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業の国
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アディムの息は国の端から端を駆け回ったように早くなる。
もっともっと、とせがまれて懸命に腰を振る。アディムで中をいっぱいにして甘い声がねだる。
ズオルトが傷つけた指の届かない場所に、アディムが薬を塗って、アディムが全部そこを綺麗に治して。アディムそこじゃないよ、アディムそこも違うよ、ああ。そこにいっぱいして、アディム続けて、気持ちがいいの。やめないで。
アディムごめんね、僕は王様の玩具だったからきれいでも何でもないんだよ。
ズオルトがはじめてじゃないんだ。僕はすごく汚いんだよ。ごめんねアディム。
僕のこと嫌いになった?
お願い、やめないでアディム、気持ちが良いんだ。お願いアディム僕を嫌いにならないで。
啜り泣きと喘ぎの間に聞こえる声がまるで歌うようで、アディムは夢中になる。
嫌いになるなどあり得ない。
夢のようなのに、どうして離せよう…。
こうして繋がっているのに顔の見えない獣の姿勢が嫌で、アディムが恐る恐る顔が見たいと言うと。うん、と小さく返事があった。アディムは機敏に動くことが出来ない。ぬるりと繋がっていた部分が動いて離れる。
アディムは向かいあって抱き合う事が嫌いだった。
前を舐めさせることはあっても必要な部分だけを寛げる。娼婦も男娼も後ろから犯した。
そうでないと自分のたるんだ身体が見られてしまう。
その姿勢ならば相手の冷めた顔を見ることもない。
だが今はどうしてもクルスの顔が見たい。
クルスがゆっくりと仰向けに横たわる。アディムは交わらずに一度顔を倒して口づけた。
蕩けるような微笑みと、身体の芯を震わせるような声がアディムと呼ぶ。
クルスの腕が伸びてしがみついてくる。その身体を自らの重みで潰さないように気を付けながら、長く長く口づけた。それから横たわる身体の腰の下にクッションを良いように押し込んでやる。
竜の肝を塗ったアディムの雄は信じられないことに、アディムの気のせいでなければいつもより硬く、ずっと太く充血し、たっぷりと精を吐き出してもたちどころにまた反り返った。
その切っ先をまたクルスの身体の中に沈めて、快楽に溺れた。
肉も骨も身体の全てがぐずぐずに溶けて崩れて、二つの身体の境目がなくならないかと動き絡み合った
そしてどちらももう息が切れ身体は重く、寝台に沈むように二人は眠りに落ちた。
アディムは、はっと目覚めた。全てが自分に都合の良い夢だったのではないかと思った。
クルスのあの優しい微笑み、切なく自分を呼ぶ声、蕩ける身体…。
横を見れば自分の腕を枕にしてクルスはすぅすぅと寝ていた。
アディムは足元に絡まっていた上掛けを引っ張り上げる。
二人の身体はそれぞれが出した物と汗で汚れていたが、とてもこの場を離れる気にはなれなかった。
ぎしりと寝台がきしむ。
抱いていた時もこの音は聞こえていたはずだが、アディムは相当に気を使い身体を横にすると、クルスの汗で頬と額にはりついた髪をそっとかきあげてやった。
愛していると何度も口走った。会ったばかりの子に何をと自分でも思ったが他に何も言う言葉が見つからなかった。他の誰を抱いても今までそんな言葉を使ったことはなかった。
あーぁ自分はたった一目で恋に狂った男になってしまった、とアディムは溜息をついた。
愛していると何度も言って、腰を振ってクルスのなかを自分のものでいっぱいにして満たして溢れ出させても、同じ言葉が返ってくることはなかった。
ただ、アディム、気持ちが良い、もっとアディムでいっぱいにして、僕をもっと好きになって。もっともっとと求められても愛しているとは言われなかった。
アディムはにじり寄り、起こさぬようにクルスの髪をそっと撫でた。
恐ろしい事にアディムの雄は竜の肝のせいで吐き出す物がすっかりなくなってもまだ硬く、自身の腹の肉に埋もれるほど痛いほど反り返っていた。
苦しい。せつない。愛おしい。悲しい。恥ずかしい。
しかしアディムは幸せだった。
もっともっと、とせがまれて懸命に腰を振る。アディムで中をいっぱいにして甘い声がねだる。
ズオルトが傷つけた指の届かない場所に、アディムが薬を塗って、アディムが全部そこを綺麗に治して。アディムそこじゃないよ、アディムそこも違うよ、ああ。そこにいっぱいして、アディム続けて、気持ちがいいの。やめないで。
アディムごめんね、僕は王様の玩具だったからきれいでも何でもないんだよ。
ズオルトがはじめてじゃないんだ。僕はすごく汚いんだよ。ごめんねアディム。
僕のこと嫌いになった?
