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第2話 お茶会と穏やかな時
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『ザサラの星々』の大瓶座は、この星座を挟んでいる大熊座と眠り猫座の友情に纏わるエピソード。
眠れない女の子に語る話は昼寝好きの仔猫を待つ仔熊の心境へと差し掛かっていた。
2人で料理をする約束をしている仔熊は、友達が起きるのが待ち遠しい。
ミルフィレナも『まだかな?』という台詞で覚えたものだ。
だが今回は内容に変更を加える。
元々短い説明文から広げるのだ、解釈の違いも楽しんでいく。
「『どんな夢を見てるのかなあ?』 仔熊は言いました。仔猫のすやすやとした寝顔に心がぽかぽかと温かくなっています。お友達の前で安心してお昼寝している仔猫は『すうー、すうー……』と寝息を立てています」
顔も名前も知らない女の子の髪を撫でる気持ちの優しい音色。
少し逸れて、目の前の『あなた』とお話しする。
「あら? あなたは、眠れていないのね? 耳を澄ませてみましょうか、仔猫の寝音が聞こえるかしら。『すうー、すうー』──焦らなくていいのよ。仔熊もお昼寝していませんもの、目を閉じて、静かにしていたら、ゆーっくり休めていますからね。口元が緩んでくるわ」
夜になると両親に会えなくて寂しく泣いていた弟の姿が思い出される。
わたくしはここにいるわ、安心してね──そんな思い声に載せる。
「『すうー、すうー……むにゃ、むにゃ』見えたかしら、仔猫の口も動きましたね。そうです、仔熊と仔猫はこのあとミルクスープを作る約束でした。お話はまだ続きますから、あなたも完成まで待っていましょう。出来上がるまでどのくらいかかるのかしら。──まあ、今の、聞こえましたか? 聞こえなかった? もう1回。『ふわぁ……』とあくびをしてみましょうか──」
強張る小さな体を今夜も休めて、おやすみなさい、いい夢を──。
◇◇◇
そうしてミルフィレナは──物語を読み聞かせた王女様から、お茶会に誘われるのでした。
◇◇◇
ミルクスープの色をしたリボン。
亜麻色の髪では愛らしさが際立って気後れしたが、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウム王女殿下の艷やかな漆黒にも結ばれていた。
シルクとレース、2つが揺れる。
「お初にお目に掛かります。ミルフィレナ・ロサシューと申します」
案内されたシュトクラウセ・クーヘンハウム殿下の邸宅のティールームでは殿下お2人が既にお待ちだった。
深々と礼をするミルフィレナに、深みのある凛とした声が掛かる。
「面を上げよ」
「はい──」
「ルイ? ルイ、どうした?」
椅子から立ち上がったルイシェード殿下は背の高い叔父上の後ろへと駆けていって隠れてしまう。
「客人に挨拶なさい」
「っ……」
「少々待っていてくれ。──ルイ。君が呼んだのだろう」
ミルフィレナにはルイシェード殿下の頬が染まったのが見えていた。
背もたれ越しで俯いていたら、長身のシュトクラウセ殿下には困った様子が伝わらないだろう。
「ルイシェード殿下、お側に寄ってもよろしいですか?」
尋ねながら護衛の王弟殿下に確認する。
許可を与えられ、ミルフィレナは藍色に金糸の刺繍が鮮やかな絨毯を進む。
膝を突いて壁際の真っ赤になっている王女様と目を合わせた。
「はじめまして、ミルフィレナ・ロサシューです」
「……ルイシェード」
「はい、殿下。お会いできる日を楽しみにしておりました」
「あの声……」
「ええ」
震えている少女の手を取ろうとしてしまった。
一瞬の剣呑な空気は、ルイシェードがミルフィレナを抱きしめて数秒で霧散する。
「あっ──」
「会いたかった!! ミルフィレナ・ロサシュー! 待っていたのよ!!」
「わたくしも今日の日を指折り数えて待っていましたわ」
抱擁を交わす淑女達に頭上から嘆息が降ってくる。
闇よりも濃い色の髪、月明かりを宿した天鵞絨の夜空の青の瞳。
睨むと言うより呆れている顔つきは、想像していた殿方よりも柔らかく感じる。
「客人をいつまでも跪かせるな」
「そうね! お手をどうぞ、ミルフィレナ嬢」
「ありがとうございます」
立ち上がるためにはずっとずっと下の位置にある御手が愛らしく、ミルフィレナは流れるような所作でドレスの裾も直した。
