どうも魔法少女(おじさん)です。 異世界で運命の王子に溺愛されてます

志麻友紀

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どうも魔法少女(おじさん)です。【2】~聖女襲来!?~おじさんと王子様が結婚するって本当ですか!?

【11】おじさん包囲網~王子様からは逃げられない!~ その1

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「婚約の儀の段階ならば、伯爵位でもよろしいでしょう。私の称号を一つコウジに譲ってもよろしいかと」

 固まったコウジの隣でジークが口を開く。おい、お前なんで当たり前みたいに、王様の言葉に同意しているんだ? 

「いや婚約者であるお前の称号では、身内のこととなってしまう。ここは王である私が下賜したという形を取らなければな」

 「あの廃絶した伯爵家はどうだ? 王家の血を引いている」「領地がいささか小さいので、同時に断絶した子爵家の領地も買い足しましょう」「伯爵と子爵の称号を二つ授けるか? それならばさらに格があがる」などと勝手に話を進める王様と王子様にコウジは「ちょっと待ったぁ!」と声をかける。

「王様、正気ですか? この俺とジークが婚約!? 結婚!?」
「余は冗談は言っておらぬし、酒も飲んではおらぬぞ」

 「そもそも昼間だ」と王様が生真面目に答える。「いや、このとんでも美形王子様とおじさんですよ! お・じ・さ・ん! 男です!」

 「反対しないんですか!?」となんで自分がこんなこと聞いているんだと、コウジは思わずぐしゃぐしゃと髪をかき回す。ケントンの『我慢ですよ』という言葉が浮かんだが、我慢なんて出来るか! 

「フォートリオンは同性同士の婚姻も女神アルタナの愛により許している。問題はない」
「い、いや、それは確かなんですけどね。王族は前例がないというか、なんというか」
「前例など作るものだろう。我が国の婚姻の法は、王族のみ除外するとは書かれておらぬぞ」

 この王様、頭のネジが一本ぶっ飛んじゃったのか? と思う。

「そ、それはそうなんですけどね。俺としては爵位なんかいらないし、ジークとの関係もこのままで、別に形なんて取らなくてもですね」

 コウジとしては自分がお貴族様になるのも柄じゃないし、仰々しいだろう婚約式だの、まして結婚式なんて考えるだけで、小っ恥ずかしくてその場でジタバタ細い足を動かして悶絶したくなる。

────この隣に座る王子様とおじさんが結婚式、結婚式……あ、想像しちゃダメだ。

 白い鳩が青いお空に飛んで、教会の鐘がカランコロン、その下の光景は考えたくない。王子様とおじさんが腕組んで出てくるなんて、どんなコメディだよ! 

「コウジ」

 横から低い声がして、コウジがいまだ髪に差し入れていた手を取り、ジークがぎゅっと両手で握りしめる。優しく包み込むように、だがその少し強い力は絶対にこの手を離さないと語っているかのようだ。

「あなたは覚悟を決めると言ってくれたな?」
「あ、ああ。だからって結婚なんて形を取らなくてもだな……俺はお前のそばにいるぞ」
「いいや、それは私が嫌だ。あなたが私の伴侶であることを、私は外にもしっかりと示したい」
「いやいや、俺はだから別にいいって……」
「覚悟を決めたならば、私との結婚も構わないはずではないか?」
「う、それは……」

 ずいっと超絶美形の顔が目前に迫る。すでに“言質”はとられている。なぜ言った? あのときの自分。たしかに“覚悟”はした。だけどあれは、なにがあってもジークのそばにいるということで、王子様と正式に婚約、結婚なんてことではない。

「コウジ、私と結婚しよう」
「う、あ、それはなぁ……」

 くれますか? ではなくて、しようとは断定か? 王子様と思う。言葉に詰まるコウジをじっと剃刀色の瞳が見つめる。

「私は永遠にあなたを愛している」
「お、俺もずっと好きだぜ」

 永遠はちょっとわかんねぇけど、少なくともずっと……は努力したいと思っている。

「ならば生涯を共にいる約束を、私と結婚してくれますね?」
「う、そ、それは……」
「結婚してくれますね?」
「わ、わかった……」

 普段は結構に無口なクセして、こんなときにはゴリゴリに押しの強い王子様の三段論法にうなずくしかなかった。
 しかし、ここで負けては? ならないと、コウジはジークに手を握りしめられたまま、前を見る。

「これで本当にいいんですか? 王様ぁ!」
「いいもなにもコウジ。君はすっかり忘れているようだが、ジークはすでに皆の前で君との関係を公言しておるのだぞ」

 あ、たしかに忘れていた。みなさんの前で、この王子様、俺の口をかっぷりかじった上に、王様に向かって自分達のことは『ほっといてくれ』と言ったんだった。
 いや、そこでどうして王様、“ほうっておいてくれなかったんだ”と言いたいが。

────まあ、世間体とかありますよねぇ。

 あれがあったから、この王様としても渋々認めざるをえなかったのか? とコウジは思ったが、その心を読んだかのように、フィルナンドは「そうではない」と言う。

「いまさら外聞がなんぞと、四十五人も子を作った余が気にすると思うか?」
「はぁ……」

 そうでしたね。この王様四十五人も王子を作った恥知らず……もとい、大変精力的な方でしたね。
 もっともそれは災厄に踊らされた結果とも言えるが。

「結婚を許可するのは親心……というのも白々しいな。四十五人もいれば顔や名前さえおぼろな者もいる。薄情と言われてもしかたない。
 冷徹に切り捨てることもな」

 それは三王子以外の王位継承権をすべての王子達から取り上げようとしていることか。それから、逃亡した第10王子と第11王子に肉親として情けをかけることなく処断したことか。
 統治者としては冷徹は必要な資質だろう。情けに囚われて国を滅ぼした例など、いくらでもある。

「だからこれは不遇の身にありながら、長年国に尽くしてくれた英雄にたいする、王としての感謝のようなものだよ」

 フィルナンド王がその微笑みにかすかな苦さを滲ませる。だが、そこにはたしかに父親としての顔もあったのは事実だった。





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