目の前の炎

木山優真

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旅の始まり

1-1

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あれから1年の月日が経った。

採用試験当日。
みんなシャキッとした表情で1次試験を受けに来る。そんな中俺だけぼさっとした表情で机に突っ伏している。夜遅くまでゲームをしすぎた。最悪消防士にならなくてもいいや、なんていう甘い考えが浮かんでくる。にしても試験問題が難しすぎてどうしようもない。隣の見るからに頭良さそうなやつの解答用紙がチラッと見える。距離は十分離れているのだが、俺は目が良いのではっきりと文字が見える。俺は高校の定期試験のようにカンニングを開始した。何もしていない俺よりは何かしらしてきているだろうと思いカンニングをした。もうカンニングに慣れすぎて罪悪感のかけらもない。

そして試験終盤を迎えた。隣のやつが全部書き終わった。俺も隣のやつと同じタイミングで書き終わった。見事に答えを全部写した。さすがに面白味が無いので、最後の記号問題だけ「ウ」から「ア」に変えてみた。試験残り時間もあと5分。消防士になったらモテるのかなとか考えながら過ごしたらあっという間に時間が経っていた。

試験監督が終わりを告げ、俺は誰よりも早く会場を出る。そそくさと試験会場最寄りの駅から家の最寄り駅である仲町台まで帰る。仲町台から歩いて家まで帰っていると遠くからサイレンが聞こえてきた。そして俺の目の前で停まった。どうやらガキが消防を呼んだらしい。なんで呼んだのか気になったので見ていたら猫が木の上に登って降りれなくて消防を呼んだという。舐められた仕事だな、と俺は鼻で笑った。こんな事で消防が出場するのかよという呆れの気持ちと楽そうな仕事だと思う気持ちが合わさってなんだか面白い。だが消防隊員は皆笑顔で猫に向かって「良かったな!」と言い、子どもたちに「この猫君のペットかい?」と聞いて次からは気を付けるよう優しく注意している。なんだかすごく呑気な仕事だなとまた思いながら俺は家に帰るまでの足を進めた。

家に着いて即座にPCを起動し、ゲームを開始。ゲームのマッチング時間はカップラーメンを作る時間以上に長い気がする。そんな時に、なんて楽な仕事に就けるのだろう、その上給料は高いしモテるかもしれない。なんて良い仕事なんだろうとさぞかし思っていた。まぁ合格している保証は無いのだが何故か俺は合格している気がしてならなかった。そんな事を考えていたらマッチングした。100人が無人島で武器を集めて最後の1人になるまで戦うという人を救う仕事とは正反対のゲームを黙々とプレイする。一次試験の合格発表は10月12日らしい。その日まで俺はこの人を助ける事とは真反対のゲームに熱中する事を決めた。この時の俺は体力をつけようという発想には全くならなかった。
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