アプトゥーデ国の王女にエスコートされるなんて夢のようだ。
2人の正面の席に着くと、向かい側の王女殿下ルイシェードが満面の笑みで目を輝かせている。
顔立ちはよく似ているのに、お隣の『叔父上』の落ち着きに対して明るく眩しい陽の光だ。
「今日はようこそ! アプトゥーデ国が王女、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウムよ。この方は国王陛下の弟君のシュトクラウセ・クーヘンハウム殿下。知ってるわよね!」
「はい、存じておりますよ殿下」
「叔父様も! 挨拶してよ、わたしのお客様に!」
「シュトクラウセだ。今日はルイシェードとそなたの交流を目的としている。私はいないものとして扱うといい」
「かしこまりました」
翻訳するなら『私に構わず楽しんでくれ』と言ったところか。
表情には殆ど出ていなかったがその視線だけで読み取れている。王弟殿下が如何に『姪』を慈しんでいるのかミルフィレナには分かるのだ。
対照的な2人、ルイシェードは不満そうに薔薇色の唇を尖らせている。
「何が気に食わない」
「殿下……わたしも叔父様も殿下よ。ミルフィレナ、ルイって呼んで!」
身分も立場も弁えるなら伯爵家の娘が一国の王女に対して愛称で呼ぶなど無礼極まりない。
けれどもここは小さなお茶会。
ミルフィレナは元気な女の子のはつらつとした姿を見ていたい。
だからほんの僅かにでも迷わなかった。
「ルイ様」
「うん! あなたは家族に何て呼ばれてるの?」
「ミルフィーと」
「ミルフィー! 可愛いわね! ねえミルフィー、わたしね、さっきね、月の女神フォスフィローネが来てくれたんだと思ってすっごく緊張しちゃったのよ! あなたって笑うと雰囲気変わるわ、そっちの方が好きよ!」
「ありがとうございます──」
女性にしては背が高いミルフィレナは自分の容姿が好きではない。
この国で美人とされる麗しさや華々しさがなく暗い性格が表れてしまっている。
長い間コンプレックスだったのにルイシェードからの『可愛い』で解きほぐされていた。
「笑顔が可憐ね、ミルフィー。ね、叔父様、叔父様もミルフィーの事可愛いって思うでしょ?」
「あ、あの、十分お褒め頂いておりますので……!」
「叔父様ー? レディーは褒めなくっちゃいけないのよ」
おしゃまなルイシェードの言葉に冷や汗が吹き出る。
王女の発言を否定したり代わりに謝るなどしてはいけないし、贈られているのはとにかく好意一色なのだ。
自分が気に入ったものを共有したい感覚は理解するが、無言で見つめられて身が竦む。
やはりミルフィレナは男性が苦手だ。
年上の──若い男性は苦手だ。
「ルイ様、わたくしはお恥ずかしながら殿方との会話が不得手なのです。もしシュトクラウセ殿下に褒められてしまったら……恥ずかしくて駆け出してしまいそうになります」
「えぇっー!?」
「殿下。ルイ様とのみお話するご無礼を許してくださいますか?」
「構わない。最初からそのつもりだ」
口元が綻び、険しかった双眸は和らいで星々の瞬きを湛える。
男性と意識せず、公爵閣下と畏怖せずにいれば、目の前の人は短く言葉を扱う優しい叔父上様。
それがミルフィレナにはとても大きな意味を持っている。
「いいの? ミルフィー……でも」
「ルイ様に褒めていただけますと、ミルフィーはとっても嬉しいのですよ」
大胆で繊細で目が離せない。
この御方に出会えた奇跡はどんな物語にも紡げないだろう。
母マレーヌに言われたように、ルイシェードに対して恋よりも情熱的な感情が押し寄せていた。
「わあ──! あなたからの贈り物、わたし、夜じゃなくてもずっと聞いてるの。どれも素晴らしいけれど大瓶座の話が1番好きよ! ねえ、あなたの声ってどうしてそんなに優しいの?」
「どうして、でしょう……?」
「月の女神もかくやの麗しさなのにあなたって初な乙女のように恥じらうのね。燃えるように真っ赤よミルフィー、苺みたいだわ」
「ルイ様は、この白薔薇のように気高くお美しいです──」
「……フッ」
未来の国王ともなると賛美の台詞も軽やかに弾むものなのだろう。
たどたどしい口調で賛辞を、思いの丈を述べると、側で聞いていたシュトクラウセ殿下が桃の蜜煮のような息を吐く。
驚きのあまりミルフィレナは目を大きく見開いてしまった。
