黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~

さんが

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第47話 ザキーサの罠と聖女の猛攻

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 ザキーサが定位置のブランシュの肩から飛び立つと、宙でホバリングして様子を伺う。

「追い詰められておる。油断するな」

「ザキさん、何が起こるんだ?」

 しかし、ザキーサは何も答えずに結界魔法を放つと、俺達はドーム状の光の中に包まれる。ザキーサが本気を出して放った結界魔法は、幾重にも重なるようにして展開され、それ程までしなければならない強い力が襲いかかってくることを知らせてくれる。

 激しい音がヒケンの森の中に響き渡り、地面が揺れ木々が激しく動けば、無数の葉が舞い落ちてくる。それが障壁の上に積もれば視界は無くなる。

 そして、薄暗くなった障壁の中にパリンッと砕ける音が響く。ザキーサの幾重にも張った障壁の数枚は破壊されるが、まだ俺達には空気の振動しか感じない。

「これは何が起こったんだ?」

 バスケットの中のサンドイッチが、宙に浮かび上がる。大地の振動で飛び出したのではなく、何かに引き寄せられるようにフワフワと宙に浮かび、それをザキーサの障壁が阻んでいる。

「だから、言ったじゃろ。早くせんと、全てを持っていかれるぞ」

「だから、何がだ?」

「サンドイッチに決まっておろうが!」

 再び衝撃が走ると、障壁を覆っていた葉が吹き飛ぶ。障壁に突き刺さる、無数のマジックソード。
 そして、障壁の丁度真上には女性の姿がある。絶妙に見えそうで見えない絶妙なヒラヒラ感。だが、聖女の衣を纏うのは、ハイエルフのマリアナしかいない。

「相変わらず、不快なトカゲ野郎ね。私を食べ物で誘うという姑息な手は、昔と変わってないわ」

「やっと姿を見せたか。この性悪聖女め」

「何よ引きこもりのクセして、良く言えたわね。それに、私がこんな障壁で足止め出来るとでも思ったのかしら」

 地面が隆起すると、そこから木々の根が飛び出してくる。ただ、根とは思えないくらいに先端は鋭利で、どう見ても槍にしか見えない。それが俺達ではなく、サンドイッチ目掛けて一直線に襲いかかる。

「百も承知じゃ。お主には絶対に渡さん」

「やれるものならやってみなさい」

 サンドイッチに襲いかかる木々の根。俺達に向けられた攻撃ではないから、もちろん警戒はするが対抗しようとは思わない。

 ただ、それに巻き込まれたヤツがいる。ダンジョンに留守番しているはずだったミショウ。気付けば飛ぶことの出来ないミショウが宙に現れ、サンドイッチの前へと強制転移させられている。

 そして、ミショウの体に突き刺さる木々の根。竜鱗で覆われた体だが、木々の根は鱗の一部を破壊しミショウの体へと食い込んでいる。

「相変わらずの凶暴さは変わっとらんな。ドラゴンキラーのマリアナは健在のようじゃ。余に協力するならば、分けてやってもイイ。味はサージ様にも匹敵し、もしかすると生まれ変わりやもしれん」

「何をほざ……くか……」

 ミショウに突き刺さった木々の根が、地表へと落ちると、再び地面の中へと戻ってゆく。それに合わせてザキーサも障壁を解除すれば、頭上からゆっくりと聖女マリアナが降りてくる。

「サージ、サージなのね……」

 まじまじとブランシュの顔を見ると、マリアナは怒りの表情から一変し涙を滲ませる。しかし、それは一瞬で再び怒りの表情へと変貌してしまう。

「誰だ、貴様っ!」

 誰だと聞いたくせに、俺の返事は待ってくれない。マリアナの持つ杖が、容赦なく俺の顔面へと突き出される。
 ドンッという鈍い音はするが、俺の前に立ちはだかったのはミショウの尾。正確には、ザキーサによって操られたミショウの長い尾。だが、マリアナの杖はミショウの尾を粉砕し、原型をとどめていない。

「ザキーサ、何故邪魔をする。サージに付く虫は、私が排除する」

「良く見てみろ。似ているが、サージ様じゃないわ。それとも、耄碌が始まったか?」

 しげしげと、ブランシュの顔を見ていたがマリアナだが、次第にブランシュの全体を見る。

「2対の翼。それに、魔力も僅かに違う。誰だ?」

「復活した始まりのダンジョンのダンジョンマスター。そして、我が主の熾天使のブランシュじゃ」
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