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タイコの湖
273.精霊の残した言葉
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「やっと戻ってきたな!」
フタガの岩峰に戻ってくると、家に帰ってきたような妙な安心感がある。この場所で産まれたわけでもないし、長い間ここに留まっていたわけでもない。それでも岩峰に暮らしていたかのような、何故かホッとした気分になる。
『ラガートの記憶のせいじゃないかしら。名付けしたことで、あなたの記憶にも影響を与えているのよ』
「それって、大丈夫なのか?」
『そうね、記憶が共有されるくらいなら悪くはないんじゃないかしら。でも、侵食されるようだと不味いかもしれないわね』
「えっ、そんなことが起こるのか?他にもゴブリンロードやオークロードも吸収してるんだぞ」
『私のことじゃないから、ハッキリとは分からないわね』
そう言いながらムーアは、オヤの草原から連れてきたオーク達を見る。オーク達には1つの岩峰の頂上に棲みかを与えて、その頂上に連れてきている。オーク達を一度頂上に連れくれば、翼のないオークは頂上から降りる事は出来ない。
だがその反面、他のものも簡単には近付く事は出来なし、近付く者がいれば発見し易い。オーク達もオヤの草原以上に安全な場所に満足している。そして今は守護者のロードが指示に従い、テキパキと行動している。
『どう、大人しいと思わない?とても、獰猛といわれたオークには見えないでしょ』
「確かにこの姿を見れば、魔物の存在が何かってことが益々分からなくなるよ」
オーク達とは街道を通り、フタガの岩峰までやってきている。もちろん来る道中でも、誰とも遭遇しないという可能性は低い。オヤの街から追いかけてくるハーフリング族はいなくても、戻ってくるハーフリング族はいる。それにクオカの森から出てくるエルフと遭遇する可能性だってある。
そして一番心配したのが、オーク達とエルフ族が遭遇した時に暴走しないかという事だった。だから、敢えてオーク達の前にコアが姿を現した。しかし、オーク達の統率された行動は一切全く乱れることなく、それどころかコアに対しては俺以上に敬意を払った行動をとる。それは、コアがオークを助けようとしたことを知っているようでもあった。
『きっと、あなたが吸収したロード達の統率力が影響しているのよ。この状態が続くならば問題はないでしょ!それに、ウィプス達もいるから変化があれば分かるわよ』
「そうだな、今は深く考えずに由とするか」
残るオーク達の問題はチェンの報告待つしかない。しかし、ここまでやってしまえば今さらどうすることも出来ないはず。それに、全てのオークが従ったわけではない。一部のオークは従わずに草原に残されているので、先にその問題を解決しなければならないだろう。
少し気持ちにも余裕が出来てきたことろで、オークロードの魔石を吸収した時に現れた精霊の言葉を思い出す。
さらに力を欲するならば地に潜り、さらに理を欲するならば天に向かえ。
「これは何を意味しているんだ?」
『力と理ね。どちからかはスキルの事なのだろうけど、もう1つは分からないわね。精霊が言っていたのはそれだけなの?』
「ああ、それだけ。最後に出来ないウィンクをして消えてしまった」
「待って、待って!カショウ、出来ないウインクって何?どんなのっ!」
急にナレッジが慌てたようにして、会話に入ってくる。今までも追い詰められたり、後がない状況に陥ったことはある。しかし、ここまでナレッジが慌てているのは見たことがない。
「あれがウインクなのかどうか分からないけど、最後に両目を瞑って消えたよ。ウインクをしようとしたんじゃないのか?」
「もしかして、少し頭を振りながらウインクしてなかったかい?」
「ああっ、何でそれを知ってるんだ?」
「黒髪で、長さは腰ほどまでじゃなかった」
「確か、そんな感じだったかな」
「それでそれで、青い眼をしていて、くっくっと笑うんだよ」
最初こそナレッジの話を聞いて答えていたが、次第に一方的に話になり止まらなくなる。途中でムーアも飽きてしまったようで、気付けば陰の中に潜って消えている。
これでも意外にやることは多い。ガーラとホーソンがオヤの牢獄から回収した装備品や道具を運んでくるので、必然と検証が始まってしまう。
「ねえ、カショウ!僕の話を聞いてくれてる?」
「ああ、終わったか。シナジーみたいな白っぽい霧のような姿だったから、色とか詳しいことは分からないぞ。で、その精霊は誰なんだ?」