「見た? ミルフィー、叔父様が笑ったわ!」
「はい……。あっ──、申し訳ございません!!」
「いや、愉快な会話を聞かせてもらった。ルイ、彼女に読んでもらいたいものがあるのだろう?」
「そうだったわ! 持ってきてちょうだい。あ、ミルフィー、お茶が冷めるわ! わたしの好きなアップルティーよ、召し上がれ」
1客がりんごの木のような意匠のカップからは芳醇な香りがしていた。
シュトクラウセ殿下に頷かれ、ルイシェード更に褒められながら、ミルフィレナはほうっと一息吐けるのだった。
まだ熱い全身は冷めるどころか火照るばかりだ。
「もういーい?」
「はい」
「ロサシュー殿。あまりルイを甘やかさないでくれ」
「まあ! 叔父様は聞かなくってよくってよ、今だけ退室してくださる?」
「……ルイ」
「仲がよろしいのですね」
「そうかしら? そうでもないけど……」
「ロサシュー様、こちらを」
抜群のタイミングでメイドが持ってきた、ルイシェード殿下の印章が透かしで入った書状。淀みないインクが描いた流線は愛情の詩。
「わたくしが──よろしいのですか?」
「ええ、お願いするわ」
この御方は、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウム殿下はミルフィレナ・ロサシューの心を震わせる。
幼いからではない、王女だからではない、同じ立場の者として高潔な魂に惹かれるのだ。
息を吸い、声を上げるのも恐れ多くて光栄だ。
「『わたしの愛おしい、弟、妹。この空の清廉さを御前に教えよう。木漏れ陽の安らぎへと御前を導こう。御前が眺める景色のどれよりも、わたしが御前に美しいものを渡してやろう。代わりにお姉様に見せておくれ、御前がどのような色を持ち、どのようにわたしに微笑みかけてくれるのか、お姉様に教えておくれ。わたしの愛おしい、弟、妹。わたしの家族になる者よ。御前が生まれてくる日を楽しみにしているよ』」
運命があるのだとしたら、王女殿下にお仕えする事こそミルフィレナの生涯の幸福であろうと信じられる聡明な面差し。
お姉様になるのだからと周囲に遠慮してしまった幼い女の子、あなたの一時の慰めになれれば何と幸せな──恋を知る前に蕾を落とされたミルフィレナは、天啓を受けた心地でルイシェードを一心に見つめていた。
「今のはハープの調べね、物語の時とは響きが違うわ。あなたもお姉様だものね」
「はい」
「大瓶座の物語を聞いた時、あなたには心から愛してる存在がいるんだって分かったわ。あなたの言葉と声だからわたしの胸に届いたの。お母様のところに行ったわ、お腹を触ったの、お姉様を蹴ったのよ。お父様ともお話しできた……寂しいって、はじめて言えた」
「ええ……ええ」
「あなたの声を聞くと心が温かいわ。真っ暗なところにいた気持ちだったけどお月様に守られているかのように勇気づけられるの」
「ルイ様」
「あなたの醜さも受け取ったわ。お姉様って大変なのね……あなたのような姉にわたしもなれるかしら」
「勿論です!」
弟ができて居場所がなくなったかのように感じたミルフィレナ・ロサシューの思いを、1粒の星に閉じ込めた。
送ってから後悔してしまったが、嘘偽りない真心が姉になる少女の力になれた。
こんなにも嬉しい事があるだろうか。
「礼を言うわ、ミルフィレナ・ロサシュー。ありがとうミルフィー!」
「ルイ様──ミルフィーは必ず、どんな時も、ルイ様のお側におりますからね」
「ええ! わたし達の約束よ」
家に閉じこもっていた伯爵家の娘が一足飛びに王城で働くなんて絵空事。
しかしミルフィレナは貫かれてしまったかのようにルイシェードから目が逸らせない。
『わたしを見ろ』と、華やかな薫衣の紫水晶には引力がある。
「ロサシュー殿、一体、何を……」
「天から雨の滴が注いでも、月は必ず雲の裏で昇っている……そのように、というわたくしのおこがましい願いです」
「あぁ──」
「ミルフィー、それ以上は言っちゃだめよ、叔父様でも言っちゃだめ。ねえ、ミルフィー! あなたのことをもっと教えて!」
ロサシュー家の後継ぎである弟の迷惑にだけはなるまいとのみ決めていたミルフィレナの将来の希望的観測に、とうとう大きな夢を見つけた。
太陽に憧れ、焦がれている。
◇◇◇
女の子は準備が大変だったのでしょう、うとうとと眠たくなった様子です──。
