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四章「咲かない花を夢に見た」
01(アダム視点)
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「君はすごいね、アダム」
何かあればそうやっていつも褒めてくれる。その言葉ももちろん嬉しかったが、何よりも頭を撫でてくれる手が大好きだった。
【楽園】の獣人たちと触れ合うことは当たり前に多く頭を撫でられることも日常的だったけれど、中でも彼は——ディランの手はことさら優しくて温かい。
獣人のほうが圧倒的に自分たちヒトより力があると当然あの頃から知っていたし、まして爪や牙の鋭さも間近で見ている。特にディランは他の獣人たちと比べても身体が大きく強いほうなのに、誰よりも力加減をヒトの弱さに合わせてくれていたように思えた。
そういえば、ディランの次によく自分たちのグループを見ていてくれた黒羊獣人の「ネラ先生」。彼女は言葉こそよくかけてくれたが、必要以上には触れようとしてこなかったかもしれない。
今となってはこう思う。それは彼女なりの線引きだったのだろうと。
言葉や習慣を教え、その覚えの良さを褒めて伸ばしたりと目をかけこそすれど親愛を持ちはしない。あくまでヒトは薬の材料であり、生きた研究資料であり、それらのために飼育している生物に過ぎないのだから。
【楽園】の獣人たちの多くが彼女と同じようなものだった。中には今にして考えれば不届なことをしていた輩もいたが、大抵が【楽園】の理念に沿って粛々とヒトを扱っていた。
——だから、ドクター。あなたはあの中では異質だった。
出会ってから日に日にその顔を染めていく悪い色を、当時の自分はなんと呼ぶのか分からずにいた。罪悪感だと、今なら分かる。生まれた時から【楽園】にいたくせに、どうして割り切れなかったのか。
ヒトは死ぬしか救われる道がないとディランは泣く。それならば、自分が皆のように死ねたのならもう彼は泣かなくていいのかとも思った。なのに「そんなことを言わないでくれ」とまた泣き出すのだ。
——どうしたら泣かずに済むんですか、あなたは。
未だに涙を落とし続ける姿に手を伸ばしながら、ふとこれは夢だと自覚する。
奇妙な浮遊感と生々しい現実感が混ざった空間は真っ暗で、ディランひとりが泣いていた。ヒトよりもずっと強い生き物なのに、あまりに弱々しく悲しそうにしているものだからこちらまで悲しくなった。
すぐ目の前にいるのに、夢だからか手が届かない。声も出せない。何もできない。現実でもきっと、何も。
彼を泣かせているのは自分なのだから。
◆ ◆ ◆
クリスマスとは元来、ヒトが主権を握っていた時代に賑わっていた行事だったらしい。
神の子と呼ばれた人物の誕生を祝う祭りだったというが、獣人たちの世界でも都合のいいように聖典は書き換えられクリスマスは祝われている。なんでも、ヒトのように喋り同等の知能を持った初めての獣人が生まれた日であるとか。やはり彼は神の子と呼ばれており、その誕生日であることを口実に十二月になると街はにわかにイルミネーションで輝き出す。
クリスマス本番の二十五日ももうすぐそこ。赤と緑の装飾に彩られた通りをはしゃぎながら駆けていく子どもたちを窓から見下ろすジェッタを、アダムは黙って見つめていた。
社会的立場の低いヒト似獣人とはいえ、ジェッタは元々ごく普通の家庭で普通に育ってきた子ども。普段は何も不満を口にしないが、外で遊ぶ同年代の子どもを目にして思うところが皆無なわけがない。やっと安心して暮らせる場所ができ、それに彼女自身慣れてきた今だからこそ余計に。
「ジェッタ」
驚かせないように優しく声をかける。振り返ったジェッタの大きな金色の瞳が、不思議そうに何度も瞬いた。
「なに? アダム」
「友達と遊びたい?」
湾曲的なことを言っても仕方ない。ストレートに問い掛ければ、ジェッタは半端に口を開けた状態でしばらく固まってしまう。
