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どうも魔法少女(おじさん)です。【3】~魔王降臨!!おじさんの昔のオトコ!?~
【10】答え合わせをしよう その2
しおりを挟む「俺が視たのは、あんたが魔勇者となったところまでだ。
さて、魔王がゾンビとなって魔勇者が“革命”に乗り出した世界はどうなった?」
「あの世界の半分以上は魔界と化した。それ以上の征服を怖れた神は、己の世界を切り離した」
「なるほど“遺棄”したか」
以前、女神モルガナによって、フォートリオンが“汚染”されそうになったとき、アルタナが言った“最終手段”だ。
自らが創世した世界を切り捨てて、次元の海へと放り投げる。それ以上、世界が他の勢力に侵食される前に汚染された地を“見捨てる”。
「訂正が一つある。お前は私が別の世界で召喚されたのは一回きりだと思っているようだが、幾度か繰り返している」
フィラースの言葉にコウジは目を見開く。
「じゃあ、何度も他の創世世界を侵略しちゃ、領土をあちこちからかすめ取ったってことか?」
「かすめ取るなど心外だな。あちらが勇者を召喚しておいて、その勇者の末路をなにも言わず、魔王を倒させようとしたのだ。
ある意味で自業自得と思わないか?」
たしかに魔王を倒した勇者がどうなるか。それがわかっていて、いままでの神々は“生け贄”となる異世界の勇者を召喚してきたのだ。
「言い訳に聞こえるかもしれないが、俺達は勇者召喚の詳細はなにも聞かされてなかったぜ」
召喚したモルガナ女神にアルタナ女神はわからないが、少なくともコウジ達は勇者の末路など知らされてなかった。
「なるほどな。魔王を倒していない以上、あんたは勇者だ。だから、異世界からの勇者召喚はかならずあんたが呼ばれるってことか。
あの召喚のときに妙なノイズが走った理由がわかったぜ」
純粋な召喚ではなく、やはりそこには“ゆがみ”があるのだろう。コウジの言葉にフィラースは「そこまで視えていたとはな」と感心したようにうなずく。
「だが召喚の時点では私は若返り、純粋な勇者に戻る。自分の死の記憶も忘れてな」
「ああ、たしかにあんたはなんで自分が死んだのか知らなかった」
あれも勇者召喚に仕掛けられた神々の巧妙な罠だ。絶望を知らず希望のみが胸にある青年の姿で呼んでおいて、魔王を倒した瞬間に己の絶望に包まれた死の瞬間を思い出すなど、奈落の底に突き落とすような悪趣味だ。
「あんた、魔王を倒すたびにあんな絶望をしていたのかよ?」
「“覚醒”のためには必要な工程だ。それに、そのたびに私の光と闇の力は重複によって強化される。さて、今では生半可な神の力でも対抗は出来ないほどではないかな?」
「征服した魔界はさぞや、デカくなっているんだろうな」
「ああ、このモルガナの地下に広がっている」
「虚海で繋がりあう、ここの創世世界をすべて合わせたほどか」とフィラースは続けて。
「治政者としての私の能力は知っているだろう? 魔族が最上位種であるが、他の創世世界の種族も虐げられてはいない。それなりに上手く治めているつもりだ」
「あんたが身分制度を?」とコウジは顔をしかめた。皆が平等な民主主義社会を目指していた革命家らしくもない。別にコウジもそれが理想とは思えないが、男の変節に少し失望したのだ。
「魔界には必要な制度だ。彼らは強者にしか支配はされない。“多少”気性の荒い者達を躾けるには、少々難儀したぞ」
まあ確かに魔界なんて、修羅の国以上に修羅の国だろう。弱肉強食であり、弱者は強者に虐げられる。
いやいや、魔族が最上位だといったが、他の種族も虐げられてはいないと言った。そういえばリンベイの背には四枚の羽があった。彼女も魔族ではなく他種族ということか。
「なるほど、あんたがそれなりに魔界を統治していることはわかった。魔界がデカいこともな。
じゃあ、もうこれ以上、領土なんていらないだろう? さっさとこの世界を去ったらどうだ?」
パフェのグラスの底のゼリーをすくって食べて、長い柄のスプーンをフィラースに向ける。
「これが勝手に離れられない。私は魔王ではない。それに魔王も堕ちた神だ。世界を創る力も離れる力もない」
「ただ切り捨てられるのを待つだけだ」という言葉にコウジは「そうすりゃいい」とシャンパングラスを傾ける。
「この世界ではなにもするな。モルガナからも撤退して魔界に引きこもれ」
「一度征服した地を放棄しろと? そんなお人好しの国の例などあるものか。
あのときの私には力はなかった。が、今はある。己の理想とする世界を実現するだけの力がね」
あのときがどのときか。それは革命を起こし、己の理想とする国を模索しながら、大国の思惑に翻弄されて志し半ばで倒れた“あのとき”だ。
死の瞬間、彼が感じていたのは恐怖でも悲しみでもなく怒りだった。理不尽な世界の運命に対して。
だから、今もあらがい続けるのか?
世界や神々にさえも。
「さて、私も訊きたいことがある」
フィラースの言葉にコウジは「なんだよ?」と返す。
「コウジ、お前は一体何者だ?」
「俺は俺だけど?」
「いや、お前は少なくとも私が知っているお前ではない。
“冷徹”な傭兵だったお前ならば、我が身を犠牲にして仲間をかばうなんてことはしなかった。“愛しい恋人”が助かればいいなんて“健気な自己犠牲”もな。
自分が生き残ることを第一に考える男だった」
「お前は誰だ?」というフィラースの問いに、コウジは唇の片端をゆがめた。
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