はしゃぎつかれてしまったルイシェードは、カウチに横たわり瞼を閉じている。
目の下に隈もない安穏な寝顔にミルフィレナは微笑んだ。
「よくお眠りになられていますね。ルイシェード殿下のご年齢で睡眠が取れないのはご成長の妨げです。お顔の色もよくて安堵いたしました」
膝を貸して幼子の髪をそっと撫でる。
この数時間で幾らか心を許してくれたシュトクラウセも怜悧な眦を下げている。
「ロサシュー殿、ルイと呼んで構わない」
「ですが……」
「友達なのだろう? その気遣いは無用だ。ルイこそドレスに皺を寄せてしまってすまない。強く掴みすぎだな」
「王族たる御方が謝罪を口になさってよろしいのですか?」
「ここにいるのはただの叔父だ。だがこの子には伏せていてくれ」
「かしこまりました」
みだりに謝罪をするなと注意していた年嵩の男性が、身分の低い年下相手に謝るのは大人だけの会話だからか。
威圧感が薄れやや饒舌になったシュトクラウセはルイシェードに上着を掛ける。
そして彼女を挟んで反対側、つまりミルフィレナの隣に腰を下ろした。
「姉の面差しだ。幼い弟がいるのだったな」
「11離れております」
「弟妹とは愛しいものなのか?」
「ええ、とても。殿下も国王陛下の愛おしい弟君でいらっしゃいますね」
「そうだな。ゆえに私はこの子の痛みが分からない。兄上も義姉上も貴女に感謝していた」
「勿体ないお言葉でございます」
自分達姉弟と王族を同列に語るなど許されざる所業だと何度か言葉を選んでいると、シュトクラウセが助け舟を出した。
その時、彼がお茶会に参加すると言った。
ルイシェードは大喜びで、持参したレースのリボンを彼にも結ぼうと攻防していた。
「ロサシュー嬢」
「はい──?」
「見事にルイの思惑に喫しているな」
「思惑、とは……?」
「この子は我が国の王太子になり、いずれ王座に就く者だ。生半可な男には負けないと言っていた」
「ルイ様は……わたくしの身の上をご存知なのですか?」
「いや。貴女は妙齢の淑女だからな。自分の手が届かない場所へ行かぬよう虜にしたいのだそうだ」
「まあ……」
美辞麗句の嵐は言われ慣れていて覚えたのだとばかり考えていたが、ミルフィレナを引き止める一計だった。
王族や高位貴族に仕えるのは子爵家や男爵家の子女が多い。
伯爵家長子だがミルフィレナは嫡子ではない、相思相愛ならば道は開けるかもしれない。
「その願いは、まだ貴女の胸に内に秘めておいてほしい」
「……傲慢ですよね」
「いや、貴女が近くにいればこの子もこの子の両親も心強い。身分も評価も申し分ない。しかし主従になってしまえば失われてしまうものがある」
「友達とは、呼べなくなってしまいますね」
「ロサシュー嬢。今後もこの子に友として振り回されてはくれまいか」
呼び方が変われば、呼ばれる側の心持ちも変わるのだ。
ロサシュー殿からロサシュー嬢、そなたから貴女。ささやかな違いが信頼の証になっている。
「ルイ様が望んでくださる限りは」
「半日で心酔しきっている」
「あのように真摯に訴えられますと、お慕いする気持ちが込み上げて参ります」
「ルイは口説くのが上手いからな。私とは大違いだ」
「殿下の愛の言葉は実直で飾らず、時に鋭利なのかもしれませんね」
「どうだろう。兄上と違ってその手のものとは無縁でな。女子供も同僚まで私を怖がる。貴女と違って私の声は刃物なのだろう」
「ご心配召されませぬよう。わたくしは怯えておりませんわ。シュトクラウセ殿下は面倒見のよい叔父上様ですもの」
「ルイが生まれた時から見守っているからな。自分でも甘い叔父の自覚がある」
帰る時刻が近づいていくに連れて気にする素振りを見せていたルイシェードに、シュトクラウセは『2人に渡したい物がある』とこの自室──邸宅の主の私室に呼んだ。
アプトゥーデとザサラそれぞれの星座盤と伝承の書物が2部ずつ、それにまだ音が入っていない黄色の宝珠。
ルイシェードから頼まれたのは兄弟姉妹の絆の話と恋する乙女の物語だった。
ミルフィレナは恋を知る機会を失っている。
上手く奏でられるだろうか。
「貴女も屋敷に戻らねばなるまい。代わろう」
「もう少し……」
「だが」
「時計の針の長針がもう1周して、お目覚めにならなければ……2言3言交わして帰りたく存じます」
「ならば、今起こしても同じだな」
「殿下!」
「長針が最上を指したら起こしてやってくれ」
声をひそめて話し、喉の奥で笑っている王弟殿下。