お願い、やめないでアディム、気持ちが良いんだ。お願いアディム僕を嫌いにならないで。
啜り泣きと喘ぎの間に聞こえる声がまるで歌うようで、アディムは夢中になる。
嫌いになるなどあり得ない。
夢のようなのに、どうして離せよう…。
こうして繋がっているのに顔の見えない獣の姿勢が嫌で、アディムが恐る恐る顔が見たいと言うと。うん、と小さく返事があった。アディムは機敏に動くことが出来ない。ぬるりと繋がっていた部分が動いて離れる。
アディムは向かいあって抱き合う事が嫌いだった。
前を舐めさせることはあっても必要な部分だけを寛げる。娼婦も男娼も後ろから犯した。
そうでないと自分のたるんだ身体が見られてしまう。
その姿勢ならば相手の冷めた顔を見ることもない。
だが今はどうしてもクルスの顔が見たい。
クルスがゆっくりと仰向けに横たわる。アディムは交わらずに一度顔を倒して口づけた。
蕩けるような微笑みと、身体の芯を震わせるような声がアディムと呼ぶ。
クルスの腕が伸びてしがみついてくる。その身体を自らの重みで潰さないように気を付けながら、長く長く口づけた。それから横たわる身体の腰の下にクッションを良いように押し込んでやる。
竜の肝を塗ったアディムの雄は信じられないことに、アディムの気のせいでなければいつもより硬く、ずっと太く充血し、たっぷりと精を吐き出してもたちどころにまた反り返った。
その切っ先をまたクルスの身体の中に沈めて、快楽に溺れた。
肉も骨も身体の全てがぐずぐずに溶けて崩れて、二つの身体の境目がなくならないかと動き絡み合った
そしてどちらももう息が切れ身体は重く、寝台に沈むように二人は眠りに落ちた。
アディムは、はっと目覚めた。全てが自分に都合の良い夢だったのではないかと思った。
クルスのあの優しい微笑み、切なく自分を呼ぶ声、蕩ける身体…。
横を見れば自分の腕を枕にしてクルスはすぅすぅと寝ていた。
アディムは足元に絡まっていた上掛けを引っ張り上げる。
二人の身体はそれぞれが出した物と汗で汚れていたが、とてもこの場を離れる気にはなれなかった。
ぎしりと寝台がきしむ。
抱いていた時もこの音は聞こえていたはずだが、アディムは相当に気を使い身体を横にすると、クルスの汗で頬と額にはりついた髪をそっとかきあげてやった。
愛していると何度も口走った。会ったばかりの子に何をと自分でも思ったが他に何も言う言葉が見つからなかった。他の誰を抱いても今までそんな言葉を使ったことはなかった。
あーぁ自分はたった一目で恋に狂った男になってしまった、とアディムは溜息をついた。
愛していると何度も言って、腰を振ってクルスのなかを自分のものでいっぱいにして満たして溢れ出させても、同じ言葉が返ってくることはなかった。
ただ、アディム、気持ちが良い、もっとアディムでいっぱいにして、僕をもっと好きになって。もっともっとと求められても愛しているとは言われなかった。
アディムはにじり寄り、起こさぬようにクルスの髪をそっと撫でた。
恐ろしい事にアディムの雄は竜の肝のせいで吐き出す物がすっかりなくなってもまだ硬く、自身の腹の肉に埋もれるほど痛いほど反り返っていた。
苦しい。せつない。愛おしい。悲しい。恥ずかしい。
しかしアディムは幸せだった。
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