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安息の地
しおりを挟むふ、ふははははは、生きている、生きているぞ!!余の勝利だ!
余を滅ぼそうとした忌々しい人間の勇者を次元の渦に巻き込んでやったのだ。脆弱な人間の肉体があの衝撃に耐えられるとは思えない。
余は身を起こそうとして震えた。
なんということだ、余の美しい肉体はどうなってしまったのだ。長い手足は、夜の闇のように美しい髪は、顔は…。
『みぎゃぁ…』
声まで失われたというのかぁぁぁ…。
「ん?ねこ?」
くっ、失態だ。人間の気配に気がつかないなど余にあるまじきこと。
だが余は為すすべもなく人間に捉えられ、手足の自由を奪われ箱に詰められ惨めな囚われの身になってしまった。
傷口を焼くような痛みをこらえ、針を刺されても我慢し、尻を洗われる屈辱にも耐えて一時はどうなるかと思ってはいたが、なんだこれは。
ふにゃふにゃとして温かく、くっついているととろとろと眠りを誘うこれは…。
「先生、ありがとうございます、先生のおかけでこの子安心しきって眠ってます」
なに、余は眠ってなどいにゃい…目をめをつぶっている…だ…け…ふにゅぁぅ…
「いや、君が助けたようなものだよ。君が見つけて連れてこなければそのまま死んでもおかしくない状態だったんだから。」
「そ、そんな。先生の処置がすごいからですよ。…それにしても靴下に生米入れてチンしただけなのに、これに猫くっついて離れないんだけど、お母さんだと思っているのかなぁ…」
だれかが余の体に触れて撫でた。
…ぬぬ!またしても断りなく余の体に…!
ふれ…ふれる…にゃど……ふにゅう…よし、許す。撫でよ。撫で続けよ。
お前たちを世話係に任命してやろうではないか…。
この愚かな人間を支配し、この世界を支配する手始めとしてやる。
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