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第21話 ダンジョンの魅力
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地上となるヒケンの森も、第13ダンジョンの一部であれば、この森に人が住み着けばダンジョンは生命力を吸い取り成長してくれる。冒険者からだけでなく、地上の住人からも生命力を吸い取るとなれば、他のダンジョンよりも大きな成長率が期待出来る。
理屈では簡単に思えるが、幾つかの重大な問題がある。
ダンジョンには、人々を惹き付ける魅力がなければならない。ダンジョンから得られる恩恵や、ダンジョン攻略の意義がなければ、誰もそこに労力を割こうとは思わない。
だが、廃ダンジョンを再利用した第13ダンジョンには、そのどれもが欠けている。本来なら、熾天使筆頭のラーミウの天啓により周知されることが、第13ダンジョンでは行われなかった。
せめて新たな勇者や聖女が誕生したとなれば、それだけでダンジョンを攻略することに説得力が生まれる。しかし、その天啓すらなく、熾天使代理のブランシュには勇者や聖女を任命する権限すら与えられていない。
満足な準備期間が与えられていれば、違ったやり方もある。イスイの森の魔物を活性化させたり、尖兵となる魔王の側近が甦ったと思わせれれば、魔王という絶対的な悪の存在を匂わせることが出来る。
「はあぁ~っ、上だけじゃなかったのか……」
「どうしたんすかっ、先輩」
「どいつもこいつも、一体何を考えているんだ!」
「えっ、ダメなんすかっ?俺はイイと思いますけどね」
俺の机の上にあるのは、第13ダンジョンの企画書。少しでも魅力あるダンジョンにする為、幅広く意見を募集した。
■喫茶ブランシュ
■洋菓子ブ・ランシュ
■割烹熾天使
■森の雑貨屋ハロ
■13アイスクリーム
■ジュエリー・エンジェル
「どれもこれも、ブランシュ頼みだろ」
「ええっ、イイじゃないっすか。フジーコには絶対に出来ないっすよ。幾ら幼馴染みっていっても、先輩の感覚は狂ってますって」
第6ダンジョン下層の黒子天使だけの意見ならば、美人局的な企画しか出てこないと予想はしていた。デレデレになっている黒子天使の筆頭がマリクなのだから。
だから急速に増えた黒子天使達の中に、有用な人材がいることを期待した。それに、俺や第6ダンジョン下層の黒子天使達だけで進めてしまえば、どこかで蓄積した不満が爆発する。
「ちなみに、お前のは案は見るまでもなく却下したからな」
「そんな、全く見ないで却下なんて。横暴っすよ、職権乱用じゃないっすか?」
俺のデスクの上に乗らないマリクの企画書は、段ボール箱で2箱分にも及ぶ。表紙に書かれていたタイトルは『熾天使アイドル化計画』で、イメージ図のイラストもあった。ページを捲るまでもなく抹殺する内容でしかない。
「何と言おうが、ブランシュを美人局にする企画は却下だ」
「でもこれは、全ての黒子天使達の夢が詰まってるんすよっ。それを成し遂げれるのは、ブランシュさんしか居ないっす。誰が見たって、第13ダンジョンの一番の魅力はブランシュさんなんすから。やれば間違いなく成功するのに、それを否定するは先輩らしくないっすよ」
そして何故か皆の期待に答えようと、少しやる気を出しているブランシュもいる。
『報告します。冒険者達の集団が、こちらに向かってきています』
モニターには、30人程の冒険者の集団が映し出されている。鎧を身に纏い様々な武器を持つのは、ダーマが派遣してくる予定の商人の集団とは違う。
「あれは、タームじゃないか。ダンジョンで何かあったのか?それとも改造失敗したんじゃないだろうな?」
「まだまだ、改造は50%程っすよ。あれがタームの本来の姿じゃないっすか」
集団の中心に居るタームの目付きはおかしい。欲望を剥き出しのギラギラとした目は、先日までダンジョンでドロップする小銭に飛び付いていた者と同じとは思えない。
「ラーミウの仕業っすか?」
