最高の楽園〜私が過ごした3年間の場所〜

Himeri

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一章「始まりの物語」

入学式〜式本番編〜

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私たちは、廊下に出席番号順に整列した。これから、新たな生活が始まるんだ。そう思うと、楽しみだけど、怖くなった。薄々感じていたんだ。この学園の雰囲気は、何か怖いと。それは、単なる恐ろしさではない。校風もどこか、普通じゃない気がした。それに、朝一に出会った桜山先生。あの先生も、きっと何かがある。そんな気がした。
それから、広野先生が歩き始めて、私たちは体育館へと向かった。2組だから、席は前の方。前の方というのは、あまり嬉しくなかった。それから、3組、4組、5組と入ってきた。他のクラスの担任の先生はまだ見ていない。きっと怖い先生たちばかりなんだろうなと思った。
そして、いよいよ入学式が始まった。校長、理事長の話があり、校歌斉唱など、いたって普通の入学式が行われた。正直退屈だった。校歌なんて知らないし、校長や理事長の話なんて、ただの綺麗事にしか聞こえなかった。早くこんな式が終わって、帰りたい。その一心だった。
入学式の最後は、もちろん学年の教師の紹介だった。普通は紹介だけで終わるはずなのだが、なぜかここは自己紹介も込みであるらしい。はっきり言って、興味がなかった。まぁ、これからお世話になる先生がほとんどだし、とりあえず、聞いておくだけでも損はないかと思い、真面目に聞くことにした。それにしても、1組の担任の自己紹介は、長ったらしい。今年からこの学園に来たのか知らないけれど、どうでもいい話しかしない。次に、広野先生の番が来た。
広「この度、1年2組の担任になりました、社会科の広野晶です。私にとって、1年生の担任をするのは2回目になります。今までにない、最高の思い出をここでみんなと作っていきたいと思います。そのために、いけないことはいけないと、はっきり注意していくことをモットーに、これから頑張っていきますので、よろしくお願いします。」
何だこの先生は⁉︎さっきの雰囲気とは違っていた。なんというか、親の前だから?沢山の人の前だからかわからないけど、先生が輝いて見えた。この先生が、私の担任。そう思うと、少しだけ広野先生が面白そうな先生に見えた。
それから、3組の担任の先生の自己紹介があった。1組の担任と同様、正直どうでもよかった。
そして、桜山先生の番になった。その時、先生はマイクを受け取ったが、そのマイクを舞台の上に置いた。まさか、地声で話すとでもいうの⁉︎そのまさかだった。先生は、本気で地声で話そうとしていた。その時、前から冷気を感じた。ここにいるみんな、桜山先生に惹きつけられた。なんだろう、この怖さ。さっきは感じなかった怖さが、そこにあった。
桜「今年度、1年4組の担任、そしてこの学年の副学年主任になりました、数学科の桜山莉緒です。私は、妥協することはしません。ですので、悪事は黙って見過ごすことはしません。この1年、みんなとたくさんのいい思い出を作りたいと思っているので、どうぞよろしくお願いします。」
私はこのとき思った。私は、最悪な先生に出会い、最悪な先生に目をつけられてしまったのだと……
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