目の前の炎

木山優真

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プロローグ

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おい!いい加減に進路を決めないか!
また父親が怒鳴ってきた。進路とかはっきり言ってどうでもいいし、高卒で就職でも俺は良いと思っている。だけど給料は高い方がいい。「ったく!分かってるよ!」物凄い音を発てながら俺は家の階段を登って自分の部屋に行く。イラついてイラついてしょうがないので今日は寝ることにした。

俺の名前は高倉祐介。今は高3の夏休みに入る直前で進路を決めなければならない瀬戸際まで追い詰められている。なぜここまで進路が決まらなかったのかと言われればやっぱり俺の計画性の無さがあるだろう。小さい頃からなにかをするのに順序立てるのが大の苦手だった。今もチャリに乗って俺が通っている県内トップクラスのド底辺高校まで1時間もかけて向かっている。中学の頃もまともに勉強なんかしなくて、行ける高校がいつのまにかこのド底辺高校しか無くなっていたんだ。「まだ上白根かよ…」心の声が漏れた。うちの高校は瀬谷区にあるんだが、俺は都筑区の勝田に住んでいる。うちは金が無いから1時間かけて自転車で通学している。こんなの俺だけだ。先生に今日までに進路を決めろと言われていたがなんも考えてきてない。いつものことだ。そんなこんなしてるうちにもう瀬谷区の米軍上瀬谷通信基地の跡地前まで来ていた。ここまで来たらもう着いたと同然だ。やっと着いたという安心感が俺を包んだが、それよりも進路を決めていない焦りが強すぎて学校に行きたくなくなった。「チャリ手で押しながら歩くか…」また心の声が出た。手で押しながら歩けば学校に着くまで時間が稼げる。いつも通り中瀬谷消防出張所の前を通りすぎる時に消防署前のポスターに目が行った。

超使命感… 消防職員募集… 消防士なんて俺の頭に無かった。ネットで調べてみると給料は結構良さそうだ。俺の頭にあった道路工事関係の仕事とか警備員とかより断然給料がいい。ただ火を消してそれで高い給料なら良すぎる。しかも出願期限はちょうど来年の夏。「これだ!!!!」本日3回目の心の声が漏れた。

チャリに飛び乗って先生に消防士になると伝えた。先生は喜んでいた。それもそのはずだ。人を救いたいとかいうテンプレのような志望理由をカッコつけたい一心から言ってみたら、それが先生の心に刺さったらしい。先生が満面の笑みでうちの母親に電話をかける。どうやら俺の母親も喜んでいるらしく、すごく話が弾んでいる。親不孝の俺が人様の役に立ちたいと思っている事が俺の母親もかなり嬉しかったらしい。そして先生に散々誉められて、俺もなんだか気分上々で家に帰った。

そして、俺は消防士は自分の予想を遥かに越える仕事だということを知ることになる。
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