兄や姪との思い出を語る声は滑らかに口溶けるチョコレートのようで、尊敬と共感と柔らかな感情がミルフィレナの胸を満たすのだった。
眠れない女の子に語る話は昼寝好きの仔猫を待つ仔熊の心境へと差し掛かっていた。
2人で料理をする約束をしている仔熊は、友達が起きるのが待ち遠しい。
ミルフィレナも『まだかな?』という台詞で覚えたものだ。
だが今回は内容に変更を加える。
元々短い説明文から広げるのだ、解釈の違いも楽しんでいく。
「『どんな夢を見てるのかなあ?』 仔熊は言いました。仔猫のすやすやとした寝顔に心がぽかぽかと温かくなっています。お友達の前で安心してお昼寝している仔猫は『すうー、すうー……』と寝息を立てています」
顔も名前も知らない女の子の髪を撫でる気持ちの優しい音色。
少し逸れて、目の前の『あなた』とお話しする。
「あら? あなたは、眠れていないのね? 耳を澄ませてみましょうか、仔猫の寝音が聞こえるかしら。『すうー、すうー』──焦らなくていいのよ。仔熊もお昼寝していませんもの、目を閉じて、静かにしていたら、ゆーっくり休めていますからね。口元が緩んでくるわ」
夜になると両親に会えなくて寂しく泣いていた弟の姿が思い出される。
わたくしはここにいるわ、安心してね──そんな思い声に載せる。
「『すうー、すうー……むにゃ、むにゃ』見えたかしら、仔猫の口も動きましたね。そうです、仔熊と仔猫はこのあとミルクスープを作る約束でした。お話はまだ続きますから、あなたも完成まで待っていましょう。出来上がるまでどのくらいかかるのかしら。──まあ、今の、聞こえましたか? 聞こえなかった? もう1回。『ふわぁ……』とあくびをしてみましょうか──」
強張る小さな体を今夜も休めて、おやすみなさい、いい夢を──。
◇◇◇
そうしてミルフィレナは──物語を読み聞かせた王女様から、お茶会に誘われるのでした。
◇◇◇
ミルクスープの色をしたリボン。
亜麻色の髪では愛らしさが際立って気後れしたが、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウム王女殿下の艷やかな漆黒にも結ばれていた。
シルクとレース、2つが揺れる。
「お初にお目に掛かります。ミルフィレナ・ロサシューと申します」
案内されたシュトクラウセ・クーヘンハウム殿下の邸宅のティールームでは殿下お2人が既にお待ちだった。
深々と礼をするミルフィレナに、深みのある凛とした声が掛かる。
「面を上げよ」
「はい──」
「ルイ? ルイ、どうした?」
椅子から立ち上がったルイシェード殿下は背の高い叔父上の後ろへと駆けていって隠れてしまう。
「客人に挨拶なさい」
「っ……」
「少々待っていてくれ。──ルイ。君が呼んだのだろう」
ミルフィレナにはルイシェード殿下の頬が染まったのが見えていた。
背もたれ越しで俯いていたら、長身のシュトクラウセ殿下には困った様子が伝わらないだろう。
「ルイシェード殿下、お側に寄ってもよろしいですか?」
尋ねながら護衛の王弟殿下に確認する。
許可を与えられ、ミルフィレナは藍色に金糸の刺繍が鮮やかな絨毯を進む。
膝を突いて壁際の真っ赤になっている王女様と目を合わせた。
「はじめまして、ミルフィレナ・ロサシューです」
「……ルイシェード」
「はい、殿下。お会いできる日を楽しみにしておりました」
「あの声……」
「ええ」
震えている少女の手を取ろうとしてしまった。
一瞬の剣呑な空気は、ルイシェードがミルフィレナを抱きしめて数秒で霧散する。
「あっ──」
「会いたかった!! ミルフィレナ・ロサシュー! 待っていたのよ!!」
「わたくしも今日の日を指折り数えて待っていましたわ」
抱擁を交わす淑女達に頭上から嘆息が降ってくる。
闇よりも濃い色の髪、月明かりを宿した天鵞絨の夜空の青の瞳。
睨むと言うより呆れている顔つきは、想像していた殿方よりも柔らかく感じる。
「客人をいつまでも跪かせるな」
「そうね! お手をどうぞ、ミルフィレナ嬢」
「ありがとうございます」
立ち上がるためにはずっとずっと下の位置にある御手が愛らしく、ミルフィレナは流れるような所作でドレスの裾も直した。
アプトゥーデ国の王女にエスコートされるなんて夢のようだ。
2人の正面の席に着くと、向かい側の王女殿下ルイシェードが満面の笑みで目を輝かせている。