「そうだな……まさかとは思うが、しばらくは様子見だ。監視を続けてくれ」
急に見せるタームの大きな変化に、思わずラーミウを疑ってしまうが、これまでと変わらずにタームは第13ダンジョンへ入ってゆく。
理屈では簡単に思えるが、幾つかの重大な問題がある。
ダンジョンには、人々を惹き付ける魅力がなければならない。ダンジョンから得られる恩恵や、ダンジョン攻略の意義がなければ、誰もそこに労力を割こうとは思わない。
だが、廃ダンジョンを再利用した第13ダンジョンには、そのどれもが欠けている。本来なら、熾天使筆頭のラーミウの天啓により周知されることが、第13ダンジョンでは行われなかった。
せめて新たな勇者や聖女が誕生したとなれば、それだけでダンジョンを攻略することに説得力が生まれる。しかし、その天啓すらなく、熾天使代理のブランシュには勇者や聖女を任命する権限すら与えられていない。
満足な準備期間が与えられていれば、違ったやり方もある。イスイの森の魔物を活性化させたり、尖兵となる魔王の側近が甦ったと思わせれれば、魔王という絶対的な悪の存在を匂わせることが出来る。
「はあぁ~っ、上だけじゃなかったのか……」
「どうしたんすかっ、先輩」
「どいつもこいつも、一体何を考えているんだ!」
「えっ、ダメなんすかっ?俺はイイと思いますけどね」
俺の机の上にあるのは、第13ダンジョンの企画書。少しでも魅力あるダンジョンにする為、幅広く意見を募集した。
■喫茶ブランシュ
■洋菓子ブ・ランシュ
■割烹熾天使
■森の雑貨屋ハロ
■13アイスクリーム
■ジュエリー・エンジェル
「どれもこれも、ブランシュ頼みだろ」
「ええっ、イイじゃないっすか。フジーコには絶対に出来ないっすよ。幾ら幼馴染みっていっても、先輩の感覚は狂ってますって」
第6ダンジョン下層の黒子天使だけの意見ならば、美人局的な企画しか出てこないと予想はしていた。デレデレになっている黒子天使の筆頭がマリクなのだから。
だから急速に増えた黒子天使達の中に、有用な人材がいることを期待した。それに、俺や第6ダンジョン下層の黒子天使達だけで進めてしまえば、どこかで蓄積した不満が爆発する。
「ちなみに、お前のは案は見るまでもなく却下したからな」
「そんな、全く見ないで却下なんて。横暴っすよ、職権乱用じゃないっすか?」
俺のデスクの上に乗らないマリクの企画書は、段ボール箱で2箱分にも及ぶ。表紙に書かれていたタイトルは『熾天使アイドル化計画』で、イメージ図のイラストもあった。ページを捲るまでもなく抹殺する内容でしかない。
「何と言おうが、ブランシュを美人局にする企画は却下だ」
「でもこれは、全ての黒子天使達の夢が詰まってるんすよっ。それを成し遂げれるのは、ブランシュさんしか居ないっす。誰が見たって、第13ダンジョンの一番の魅力はブランシュさんなんすから。やれば間違いなく成功するのに、それを否定するは先輩らしくないっすよ」
そして何故か皆の期待に答えようと、少しやる気を出しているブランシュもいる。
『報告します。冒険者達の集団が、こちらに向かってきています』
モニターには、30人程の冒険者の集団が映し出されている。鎧を身に纏い様々な武器を持つのは、ダーマが派遣してくる予定の商人の集団とは違う。
「あれは、タームじゃないか。ダンジョンで何かあったのか?それとも改造失敗したんじゃないだろうな?」
「まだまだ、改造は50%程っすよ。あれがタームの本来の姿じゃないっすか」
集団の中心に居るタームの目付きはおかしい。欲望を剥き出しのギラギラとした目は、先日までダンジョンでドロップする小銭に飛び付いていた者と同じとは思えない。
「ラーミウの仕業っすか?」
「そうだな……まさかとは思うが、しばらくは様子見だ。監視を続けてくれ」
急に見せるタームの大きな変化に、思わずラーミウを疑ってしまうが、これまでと変わらずにタームは第13ダンジョンへ入ってゆく。
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