あっさり否定しないところからして本心は明らかだった。しかし肯定もしようとしない。なかなか返事をできずにいるようで、目線ばかりがあちこち泳ぐ。ジェッタを困らせるのはアダムも本意ではなく、「知っているよ」と言葉を重ねた。
「あなたが俺に気を遣ってくれていることは。……いや、気を遣うというより心配してくれているんだね。そんなことをすれば、俺がひとりになるんじゃないかと」
「っ……ち、がうよ。いいの、本当に。私はアダムといるほうがいい!」
途端にあまりに必死に首を振るものだから、思わず眉を下げて笑ってしまう。
ヒト似獣人以上にこの世界に居場所のないアダム自身に気を遣っているのも確かだし、新たなコミュニティへ飛び込むより懐いている相手と一緒にいたいのもまた事実なのだろう。
窓辺から動けずにいるジェッタに歩み寄り、屈んで目線を合わせた。不安げな顔に胸は痛むが、そろそろこういう話はしておかなければならない。彼女のことを本当の意味で守りたいのであれば、いつまでも家の中に閉じ込めておくなど論外なのだから。
「ジェッタ。あなたが俺を気がけてくれるのは嬉しいよ。けれどね」
そっと手を伸ばし、小さな頭を撫でた。
かつて自分がそうしてもらっていたことを思い出し、あの手の優しさを真似るように。
「あなたは元々この世界で生きることができる存在だ。堂々と外に出てもいいはずなんだよ」
まだ、ジェッタの瞳からは迷いと恐れが抜けない。せめてこの想いが少しでも伝わればいいと、アダムは彼女をまっすぐに見つめる。
「とはいえ耳と尻尾を失っている不安もあるだろうし、ただでさえヒト似獣人はまだまだ生きづらい。……そんな中でも、俺はあなたに外の世界で多くの友達と共に生きて欲しい」
「……アダム……」
「ジェッタ。あなたの両親がきっとそう願っていたように、俺もあなたに幸せになって欲しいと願っているんだ」
幸せには様々な形があるだろう。
中には側から見ればとても幸せとは呼べないような危ういものもある。当事者からすれば、それも間違いなく幸せなのかもしれない。しかしエゴだとしてもやはり、ジェッタにはそういう幸せの形を選んで欲しくはなかった。
下賎な連中の手で一度は暗いところに落とされたとはいえ、彼女自身は何も罪を犯していない。再び光の差す明るいところで、分かりやすい幸せを掴んで欲しいと——血の繋がった親でも兄でもないというのに、烏滸がましくも願ってしまう。
虹の橋を渡り天国とやらにいるであろうジェッタの本当の両親に、ヒトなんかが勝手に保護者面をするなと叱られてしまうかもしれない。そう、少しだけ申し訳なくも可笑しくも思った。
「……偉そうなことを言ったけれど、俺ひとりでは何もしてやれなくてね。これからどうしたものか、ドクターに相談してみようとは思っているよ。いいかな?」
問いかけにはっきりとした返事はなかった。
ただ大きな目いっぱいに涙を浮かべ飛びついてくるジェッタを抱き留めて、アダムは虚空を仰ぐ。
本当にヒトは、いや自分は無力だ。こうしたい、ああしたいと願いばかりが膨らんでいくのに、実際に何をしてやれるわけでもない。今回の件だって結局、おそらくはディランの罪悪感にまたつけ込む形になってしまう。
——罪悪感なんて、そんなものがなくてもあなたは何とかしようと思ってしまうのだろうけど。
ふとそう思って苦笑が溢れた。一度でも情を移した相手に困っていると言われれば、それだけで彼は動くのだろう。損得も後先もろくに考えず、ただどうにかしなければと。
その甘さを、優しさを、自分は延々と搾取しているに過ぎない。これではどちらが被害者でどちらが加害者なのかという話だ。夢の中と、実際に先日目にしたばかりの泣き顔が蘇る。
どうしてディランがあの時いきなり泣き出したのか、未だにアダムは分からずにいた。確かにずっとあの日は様子がおかしいと感じてはいたが、突然雨のように降ってきた涙についこちらまで辛くなって——どうすればいいのか分からなかった。結局なにも訊けずじまいだったが、ディランはどうして泣いたのだろう。
いずれにせよ自分が原因であることは間違いない。記憶の中のディランの涙は、その全てが自分のせいだ。せめて今日は彼を泣かさずに済むといいのにと、無意識のうちにアダムは思っていた。
