僕は性奴隷になりたい~異世界にTS転移したんだけど、宗教戦争に駆り出されて辛いです~

初夏終冬

文字の大きさ
4 / 21

第4話 僕はコンビニに住みたい

しおりを挟む
 
「ムタくんこそ、どうしてここに?」

 思えば、コンビニを出てそれほど時間を置かずにタイムスリップしたように感じる。

「俺は気付いたら店ごとッスね。なんか、欠伸したら外がヨーロッパになったッス」

 欠伸したらって……まぁ、早朝勤務だから眠たいのはわかるけれど。
 僕も夜の仕事を終えた次の日は、基本的に眠たい時間が続くのだ。

 ぎゅるるるるるる

「あー……」

 不意に僕のお腹の虫が鳴く。
 いや、もう、ほんと。
 恥ずかしさのあまり、ムタくんから顔をそらして、ちらっと彼をみた。

 すると、なにやら右手で顔を覆い、天井を見ているようだった。
 よくわからないことをしているなぁ、と思いながら、ムタくんにお願いする。

「お腹空いちゃって……その、朝買ったの食べてから、なにも食べてないんだよね」

「全然いッスよ。客来ないッスから! なんか、駐車場までは入ってくるんスけど、見えてないんスかね? 店の中まではというか、店自体に気付いてない感じがするんスよ」

 へぇ。
 じゃあこの中にいればまず間違いなく安全、ということかな?
 コンビニがあれば、当分の間飲み物と食べ物に困ることはない。
 車に念のため入れている毛布でも持って来たら、多少はゆっくり寝られるだろう。

「なんでも好きなもの食べてくださいッス。俺もいっぱいつまみ食いしてるんで」

 親指でくいっと彼が差したのは、俗にフライヤーと言われるらしいものだった。
 いいなぁ。僕もなんだか、揚げ物が食べたくなってきた。

「あの、私もフライドポテト食べたい、かも」

 フライドポテト……僕は一番好きだ。でも、あまり食べすぎるとお肌に良くない。揚げ物全体がそうだ。
 でも、今日くらいはいいだろう。

「どのくらいッスか? まぁ余ったら俺も食うんで、適当にやるッスよ?」

「お願いします」

「5分かからないんで、適当に飯選んで食い始めていッスからね」

 そう言って、ムタくんは冷蔵庫から冷凍されているフライドポテトを取り出し、縛ってある輪ゴムを取る。
 3分の1ほど残っていたポテトを、すべて網の中に入れた。
 あとでまたお礼を言おうと思いながら、僕は弁当コーナーに行く。

「今朝はシャケと昆布のおにぎりだったから……あ、賞味期限近いのから食べたほうがいいかな」

 弁当コーナーにあるものの賞味期限を確認しながら、一番期限が近いものの中で食べたいものを選んだ。

「うん、ロコモコ丼でいいや」

 ロコモコ丼を手に取り、レジに向かう。
 別にお金を支払う必要は感じない。だけど、ムタくんが払えというのなら払おうと思う。
 たぶん、彼はそんなこと言わないけれど。
 こんなところにタイムスリップしては、現代日本の貨幣なんてゴミ同然だ。日本に帰った時のことを考えて、財布は大事に取っておくくらいはしたほうがいいかもしれない。
 支払いは無しで、ロコモコ丼を温めてもらう。ムタくんは特に何も言ってこなかった。温めている間にピーっと音が鳴った。

「ポテト上がったッスよー」

 ムタくんがポテトを持ってきてくれた。それを受け取り、どこで食べようかな、と悩んでいると「奥から机と椅子持ってくるんで、ちょっと待ってくださいッス」と言ってすぐに準備してくれた。
 男の子だなぁ。
 その間にもロコモコ丼が温まり、机の上にムタくんが運ぶ。僕が椅子に座ると、彼は反対側に座った。

「じゃ、いただきます」

「はいッス。お茶ついでに持ってきたんスけど、烏龍茶でよかったッスか?」

「ありがと。気がきくね」

 烏龍茶はちょっと甘いかな。
 とはいえほかの店売りのお茶は飲めない。選ばれし綾鷹は苦くて飲めないのだ。



 ご飯を食べ終えると、歯磨きをしたくなってくる。あと、お風呂にも入りたい。
 そうムタくんに伝えると、新品の歯磨き粉と歯ブラシを持ってきてくれた。とても助かる。
 だけど、さすがにコンビニにお風呂は置いていない。せいぜい暖かいお湯が出るくらいで、大容量の箱のようなものはないのだ。
 ムタくんは僕がショックを受けているところを見て、すぐに代替物を用意してくれた。
 それが、体を拭いて綺麗にする濡れティッシュみたいなものだ。キャンプをよくする人や、登山家などでは結構常備している人がいるらしい。
 お風呂に入れない状況下でも、体を清潔に保ちたいと願った日本人は偉大だ。
 僕は今、世界で一番日本に感謝している。
 コンビニがこれほどまでに、なんでも置いていることは知らなかった。
 パンツもコンビニのものに履き替え済み。靴下も。服は無地の白Tシャツに、女物パンツの上から男物パンツを履いて。
 コンビニ備え付けの洗濯機の使い方を教わって、着ていたものも現在干している。
 トイレもある。水も出る。
 ここは、神の領域のように思えた。

「いやぁ、いろいろありがとね。僕は車に戻ろうと思うけど、ムタくんはどうするの?」

「え、戻るんスか?」

「そりゃ、さすがに、ね?」

 ムタくんが僕に好意を抱いていることは、薄々わかっている。そんな彼と一緒に、雑魚寝とはいえ寝るのは、危険な感じがする。

「実は、布団、あるんスけど……」

 困ったような顔で、彼は布団を持ってきた。

 ……布団? え? コンビニって布団も置いてるの?

「これはオーナーが、ここで寝ることあるからって、常備してて……。あ! しかも今日はたまたま布団の宅急便があったんスよ! こっちは新品ッスから、あかりさんでも大丈夫だと、思うんスけど……」

 ダメッスか?
 そう、目で訴えてくる。
 車の中でも、寝られることに違いはない。
 だからといって、布団に勝るかと言えば、決して勝つことはできない。
 布団は凄い。
 おふとぅんは、最強なのだ。
 腕時計を見れば、もう21時過ぎ。
 確か、眠りについて2時間で深い睡眠に入り、人は24時から28時の間に頭の整理をするという。
 つまり、あの短い杖のことも整理されるはずだ。いきなり言葉が通じたことについても。
 現在の、この状況に関しても。

 寝る場所に関しては、僕がバックルームを使い、ムタくんが売り場で寝るという話に落ち着いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...