「えっと、それは···」
フタガの岩峰に戻ってくると、家に帰ってきたような妙な安心感がある。この場所で産まれたわけでもないし、長い間ここに留まっていたわけでもない。それでも岩峰に暮らしていたかのような、何故かホッとした気分になる。
『ラガートの記憶のせいじゃないかしら。名付けしたことで、あなたの記憶にも影響を与えているのよ』
「それって、大丈夫なのか?」
『そうね、記憶が共有されるくらいなら悪くはないんじゃないかしら。でも、侵食されるようだと不味いかもしれないわね』
「えっ、そんなことが起こるのか?他にもゴブリンロードやオークロードも吸収してるんだぞ」
『私のことじゃないから、ハッキリとは分からないわね』
そう言いながらムーアは、オヤの草原から連れてきたオーク達を見る。オーク達には1つの岩峰の頂上に棲みかを与えて、その頂上に連れてきている。オーク達を一度頂上に連れくれば、翼のないオークは頂上から降りる事は出来ない。
だがその反面、他のものも簡単には近付く事は出来なし、近付く者がいれば発見し易い。オーク達もオヤの草原以上に安全な場所に満足している。そして今は守護者のロードが指示に従い、テキパキと行動している。
『どう、大人しいと思わない?とても、獰猛といわれたオークには見えないでしょ』
「確かにこの姿を見れば、魔物の存在が何かってことが益々分からなくなるよ」
オーク達とは街道を通り、フタガの岩峰までやってきている。もちろん来る道中でも、誰とも遭遇しないという可能性は低い。オヤの街から追いかけてくるハーフリング族はいなくても、戻ってくるハーフリング族はいる。それにクオカの森から出てくるエルフと遭遇する可能性だってある。
そして一番心配したのが、オーク達とエルフ族が遭遇した時に暴走しないかという事だった。だから、敢えてオーク達の前にコアが姿を現した。しかし、オーク達の統率された行動は一切全く乱れることなく、それどころかコアに対しては俺以上に敬意を払った行動をとる。それは、コアがオークを助けようとしたことを知っているようでもあった。
『きっと、あなたが吸収したロード達の統率力が影響しているのよ。この状態が続くならば問題はないでしょ!それに、ウィプス達もいるから変化があれば分かるわよ』
「そうだな、今は深く考えずに由とするか」
残るオーク達の問題はチェンの報告待つしかない。しかし、ここまでやってしまえば今さらどうすることも出来ないはず。それに、全てのオークが従ったわけではない。一部のオークは従わずに草原に残されているので、先にその問題を解決しなければならないだろう。
少し気持ちにも余裕が出来てきたことろで、オークロードの魔石を吸収した時に現れた精霊の言葉を思い出す。
さらに力を欲するならば地に潜り、さらに理を欲するならば天に向かえ。
「これは何を意味しているんだ?」
『力と理ね。どちからかはスキルの事なのだろうけど、もう1つは分からないわね。精霊が言っていたのはそれだけなの?』
「ああ、それだけ。最後に出来ないウィンクをして消えてしまった」
「待って、待って!カショウ、出来ないウインクって何?どんなのっ!」
急にナレッジが慌てたようにして、会話に入ってくる。今までも追い詰められたり、後がない状況に陥ったことはある。しかし、ここまでナレッジが慌てているのは見たことがない。
「あれがウインクなのかどうか分からないけど、最後に両目を瞑って消えたよ。ウインクをしようとしたんじゃないのか?」
「もしかして、少し頭を振りながらウインクしてなかったかい?」
「ああっ、何でそれを知ってるんだ?」
「黒髪で、長さは腰ほどまでじゃなかった」
「確か、そんな感じだったかな」
「それでそれで、青い眼をしていて、くっくっと笑うんだよ」
最初こそナレッジの話を聞いて答えていたが、次第に一方的に話になり止まらなくなる。途中でムーアも飽きてしまったようで、気付けば陰の中に潜って消えている。
これでも意外にやることは多い。ガーラとホーソンがオヤの牢獄から回収した装備品や道具を運んでくるので、必然と検証が始まってしまう。
「ねえ、カショウ!僕の話を聞いてくれてる?」
「ああ、終わったか。シナジーみたいな白っぽい霧のような姿だったから、色とか詳しいことは分からないぞ。で、その精霊は誰なんだ?」
「えっと、それは···」
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