人間さんと暮らしてみましたが、ちっとも馴染めません。

白光猫(しろみつにゃん)

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お勉強は続く

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 アーシュは小さく咳払いしてから、こちらを向いてくれました。
 良かった。まだ見捨てられなかったようです。先生、私頑張ります!

『イレーヌはとても字がお上手ですね。言葉遣いも丁寧ですし』
『そうなのですか? 母様と文通するために赤い鳥さんに教えてもらいました。母様もたまに、練習用の手本を送ってくれます』
『手紙はどうやってやりとりされるのですか?』
『赤い鳥さんが届けてくれます。おしゃべりでとっても楽しいですよ?』

 アーシュに、あの綺麗な羽根を見せてあげたいなあ。手触りもスベスベでとても気持ちがいいのです。調子に乗って撫ですぎると、手の皮膚をねじ切る勢いで、くちばしでつままれますが。

『赤い鳥さん以外の三頭の神獣は、どのようなお姿なのでしょう?』
『えっと、真っ白な虎さんと、青い蜥蜴(とかげ)さんと、黒い甲羅の亀さんです』
『……』
『アーシュ?』
『とても賑やかで楽しそうですね』
『はい楽しいです』

 アーシュがにっこり。私もつられてにっこり。

『先ほどの続きなのですが……【王様】と【王】は同じ意味ですか?』
『はい。王に敬意……尊敬の思いを込めて【様】を付けているだけです』
『【父様】の【様】と同じ使い方ですね?』
『そのとおりです。森の外へ出れば、自然とそういった言葉の使い分けは身についていきますよ。焦らずにゆっくり覚えていけばいいのです』
『わかりました。あの、あともうひとつだけいいですか?』
『はいなんでしょう? ああ、そんなに慌てて書かなくとも大丈夫です。私はお茶をいただきながら、のんびり待てますから』

 キヌの実のお茶を、アーシュは美味しそうにひとくち飲んでくれました。
 ペンを置き、私は最後の質問をアーシュにぶつけます。

『【人間】とは、どんなものですか?』

 ぐふっ! げほげほげほっ!

 この森固有のキヌの酸味は、森の外の神獣には刺激が強すぎたのかもしれません。あんなにお上品に飲んでいたアーシュが、盛大にむせてしまいました。

 先生のお口には合わなかったようですね。とても残念です。
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