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ヒマリ④
しおりを挟むリンと委員会の時以外にも会うようになってから、自分の毎日がぐるりと変わっていくのを実感した。
コンタクトは思っていたよりも怖くないし痛くもない。化粧も自然な色を選べば違和感なく垢抜けたように見える。髪の毛のアレンジはまだ練習中だけど、リンが魔法みたいに可愛くしてくれる。
夏の間に大変身を遂げてしまい、新学期のことを考えると少し恥ずかしくて憂鬱に感じるけれど、それでも日々変わっていく自分を鏡で確認するのは楽しかった。何よりリンがたくさん可愛いと褒めてくれることが少しづつ自信になっていった。
「来週の夏祭り、どうする?」
二人でアイスを食べている時にリンに聞かれた。
「リンは誰かと行くの?」
「いや私じゃなくて、ヒナタ先輩誘いなよ」
「え?」
素っ頓狂な声が出てリンが呆れたように笑った。
「なんのために可愛くなってんのよ。先輩に見せなきゃ」
ね?と宥めるように首を傾げてわたしの顔を覗き込む仕草が可愛くて、リンになりたいと思った。
リンなら迷わず好きな人を夏祭りに誘えて、楽しい夏の思い出を作れるのだろう。
「ヒマリは可愛い。だからきっと大丈夫」
リンがわたしの手を握って、おまじないをかけるように呟いた。自信のつく、勇気の出るおまじない。真っ直ぐに見つめるリンの瞳に嘘なんかなくって、今、わたしはリンの言う通り可愛いのかもしれない。それなら、伝えるなら今なのだろう。
リンを見つめ返して、小さく頷いた。
それからヒナタ先輩に電話をした。先輩は想像していたよりも嬉しそうに快諾してくれた。電話が終わるのを息をのんで待ってくれていたリンが、結果を聞いて抱きついてきた。
良かったね、おめでとう、と何度も頭を撫でて自分のことのように喜んでくれた。はしゃぐリンを見て、じわりじわりと実感が湧いてくる。
今年の夏は、なにもかもが違う。漫画の世界にしか存在しないと思っていた青春みたいな日々を送れている感じがする。
なにもかもリンのおかげだと、ありがとうと抱きしめ返した。
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