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しおりを挟む本当の事を話すと、ハルの顔はみるみるうちに赤くなっていった。
「と、とりあえず冷えピタ貼る?」
ハルは俺を睨んで肩に緩くパンチした。
***
ハルはどうやら、俺を飼っていた犬の生まれ変わりだと思っていたらしい。流石にそれは無い、と言いたいところだけれど、ハルが確信するほどだからよっぽど似ているのだろう。
「俺よく犬っぽいって言われるし」
「…名前も一緒だし」
「そっか、ハルは俺の名前知らなかったのか」
「そもそも女の子だと思ってた」
「でも俺が初恋で間違いない?」
「………」
耳まで真っ赤にさせて両手で顔を覆うハルが可愛くてたまらない。
「一回抱き締めていい?」
「無理」
「えっ」
「今は無理です」
おあずけをくらって大人しく正座で待っていると、ハルがじとりと睨んできた。
「なに?」
「そういう、待てされてるところもアキみたい」
「勘違いさせてごめんね」
ハルの可愛さにニヤニヤしてるとまた叩かれて、ごめんと平謝りをする。また叩こうと振りかざした腕を止めて、ハルを引き寄せた。鼻と鼻がくっつくくらい近く。
「ハル、かわいい」
目をまん丸く開いたハルの顔がまた真っ赤になっていく。死ぬほど可愛い。頬に触れるとやっぱり熱くて、体調が悪かった事を思い出した。
「ごめん!ハル寝てて」
「…お粥食べる」
嬉しくてすぐに用意をして、ハルの元に戻る。まだ温かいお粥を茶碗によそって、ふぅと息を吹きかけてからハルの口へ近づけた。ハルはまだ気恥ずかしいのか目線を合わせないままレンゲに乗ったお粥を口に入れた。小さく「おいしい」と言われ、今までにないくらいの幸せで心臓が脈打つ。
「俺、ハルが生かしてくれたって思ってる」
手術の前日、両手を握ってくれたハルを思い出して無意識に心臓を押さえた。
「ハルに会いたくて、ハルのために生きてきた」
「…おおげさ」
「だから大袈裟じゃないって。俺もハルも生きてて、こうして一緒にいれる」
今までの人生で、ハルの失ったものは大きすぎる。これからの人生をどんなに幸せで塗り固めたとしても採算が合わない。だからせめて、自分がハルの幸せの一部になりたいと願っている。
「ハルの幸せになりたい。だからこれからも一緒にいさせて」
「出ていくんじゃないのかよ」
「俺の理性が持つ限り…がんばります」
あーんと次のお粥を催促されて慌てて茶碗にレンゲを突っ込んだ。待っている間ハルが不機嫌そうにそっぽを向いて、別に、と呟いた。
「別に頑張らなくてもいいだろ。…好きにしたら」
こちらを一切見ずにボソボソと言うハルの耳は真っ赤に染まってる。レンゲを茶碗に入れたままお盆に戻す。もう無理、俺の理性なんて元々あってないようなものだ。気付くと頭より身体が先に動いてしまう。四つん這いでハルに近づいて制止されるより先にキスをした。ハルの身体が一瞬跳ねて小さく吐息をもらした。
「ん、あき…」
「好きにするね」
一応断りを入れてから頬を押さえて顔をこちらに向けさせた。ハルの唇は柔らかくて優しい味がした。自分が作ったお粥だけじゃない、ハルそのものの味。もっと味わっていたくて舌で舐めるとハルの肩がビクリと動いて腕を掴まれた。
「口あけて」
「は、ば、かやろ」
喋ってくれたのをいいことにするりと舌を入れた。ハルの舌は逃げるみたいにあちこち動いて触れられない。焦らされてるみたいでムキになって追いかけていると、腕の力が強まって押し返された。
「ちょ、も、むり…」
「無理じゃない、もっと」
ふるふると頭を振ってこれ以上はダメだと示してくる。確かにハルは具合が悪いんだ、とどこに隠れていたのかわからないほど吹き飛ばされていた理性がひらりと舞い戻ってきて、ハルの顔色を窺った。熱だけじゃない熱が込められた視線を上目で投げてきて、思わず喉が鳴った。理性は飛ばされたダメージで瀕死寸前だ。
「ハル、だいじょうぶ?」
「だいじょばない」
両手で俺の腕をぎゅっと握って、火照った顔でとどめを刺す。
「好きすぎて、むり」
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