顔立ちはよく似ているのに、お隣の『叔父上』の落ち着きに対して明るく眩しい陽の光だ。
「今日はようこそ! アプトゥーデ国が王女、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウムよ。この方は国王陛下の弟君のシュトクラウセ・クーヘンハウム殿下。知ってるわよね!」
「はい、存じておりますよ殿下」
「叔父様も! 挨拶してよ、わたしのお客様に!」
「シュトクラウセだ。今日はルイシェードとそなたの交流を目的としている。私はいないものとして扱うといい」
「かしこまりました」
翻訳するなら『私に構わず楽しんでくれ』と言ったところか。
表情には殆ど出ていなかったがその視線だけで読み取れている。王弟殿下が如何に『姪』を慈しんでいるのかミルフィレナには分かるのだ。
対照的な2人、ルイシェードは不満そうに薔薇色の唇を尖らせている。
「何が気に食わない」
「殿下……わたしも叔父様も殿下よ。ミルフィレナ、ルイって呼んで!」
身分も立場も弁えるなら伯爵家の娘が一国の王女に対して愛称で呼ぶなど無礼極まりない。
けれどもここは小さなお茶会。
ミルフィレナは元気な女の子のはつらつとした姿を見ていたい。
だからほんの僅かにでも迷わなかった。
「ルイ様」
「うん! あなたは家族に何て呼ばれてるの?」
「ミルフィーと」
「ミルフィー! 可愛いわね! ねえミルフィー、わたしね、さっきね、月の女神フォスフィローネが来てくれたんだと思ってすっごく緊張しちゃったのよ! あなたって笑うと雰囲気変わるわ、そっちの方が好きよ!」
「ありがとうございます──」
女性にしては背が高いミルフィレナは自分の容姿が好きではない。
この国で美人とされる麗しさや華々しさがなく暗い性格が表れてしまっている。
長い間コンプレックスだったのにルイシェードからの『可愛い』で解きほぐされていた。
「笑顔が可憐ね、ミルフィー。ね、叔父様、叔父様もミルフィーの事可愛いって思うでしょ?」
「あ、あの、十分お褒め頂いておりますので……!」
「叔父様ー? レディーは褒めなくっちゃいけないのよ」
おしゃまなルイシェードの言葉に冷や汗が吹き出る。
王女の発言を否定したり代わりに謝るなどしてはいけないし、贈られているのはとにかく好意一色なのだ。
自分が気に入ったものを共有したい感覚は理解するが、無言で見つめられて身が竦む。
やはりミルフィレナは男性が苦手だ。
年上の──若い男性は苦手だ。
「ルイ様、わたくしはお恥ずかしながら殿方との会話が不得手なのです。もしシュトクラウセ殿下に褒められてしまったら……恥ずかしくて駆け出してしまいそうになります」
「えぇっー!?」
「殿下。ルイ様とのみお話するご無礼を許してくださいますか?」
「構わない。最初からそのつもりだ」
口元が綻び、険しかった双眸は和らいで星々の瞬きを湛える。
男性と意識せず、公爵閣下と畏怖せずにいれば、目の前の人は短く言葉を扱う優しい叔父上様。
それがミルフィレナにはとても大きな意味を持っている。
「いいの? ミルフィー……でも」
「ルイ様に褒めていただけますと、ミルフィーはとっても嬉しいのですよ」
大胆で繊細で目が離せない。
この御方に出会えた奇跡はどんな物語にも紡げないだろう。
母マレーヌに言われたように、ルイシェードに対して恋よりも情熱的な感情が押し寄せていた。
「わあ──! あなたからの贈り物、わたし、夜じゃなくてもずっと聞いてるの。どれも素晴らしいけれど大瓶座の話が1番好きよ! ねえ、あなたの声ってどうしてそんなに優しいの?」
「どうして、でしょう……?」
「月の女神もかくやの麗しさなのにあなたって初な乙女のように恥じらうのね。燃えるように真っ赤よミルフィー、苺みたいだわ」
「ルイ様は、この白薔薇のように気高くお美しいです──」
「……フッ」
未来の国王ともなると賛美の台詞も軽やかに弾むものなのだろう。
たどたどしい口調で賛辞を、思いの丈を述べると、側で聞いていたシュトクラウセ殿下が桃の蜜煮のような息を吐く。
驚きのあまりミルフィレナは目を大きく見開いてしまった。
「見た? ミルフィー、叔父様が笑ったわ!」
「はい……。あっ──、申し訳ございません!!」
「いや、愉快な会話を聞かせてもらった。ルイ、彼女に読んでもらいたいものがあるのだろう?」