◆ ◆ ◆
何かあればそうやっていつも褒めてくれる。その言葉ももちろん嬉しかったが、何よりも頭を撫でてくれる手が大好きだった。
【楽園】の獣人たちと触れ合うことは当たり前に多く頭を撫でられることも日常的だったけれど、中でも彼は——ディランの手はことさら優しくて温かい。
獣人のほうが圧倒的に自分たちヒトより力があると当然あの頃から知っていたし、まして爪や牙の鋭さも間近で見ている。特にディランは他の獣人たちと比べても身体が大きく強いほうなのに、誰よりも力加減をヒトの弱さに合わせてくれていたように思えた。
そういえば、ディランの次によく自分たちのグループを見ていてくれた黒羊獣人の「ネラ先生」。彼女は言葉こそよくかけてくれたが、必要以上には触れようとしてこなかったかもしれない。
今となってはこう思う。それは彼女なりの線引きだったのだろうと。
言葉や習慣を教え、その覚えの良さを褒めて伸ばしたりと目をかけこそすれど親愛を持ちはしない。あくまでヒトは薬の材料であり、生きた研究資料であり、それらのために飼育している生物に過ぎないのだから。
【楽園】の獣人たちの多くが彼女と同じようなものだった。中には今にして考えれば不届なことをしていた輩もいたが、大抵が【楽園】の理念に沿って粛々とヒトを扱っていた。
——だから、ドクター。あなたはあの中では異質だった。
出会ってから日に日にその顔を染めていく悪い色を、当時の自分はなんと呼ぶのか分からずにいた。罪悪感だと、今なら分かる。生まれた時から【楽園】にいたくせに、どうして割り切れなかったのか。
ヒトは死ぬしか救われる道がないとディランは泣く。それならば、自分が皆のように死ねたのならもう彼は泣かなくていいのかとも思った。なのに「そんなことを言わないでくれ」とまた泣き出すのだ。
——どうしたら泣かずに済むんですか、あなたは。
未だに涙を落とし続ける姿に手を伸ばしながら、ふとこれは夢だと自覚する。
奇妙な浮遊感と生々しい現実感が混ざった空間は真っ暗で、ディランひとりが泣いていた。ヒトよりもずっと強い生き物なのに、あまりに弱々しく悲しそうにしているものだからこちらまで悲しくなった。
すぐ目の前にいるのに、夢だからか手が届かない。声も出せない。何もできない。現実でもきっと、何も。
彼を泣かせているのは自分なのだから。
◆ ◆ ◆
クリスマスとは元来、ヒトが主権を握っていた時代に賑わっていた行事だったらしい。
神の子と呼ばれた人物の誕生を祝う祭りだったというが、獣人たちの世界でも都合のいいように聖典は書き換えられクリスマスは祝われている。なんでも、ヒトのように喋り同等の知能を持った初めての獣人が生まれた日であるとか。やはり彼は神の子と呼ばれており、その誕生日であることを口実に十二月になると街はにわかにイルミネーションで輝き出す。
クリスマス本番の二十五日ももうすぐそこ。赤と緑の装飾に彩られた通りをはしゃぎながら駆けていく子どもたちを窓から見下ろすジェッタを、アダムは黙って見つめていた。
社会的立場の低いヒト似獣人とはいえ、ジェッタは元々ごく普通の家庭で普通に育ってきた子ども。普段は何も不満を口にしないが、外で遊ぶ同年代の子どもを目にして思うところが皆無なわけがない。やっと安心して暮らせる場所ができ、それに彼女自身慣れてきた今だからこそ余計に。
「ジェッタ」
驚かせないように優しく声をかける。振り返ったジェッタの大きな金色の瞳が、不思議そうに何度も瞬いた。
「なに? アダム」
「友達と遊びたい?」
湾曲的なことを言っても仕方ない。ストレートに問い掛ければ、ジェッタは半端に口を開けた状態でしばらく固まってしまう。
あっさり否定しないところからして本心は明らかだった。しかし肯定もしようとしない。なかなか返事をできずにいるようで、目線ばかりがあちこち泳ぐ。ジェッタを困らせるのはアダムも本意ではなく、「知っているよ」と言葉を重ねた。
