46 / 53
第46話 迷いの森のピクニック
しおりを挟む
迷いの森の捜索は、マリアナを警戒させない為に、俺とブランシュにザキーサ、カシューとローゼと少人数の編成となる。そして、ちゃっかりとマリクも準備をしている。
「マリク、何してる」
「えっ、先輩の居るところにマリクあり! 悪さしないか見張りが必要っす」
「お前は留守番に決まってるだろ。ダンジョンでトラブルが起きたら誰が対処するんだ」
「大丈夫っ、シーマが居るっしょ」
「それはダメじゃ。シーマは連れて行く」
それに待ったをかけたのはザキーサ。迷いの森が、マジックアイテムで守られているなら、マジックアイテムの専門家を連れて行く。マジックアイテムのトラップを破るのではなく後学のためで、直接見て感じることが重要らしい。
「それなら、こっちも同じっすよ。後学のために付いていくっす」
「我儘を言うな、お前は今日から司令官代理だ。俺の居ない間、ダンジョンはお前に任せる。ブラックアウトを起こせば、お前にも災厄が訪れると思え」
「えっ、それって横暴っすよ」
「頼んだわよ、司令官代理さん」
しかし、ブランシュに頼まれれば、マリクは断ることが出来ない。そして、サンドイッチの入ったバスケットを、ザキーサはアイテムボックスに入れる。マリクに気付かないように。
迷いの森といっても、見た目は何も変わらない。程よく陽の光が射し込み、特別暗いわけでもなく迷わせるような要素はない。
魔導士タイプのマリクが、俺達の前を先導して歩いていたが、突然歩みが止まる。両手を広げ目を閉じると、森に漂う魔力の流れを感じ取っている。
「レヴィン、ここからが迷いの森だね。マリク達じゃ、まず突破は不可能だよ」
「マリクなら、行けそうか?」
「いや、ボクじゃあ難しいかな。見張られているのは分かるけど、人の気配も感じないしマジックアイテムの存在すら分からない。でも、試してみたいことはあるよ」
マリクが右手を上げると、指先に鳥が現れる。それは、マリクの使い魔ベル。俺達の中でもマリクは特に、スキルに特化した使い魔を好んで使う。そして、使い魔ベルは探知スキルに特化している。
「ベル、マジックアイテムを探すんだ」
ダンジョンの中で働く使い魔にとっても、久しぶりの地上は嬉しいらしく、マリクの頭上で一回りすると、森の中を猛スピードで飛んで行く。あっという間に姿は見えなくなるが、再び現れたのは俺達の後ろから。
「どうだい、何か見つかった?」
しかし、ベルは頭を左右に振ると、再び姿を消してしまう。
「やっぱり、無理だったね。ベルが見つけれないなら、誰にも無理だよ」
マジックアイテムの仕業だと分かっても、どこに隠してあるが分からなければ、手の出しようがない。
「ふんっ、勉強になったか。サージ様を守る為に作ったマジックアイテムの無限ループじゃ。お主らが束になってかかったとて、どうにもならん代物よ。まあ、ベルとやらは少し見込みがありそうだがの」
「それは分かったけど、どうやって進むんだ?ザキさんなら、簡単に出来るんだろ」
「無理に決まっておろう。破壊なくして、先に進むことなぞ出来ん」
ザキーサは、悪びれずに堂々と言い放つと、アイテムボックスの中からバスケットを取り出す。
「ザキさん、何をするつもりだ?」
バスケットの蓋が開くと、サンドイッチの良い香りが森の中に広がる。さらに水筒を取り出すと、珈琲の良い香りが合わさり、皆の食欲をそそる。
「何をおかしなことを言う。食べるに決まっておろう。眺めたいなら眺めておれ。余はお主達の分も遠慮なく頂くぞ」
ハッキリとそう言われてしまえば、どうすることも出来ない。それにローゼが作ったサンドイッチはブランシュ直伝。食べることを拒否すれば、両方ともに機嫌を損ねる可能性が高い。
迷いの森の探索のはずが、本当にピクニックになってしまう。これで、何の結果も出なければ、マリクに何を言われても言い返せないと、最悪の想像をしながらもサンドイッチに手を伸ばせば、俺の手は空振りしてしまう。
「ほう、もう来たか。大分飢えておるようじゃな」
「ザキさん、何があったんだ?」