「そうだったわ! 持ってきてちょうだい。あ、ミルフィー、お茶が冷めるわ! わたしの好きなアップルティーよ、召し上がれ」
1客がりんごの木のような意匠のカップからは芳醇な香りがしていた。
シュトクラウセ殿下に頷かれ、ルイシェード更に褒められながら、ミルフィレナはほうっと一息吐けるのだった。
まだ熱い全身は冷めるどころか火照るばかりだ。
「もういーい?」
「はい」
「ロサシュー殿。あまりルイを甘やかさないでくれ」
「まあ! 叔父様は聞かなくってよくってよ、今だけ退室してくださる?」
「……ルイ」
「仲がよろしいのですね」
「そうかしら? そうでもないけど……」
「ロサシュー様、こちらを」
抜群のタイミングでメイドが持ってきた、ルイシェード殿下の印章が透かしで入った書状。淀みないインクが描いた流線は愛情の詩。
「わたくしが──よろしいのですか?」
「ええ、お願いするわ」
この御方は、ルイシェード・モープレチェ・クーヘンハウム殿下はミルフィレナ・ロサシューの心を震わせる。
幼いからではない、王女だからではない、同じ立場の者として高潔な魂に惹かれるのだ。
息を吸い、声を上げるのも恐れ多くて光栄だ。
「『わたしの愛おしい、弟、妹。この空の清廉さを御前に教えよう。木漏れ陽の安らぎへと御前を導こう。御前が眺める景色のどれよりも、わたしが御前に美しいものを渡してやろう。代わりにお姉様に見せておくれ、御前がどのような色を持ち、どのようにわたしに微笑みかけてくれるのか、お姉様に教えておくれ。わたしの愛おしい、弟、妹。わたしの家族になる者よ。御前が生まれてくる日を楽しみにしているよ』」
運命があるのだとしたら、王女殿下にお仕えする事こそミルフィレナの生涯の幸福であろうと信じられる聡明な面差し。
お姉様になるのだからと周囲に遠慮してしまった幼い女の子、あなたの一時の慰めになれれば何と幸せな──恋を知る前に蕾を落とされたミルフィレナは、天啓を受けた心地でルイシェードを一心に見つめていた。
「今のはハープの調べね、物語の時とは響きが違うわ。あなたもお姉様だものね」
「はい」
「大瓶座の物語を聞いた時、あなたには心から愛してる存在がいるんだって分かったわ。あなたの言葉と声だからわたしの胸に届いたの。お母様のところに行ったわ、お腹を触ったの、お姉様を蹴ったのよ。お父様ともお話しできた……寂しいって、はじめて言えた」
「ええ……ええ」
「あなたの声を聞くと心が温かいわ。真っ暗なところにいた気持ちだったけどお月様に守られているかのように勇気づけられるの」
「ルイ様」
「あなたの醜さも受け取ったわ。お姉様って大変なのね……あなたのような姉にわたしもなれるかしら」
「勿論です!」
弟ができて居場所がなくなったかのように感じたミルフィレナ・ロサシューの思いを、1粒の星に閉じ込めた。
送ってから後悔してしまったが、嘘偽りない真心が姉になる少女の力になれた。
こんなにも嬉しい事があるだろうか。
「礼を言うわ、ミルフィレナ・ロサシュー。ありがとうミルフィー!」
「ルイ様──ミルフィーは必ず、どんな時も、ルイ様のお側におりますからね」
「ええ! わたし達の約束よ」
家に閉じこもっていた伯爵家の娘が一足飛びに王城で働くなんて絵空事。
しかしミルフィレナは貫かれてしまったかのようにルイシェードから目が逸らせない。
『わたしを見ろ』と、華やかな薫衣の紫水晶には引力がある。
「ロサシュー殿、一体、何を……」
「天から雨の滴が注いでも、月は必ず雲の裏で昇っている……そのように、というわたくしのおこがましい願いです」
「あぁ──」
「ミルフィー、それ以上は言っちゃだめよ、叔父様でも言っちゃだめ。ねえ、ミルフィー! あなたのことをもっと教えて!」
ロサシュー家の後継ぎである弟の迷惑にだけはなるまいとのみ決めていたミルフィレナの将来の希望的観測に、とうとう大きな夢を見つけた。
太陽に憧れ、焦がれている。
◇◇◇
女の子は準備が大変だったのでしょう、うとうとと眠たくなった様子です──。
はしゃぎつかれてしまったルイシェードは、カウチに横たわり瞼を閉じている。
目の下に隈もない安穏な寝顔にミルフィレナは微笑んだ。
「よくお眠りになられていますね。ルイシェード殿下のご年齢で睡眠が取れないのはご成長の妨げです。お顔の色もよくて安堵いたしました」
膝を貸して幼子の髪をそっと撫でる。
