段、仕事でストレスを感じていることは知っている。ならば、少しでも、恋人として癒やしてあげたかった。


 ベッドの上で、彼に要求されたことを断ったことはない。彼女の魔性の唇で、それをしてやれば、宏昌はそれだけで喜ぶのだ。今夜も、たくさんしてあげるつもりだった。 


 宏昌が、麻沙美の服を脱がそうとした。今日は、彼が大好きな黒い下着をつけている。喜んでくれるだろう。そう、思ったとき、車のフロントガラスに“なにか"がはりついていた。


 麻沙美が悲鳴をあげた。人影“らしき"ものが、目を光らせて、こちらを見ていたのだ。それが手のひらを当てると、二秒ほどでガラスが粉々に砕け散った。そのまま車内に入ってくる。


「なんだ、てめぇ!」


 後部座席から身を乗り出し、宏昌が掴みかかろうとした。それに対し、人影“らしき"ものは手刀を振り下ろす。一瞬、反射的に目をつぶった麻沙美が次に見たものは、口から上をきれいに刈り取られた、恋人の顔の残骸だった。


 恐怖におののく、麻沙美の叫びが響いた。ふたりの望むとおりに、それは誰にも聴かれることはなかった。





 
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