「しっかりと、守りを固めておけ。そうでないと全てやられてしまうぞ」
「マリク、何してる」
「えっ、先輩の居るところにマリクあり! 悪さしないか見張りが必要っす」
「お前は留守番に決まってるだろ。ダンジョンでトラブルが起きたら誰が対処するんだ」
「大丈夫っ、シーマが居るっしょ」
「それはダメじゃ。シーマは連れて行く」
それに待ったをかけたのはザキーサ。迷いの森が、マジックアイテムで守られているなら、マジックアイテムの専門家を連れて行く。マジックアイテムのトラップを破るのではなく後学のためで、直接見て感じることが重要らしい。
「それなら、こっちも同じっすよ。後学のために付いていくっす」
「我儘を言うな、お前は今日から司令官代理だ。俺の居ない間、ダンジョンはお前に任せる。ブラックアウトを起こせば、お前にも災厄が訪れると思え」
「えっ、それって横暴っすよ」
「頼んだわよ、司令官代理さん」
しかし、ブランシュに頼まれれば、マリクは断ることが出来ない。そして、サンドイッチの入ったバスケットを、ザキーサはアイテムボックスに入れる。マリクに気付かないように。
迷いの森といっても、見た目は何も変わらない。程よく陽の光が射し込み、特別暗いわけでもなく迷わせるような要素はない。
魔導士タイプのマリクが、俺達の前を先導して歩いていたが、突然歩みが止まる。両手を広げ目を閉じると、森に漂う魔力の流れを感じ取っている。
「レヴィン、ここからが迷いの森だね。マリク達じゃ、まず突破は不可能だよ」
「マリクなら、行けそうか?」
「いや、ボクじゃあ難しいかな。見張られているのは分かるけど、人の気配も感じないしマジックアイテムの存在すら分からない。でも、試してみたいことはあるよ」
マリクが右手を上げると、指先に鳥が現れる。それは、マリクの使い魔ベル。俺達の中でもマリクは特に、スキルに特化した使い魔を好んで使う。そして、使い魔ベルは探知スキルに特化している。
「ベル、マジックアイテムを探すんだ」
ダンジョンの中で働く使い魔にとっても、久しぶりの地上は嬉しいらしく、マリクの頭上で一回りすると、森の中を猛スピードで飛んで行く。あっという間に姿は見えなくなるが、再び現れたのは俺達の後ろから。
「どうだい、何か見つかった?」
しかし、ベルは頭を左右に振ると、再び姿を消してしまう。
「やっぱり、無理だったね。ベルが見つけれないなら、誰にも無理だよ」
マジックアイテムの仕業だと分かっても、どこに隠してあるが分からなければ、手の出しようがない。
「ふんっ、勉強になったか。サージ様を守る為に作ったマジックアイテムの無限ループじゃ。お主らが束になってかかったとて、どうにもならん代物よ。まあ、ベルとやらは少し見込みがありそうだがの」
「それは分かったけど、どうやって進むんだ?ザキさんなら、簡単に出来るんだろ」
「無理に決まっておろう。破壊なくして、先に進むことなぞ出来ん」
ザキーサは、悪びれずに堂々と言い放つと、アイテムボックスの中からバスケットを取り出す。
「ザキさん、何をするつもりだ?」
バスケットの蓋が開くと、サンドイッチの良い香りが森の中に広がる。さらに水筒を取り出すと、珈琲の良い香りが合わさり、皆の食欲をそそる。
「何をおかしなことを言う。食べるに決まっておろう。眺めたいなら眺めておれ。余はお主達の分も遠慮なく頂くぞ」
ハッキリとそう言われてしまえば、どうすることも出来ない。それにローゼが作ったサンドイッチはブランシュ直伝。食べることを拒否すれば、両方ともに機嫌を損ねる可能性が高い。
迷いの森の探索のはずが、本当にピクニックになってしまう。これで、何の結果も出なければ、マリクに何を言われても言い返せないと、最悪の想像をしながらもサンドイッチに手を伸ばせば、俺の手は空振りしてしまう。
「ほう、もう来たか。大分飢えておるようじゃな」
「ザキさん、何があったんだ?」
「しっかりと、守りを固めておけ。そうでないと全てやられてしまうぞ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる