僕は性奴隷になりたい~異世界にTS転移したんだけど、宗教戦争に駆り出されて辛いです~

初夏終冬

文字の大きさ
3 / 21

第3話 僕は入国に向かった

しおりを挟む
 
 あの巨大ミミズを迂回するルートを通り、ようやく人工物を目にした。

「あれは……城壁、かな? 国の周りを囲ってる感じかなぁ」

 車のナビの縮尺を調整して、ピスパニア市国全体がちょうど画面に入るようにすると、その壁が国全体を囲っているのだと判明した。
 たぶん、高さは15mくらいはある。あの巨大ミミズの全高の3倍か4倍ほど高い。
 さらにナビを拡大し、国内に入れる場所を探す。
 この草原側にはないみたいだけど、反対側にはあるようだ。というか、国の入り口が一つしかないのは問題にならないのだろうか?

「えーと、入るためにはピスパニア街道からしか無理ってことね」

 入り口に通じる道は、まっすぐに伸びているピスパニア街道というものしかなく、普通はそこから入って行くようだ。
 実際に城壁伝いに回ってみると、多くの人が並んでいる。
 けれど、彼らは一様に同じ格好をしていた。白一色の布を羽織り、頭にはターバンのようなものを被っている。

 ……これって、僕はものすごく目立つんじゃ?

 と、思ったけれど。
 すでにこの軽自動車が注目されていた。
 みんなの目が僕と軽自動車に向けられていて、とてもではないけれど、意識をそらすことはできなさそうだ。
 ピスパニア市国に入ろうとしている列の最後尾に軽自動車ごと並び、順番を待つ。
 前にいる人はラクダの引く馬車に乗っていた。
 もしかして、大昔の地球にタイムスリップしたのだろうか。
 そうだとしたら、ラクダに乗っているのも、馬車なのも説明がつくし、聞いたことがない国名でも納得がいく。
 趣味で国名をほぼすべて暗記しているから、おそらく過去にタイムスリップした地球なのだ。
 なぜ国名を暗記しているかと言えば、ゆくゆくは世界一周旅行ですべての国を制覇したいからに他ならない。
 まぁ、一生をかけても無理かもしれないけれど。


 前方から男性が歩いてくる。例に違わずほかの人たちと同じ格好をしていて、サウジアラビアを連想させる。
 色黒なところとか、礼儀がものすごく正しいところとか、挨拶に手を合わせるところとか。
 軽自動車の運転席側の窓まできた彼は、こんこんとノックした。

「なんでしょう?」

 窓を開けて、英語で用件を問いかける。

「▲◆■●▲◆●▼■」

 知らない言語だった。
 いや、僕ができるのは日本語と英語だけ。じゅうぶん世界のどこかの言葉の可能性はある。
 古代語あたりを使っている可能性も、否めないところが痛い……。

 首を傾げると、相手も言葉が通じていないことに気付いたらしい。
 懐から木製の短い杖のような、某ハ○ー・○ッターに出てきそうなものを取り出し、ぶつぶつと何か唱えた。

「通じているかね?」

「……え?」

 素で、日本語で疑問符が浮かぶ。
 いやいやいやいや、おかしい。
 何がおかしいかって?
 古代の地球にはそんな、言語の垣根をなくすことができる魔法のような便利なものがあったの?
 ……信じられない。
 どう考えてもおかしい。
 僕の耳がおかしくなったのかな? それなら納得がいく。うんうん。
 そうして頷いていると、彼は「どうした?」と問いかけてきた。

「あなたのせいでしょう……。いや、この際何でもいいです。はい。それで、どのようなご用件で?」

 諦めの境地だ。
 こんなの、理解が追いつかない。ひとまず問題の先送りをして、目先の問題に取り組もう。

「ああ、この馬車はなんだ? 見たところ馬やラクダが引っ張っているのではなさそうだが」

「これは……軽自動車という、馬を必要としない馬車です。機械ってわかりますか?」

「機械……聞いたことがあるぞ。中東のとある国が、機械大国だと聞いたことがある。そこから来たのか?」

 機械大国? 中東??
 なんのことだかわからないけれど、このまま話を押し通そう。

「そうですそうです。私、そこから来たんですよ~」

「ふむ。中東はいま連合軍と同盟国の戦争が起きているからな。逃げて来たということか。君は大使とかではないんだな?」

「はい。まったく違います。逃げて来たただの市民です」

 彼はその答えに一応の納得をしたらしく、続いて僕の後ろの人に同じような質問をしていた。

 曰く、どこから来たのか、と。

 彼らは一様に、僕の証言と似たようなことを言った。

 曰く、戦争から逃げて来た、と。

 ただ、彼らは全員ピスパニア市国の国教である、アトラス教という宗教の信仰者らしい。
 信徒だから、この国に逃げてきた、といったところだ。
 どの時代でも、やはり宗教というのは大切に違いない。
 列はスムーズに進んでいき、夕方ころにようやく入国手続きが終わった。
 壁の内側には家々が規則正しく建てられており、向かって東の中心には白亜の西洋風の城が見えた。
 どうやらその城を真ん中に、放射状に建てられた家があって、その間には道がそれぞれあった。縦の、壁から白亜の城に続く道は太くワンボックスカーが3台横並びになれそうだ。そして、円形に繋がっているのであろう道は狭い。軽自動車がやっと通れるくらいだ。

「お腹すいたなぁ。どこかに、いいご飯屋さんないかなぁ?」

 ここは、中東という言葉が出て来たということは西洋なのだろう。西洋の料理はそれほど洗練されていないと聞くし、本当においしいところを見つけないといけない。
 僕は石造りの家・街並みを観光気分で抜けながら、中心街に向かう。
 中心に向かえば、何かしらのものがあるはずだ。
 と、そこで見覚えのあるものを発見した。

「コンビニだ……コンビニがある……!」

 しかも人は皆無だ。駐車場には誰一人として馬車を止めていない。
 セブントゥエルブと書かれており、それは僕が毎朝通っている、いつものコンビニ。
 軽自動車を駐車し、貴重品を持ってコンビニへ!

 ……ムタくん!?

 自動ドアが開いた瞬間、一人ぼーっとレジの前に立つ店員が見えた。……それはムタくんだった。
 どうしてここに!
 どうしてこの時代に!
 まさか、僕に巻き込まれた?
 いやいや、そんなわけ。

「ムタ、くん?」

「え……? あ、あかりさん……あかりさん!? なんでここに!?」

 それは僕のセリフでもある、と心の中で言いながら、僕はレジ前にゆっくり歩いていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...