「あなたが俺に気を遣ってくれていることは。……いや、気を遣うというより心配してくれているんだね。そんなことをすれば、俺がひとりになるんじゃないかと」
「っ……ち、がうよ。いいの、本当に。私はアダムといるほうがいい!」
途端にあまりに必死に首を振るものだから、思わず眉を下げて笑ってしまう。
ヒト似獣人以上にこの世界に居場所のないアダム自身に気を遣っているのも確かだし、新たなコミュニティへ飛び込むより懐いている相手と一緒にいたいのもまた事実なのだろう。
窓辺から動けずにいるジェッタに歩み寄り、屈んで目線を合わせた。不安げな顔に胸は痛むが、そろそろこういう話はしておかなければならない。彼女のことを本当の意味で守りたいのであれば、いつまでも家の中に閉じ込めておくなど論外なのだから。
「ジェッタ。あなたが俺を気がけてくれるのは嬉しいよ。けれどね」
そっと手を伸ばし、小さな頭を撫でた。
かつて自分がそうしてもらっていたことを思い出し、あの手の優しさを真似るように。
「あなたは元々この世界で生きることができる存在だ。堂々と外に出てもいいはずなんだよ」
まだ、ジェッタの瞳からは迷いと恐れが抜けない。せめてこの想いが少しでも伝わればいいと、アダムは彼女をまっすぐに見つめる。
「とはいえ耳と尻尾を失っている不安もあるだろうし、ただでさえヒト似獣人はまだまだ生きづらい。……そんな中でも、俺はあなたに外の世界で多くの友達と共に生きて欲しい」
「……アダム……」
「ジェッタ。あなたの両親がきっとそう願っていたように、俺もあなたに幸せになって欲しいと願っているんだ」
幸せには様々な形があるだろう。
中には側から見ればとても幸せとは呼べないような危ういものもある。当事者からすれば、それも間違いなく幸せなのかもしれない。しかしエゴだとしてもやはり、ジェッタにはそういう幸せの形を選んで欲しくはなかった。
下賎な連中の手で一度は暗いところに落とされたとはいえ、彼女自身は何も罪を犯していない。再び光の差す明るいところで、分かりやすい幸せを掴んで欲しいと——血の繋がった親でも兄でもないというのに、烏滸がましくも願ってしまう。
虹の橋を渡り天国とやらにいるであろうジェッタの本当の両親に、ヒトなんかが勝手に保護者面をするなと叱られてしまうかもしれない。そう、少しだけ申し訳なくも可笑しくも思った。
「……偉そうなことを言ったけれど、俺ひとりでは何もしてやれなくてね。これからどうしたものか、ドクターに相談してみようとは思っているよ。いいかな?」
問いかけにはっきりとした返事はなかった。
ただ大きな目いっぱいに涙を浮かべ飛びついてくるジェッタを抱き留めて、アダムは虚空を仰ぐ。
本当にヒトは、いや自分は無力だ。こうしたい、ああしたいと願いばかりが膨らんでいくのに、実際に何をしてやれるわけでもない。今回の件だって結局、おそらくはディランの罪悪感にまたつけ込む形になってしまう。
——罪悪感なんて、そんなものがなくてもあなたは何とかしようと思ってしまうのだろうけど。
ふとそう思って苦笑が溢れた。一度でも情を移した相手に困っていると言われれば、それだけで彼は動くのだろう。損得も後先もろくに考えず、ただどうにかしなければと。
その甘さを、優しさを、自分は延々と搾取しているに過ぎない。これではどちらが被害者でどちらが加害者なのかという話だ。夢の中と、実際に先日目にしたばかりの泣き顔が蘇る。
どうしてディランがあの時いきなり泣き出したのか、未だにアダムは分からずにいた。確かにずっとあの日は様子がおかしいと感じてはいたが、突然雨のように降ってきた涙についこちらまで辛くなって——どうすればいいのか分からなかった。結局なにも訊けずじまいだったが、ディランはどうして泣いたのだろう。
いずれにせよ自分が原因であることは間違いない。記憶の中のディランの涙は、その全てが自分のせいだ。せめて今日は彼を泣かさずに済むといいのにと、無意識のうちにアダムは思っていた。
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