この数時間で幾らか心を許してくれたシュトクラウセも怜悧な眦を下げている。
「ロサシュー殿、ルイと呼んで構わない」
「ですが……」
「友達なのだろう? その気遣いは無用だ。ルイこそドレスに皺を寄せてしまってすまない。強く掴みすぎだな」
「王族たる御方が謝罪を口になさってよろしいのですか?」
「ここにいるのはただの叔父だ。だがこの子には伏せていてくれ」
「かしこまりました」
みだりに謝罪をするなと注意していた年嵩の男性が、身分の低い年下相手に謝るのは大人だけの会話だからか。
威圧感が薄れやや饒舌になったシュトクラウセはルイシェードに上着を掛ける。
そして彼女を挟んで反対側、つまりミルフィレナの隣に腰を下ろした。
「姉の面差しだ。幼い弟がいるのだったな」
「11離れております」
「弟妹とは愛しいものなのか?」
「ええ、とても。殿下も国王陛下の愛おしい弟君でいらっしゃいますね」
「そうだな。ゆえに私はこの子の痛みが分からない。兄上も義姉上も貴女に感謝していた」
「勿体ないお言葉でございます」
自分達姉弟と王族を同列に語るなど許されざる所業だと何度か言葉を選んでいると、シュトクラウセが助け舟を出した。
その時、彼がお茶会に参加すると言った。
ルイシェードは大喜びで、持参したレースのリボンを彼にも結ぼうと攻防していた。
「ロサシュー嬢」
「はい──?」
「見事にルイの思惑に喫しているな」
「思惑、とは……?」
「この子は我が国の王太子になり、いずれ王座に就く者だ。生半可な男には負けないと言っていた」
「ルイ様は……わたくしの身の上をご存知なのですか?」
「いや。貴女は妙齢の淑女だからな。自分の手が届かない場所へ行かぬよう虜にしたいのだそうだ」
「まあ……」
美辞麗句の嵐は言われ慣れていて覚えたのだとばかり考えていたが、ミルフィレナを引き止める一計だった。
王族や高位貴族に仕えるのは子爵家や男爵家の子女が多い。
伯爵家長子だがミルフィレナは嫡子ではない、相思相愛ならば道は開けるかもしれない。
「その願いは、まだ貴女の胸に内に秘めておいてほしい」
「……傲慢ですよね」
「いや、貴女が近くにいればこの子もこの子の両親も心強い。身分も評価も申し分ない。しかし主従になってしまえば失われてしまうものがある」
「友達とは、呼べなくなってしまいますね」
「ロサシュー嬢。今後もこの子に友として振り回されてはくれまいか」
呼び方が変われば、呼ばれる側の心持ちも変わるのだ。
ロサシュー殿からロサシュー嬢、そなたから貴女。ささやかな違いが信頼の証になっている。
「ルイ様が望んでくださる限りは」
「半日で心酔しきっている」
「あのように真摯に訴えられますと、お慕いする気持ちが込み上げて参ります」
「ルイは口説くのが上手いからな。私とは大違いだ」
「殿下の愛の言葉は実直で飾らず、時に鋭利なのかもしれませんね」
「どうだろう。兄上と違ってその手のものとは無縁でな。女子供も同僚まで私を怖がる。貴女と違って私の声は刃物なのだろう」
「ご心配召されませぬよう。わたくしは怯えておりませんわ。シュトクラウセ殿下は面倒見のよい叔父上様ですもの」
「ルイが生まれた時から見守っているからな。自分でも甘い叔父の自覚がある」
帰る時刻が近づいていくに連れて気にする素振りを見せていたルイシェードに、シュトクラウセは『2人に渡したい物がある』とこの自室──邸宅の主の私室に呼んだ。
アプトゥーデとザサラそれぞれの星座盤と伝承の書物が2部ずつ、それにまだ音が入っていない黄色の宝珠。
ルイシェードから頼まれたのは兄弟姉妹の絆の話と恋する乙女の物語だった。
ミルフィレナは恋を知る機会を失っている。
上手く奏でられるだろうか。
「貴女も屋敷に戻らねばなるまい。代わろう」
「もう少し……」
「だが」
「時計の針の長針がもう1周して、お目覚めにならなければ……2言3言交わして帰りたく存じます」
「ならば、今起こしても同じだな」
「殿下!」
「長針が最上を指したら起こしてやってくれ」
声をひそめて話し、喉の奥で笑っている王弟殿下。
兄や姪との思い出を語る声は滑らかに口溶けるチョコレートのようで、尊敬と共感と柔らかな感情がミルフィレナの胸を満たすのだった。
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