全寮制男子高校生活~生徒会長の恋~

雨雪

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昔話ー保健室・狼牙ー

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注意。
今回は熱で意識が朦朧としている庵が幼児化してます。
そして狼牙が幼児化した庵の可愛さに悶えてキャラが崩壊しておりますので注意してください。

********************


食堂での出来事の後。

庵を保健室に運び先生に診てもらったところ、過労で熱が出たのだろう、と言われた。

やはり、生徒会の仕事を庵だけでやっているというのは事実なんだな。

「じゃあ、狼牙君。僕ちょっと職員室行ってくるから、庵君頼むね」
「わかりました」

保険医の乃木のぎ先生は職員室へ。

俺は保健室に残る。
本当は今すぐ生徒会メンバーをどうにかしてやりたいが、それはあの場に残った海斗がやるだろう。

そんなことよりも、庵の方が大事だ。

「……庵」

何故、黙っていたのか。
何故、こんなになるまで1人で頑張っていたのか。

聞きたいことは沢山ある。

でも、庵が俺に頼ってくれなかったのが、一番悔しい。
俺は庵にとって、頼りないのか?頼ることも出来ないぐらいにちっぽけな存在なのか?

そう、いろんなことをごちゃごちゃと考えていると、うめき声が聞こえた。

「……う、」
「!庵っ!気がついたか?」
「ああ……狼牙、俺は」
「いい。熱があるんだ。今は寝ておけ」
「うん……狼牙」
「なんだ?」
「ありがと……」
「っ、いや、気にするな」
「ん……すぅ」

滅多に礼を言わない庵が俺に礼を言った……
くそ、なんだコイツ可愛いな!!

……やばいやばい庵が可愛すぎて我を忘れてた。
あーほんと危ない。(いやもうアウトだと思いますー。by.作者)

まあ、いい。
庵が1度目を覚ましたから、先生に報告しないと。

「ただいまー。ごめんねー、任せちゃって」
「いえ、大丈夫です。庵、1度目を覚ましましたが、寝かせておきました」
「うん、ありがとうねー。じゃあ、後は任せてね。あ、食堂なんだけどね。海斗君が生徒会メンバーと転入生に手酷いお仕置きしてたよ~。面白かった♪」
「教師としてそれはどうなんですか……」
「教師としてはよくないけど、僕個人としてはあの転入生うざかったしね~」
「はぁ……」

実はこの保険医、元CROWNメンバーである。しかも幹部。
故にメンバーの前では大体こんな感じだ。それ以外だと猫かぶってる。10匹ぐらい。
そんで生徒はみんな名前呼び。

「ん~……」
「あ、庵君。起こしちゃったかな。ごめんうるさくて」
「……………」
「どうかした?」
「みず……」
「水?飲んでなかったのか。狼牙君、お願いしていい?冷蔵庫のやつ」
「わかりました」

狼牙は保健室にある冷蔵庫を開けて、水を取り出した。
振り返って乃木を探すがどこにもいない。
はて、さっきはいたのだが……

「庵」
「ん~……」
「先生どこいったかわかるか?」
「知らない……」
「そうか。ほれ、水」
「ありがと……」

おおう。今日はよく礼をいう日だな。
熱で意識が朦朧としてるのか?

狼牙からペットボトルを受け取った庵は起き上がり、水を飲もうとする。
が、力が出ないせいで腕が持ち上がらず、水は庵の口に入る前に落ちてしまう。

「…………」
「お、おい大丈夫か?」
「……のめない」しょぼん↓
「(クソ可愛いな)どうすりゃいいんだこれ……ん?」

床になぜか紙が置いてある。
その紙の差出人は……乃木だ。

“狼牙君へ

今の庵君じゃペットボトルからは飲めないと思うから口移しであげたらいいよ(笑)
 頑張って(笑)
 あ、ついでに言うと保健室のコップとか念のため全部どっかやったから(笑)

乃木センセーより♪”

……………

…………………

………………………ぐしゃ

なんだコレ……

どうしろと!?彼奴は俺にどうしろって言うんだ!?
口移ししろってか!?普通に飲ませるんじゃダメなのか!?
あいつ俺が庵のこと恋愛感情で好きってこと知ってやがったな……
余計なお世話だあの野郎。
つーか(笑)がうぜぇ!!!念のためってなんだ!!!

庵は未だに飲めないペットボトルを悲しそうに眺めている。
狼牙は諦めて、乃木の策にのってやることにした。

「はぁ……庵、ソレ貸せ」
「あ……」
「っ、あー!もう!やるからそんな顔すんな!!」
「ほんと……!?」

庵は狼牙がペットボトルを庵の手からとった時は名残り惜しそうにペットボトルを見ていたが、狼牙がやる、と言った途端に花が咲いたようにパアッと笑顔になった。

それを見た狼牙は内心で悶えていたが平常心平常心……と自分に暗示をかけた。

そんな狼牙を庵が不思議そうな顔をしてじぃーーーっと見ていた。
庵に穴が開くほど見つめられた狼牙は、覚悟を決めた。

「……怒んなよ」
「?怒らないよ……?」
「っ、どうなっても知らねぇからな」
「……?」

そう告げた後、水を口に含んだ狼牙は、片方の手を支えとしてベッドの上に置き、もう片方の手で庵の顎を持ち上げる。
顎を持ち上げられて狼牙の顔が至近距離にあってなお、不思議そうな顔をする庵に狼牙は少しイラッとした。

そして狼牙は少々イラついたまま、荒々しく庵に口付けた。
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