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26 クピト
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粒子が光に導かれるように躍りながら、一点に集まっていく。
キラキラ キラキラ
ラオンは光のコエを待った。
何もない白い砂漠の上に、光の束とラオン。ただ、それだけ。他には、何も存在しない。
ラオンは、何も恐くはなかった。
クピトを手に入れて、ジュピターへ帰るんだ。
光が、柔らかく揺らいだ。
―汝の、名は
光のコエがした。
「ラオン」
―ラオン……汝に愛の結晶、宝石クピトを授けよう
「本当!」
光の主は、ラオンが導き出した答えを受け入れた。一問一答の知恵試しに、勝ったのだ。
けれど、ホワイティアが語っていた話とは少し違う。宝石の番人であるという幻獣は、最後まで姿を現さなかった。
現れ、ラオンに問いかけてきたのは、光の主。
「ひとつだけ教えて下さい」
光の輪が、ゆらゆらと揺れる。コエはない。
「ある人は、ここに宝石の番人が棲むと云っていました。番人は獣の姿をしていると。あなたは、その番人なのですか?」
ラオンの声が、粒子と交ざり合う。
―そうだ。私にはカタチなどない。私は、宝石クピトの心
光がくるくると回りながら、輪を描いてゆく。
―私は、視る者が想い描いた姿となって象られる。お前は、私が光の集まりに見えると云った。お前は最初から、私の真の姿を視ていたのだ
「あなたの、真の姿を……」
クピトの心である光の集まり。それが、コエの主の正体だった。
―ラオン、お前は真を見極める眼をしている。私も、お前の真のカタチを視せてもらった
「僕の、真のカタチ…………?」
光は、もう何も答えなかった。
ただ、輪を描きながら光がその中心に集まり、収縮していく。中心の光が、瞬きながら更に白い一点の光となる。
やがてそこには、一粒の光の塊が生まれた。美しい光を宿し、何処までも澄んだ純粋な結晶。
これが、愛を司る宝石クピト。
たった今産み落とされたように、空気の裂け目から白い砂の上に落ちて転がった。
宝石クピトに眼を奪われていたラオンは、はっとして視線を上げた。
空間の裂け目も、光も、もうそこにはなかった。ただ果てない白い砂漠と、深い空が続いているだけ。
風に砂埃が舞い上がる。
「ラオン」
声がして、ラオンは振り向いた。惚けたように立ち尽くす少年。いつの間にか、ソモルも宇宙船もそこに戻っていた。
「ラオン、それ」
ソモルが、砂の上に転がる宝石を指差し呟いた。ラオンはすっとしゃがむと、砂に落ちたクピトを手のひらに掬い上げた。雲間から射す恒星の光を反射しながら、クピトはラオンの手の中にキラリ収まる。
「愛を司る宝石クピトだよ。僕が手に入れたんだ」
ラオンは振り返ると、大きな翡翠の瞳を真っ直ぐに向けてソモルに云った。ラオンの微笑みを、恒星の光が眩しく照らしていた。
キラキラ キラキラ
ラオンは光のコエを待った。
何もない白い砂漠の上に、光の束とラオン。ただ、それだけ。他には、何も存在しない。
ラオンは、何も恐くはなかった。
クピトを手に入れて、ジュピターへ帰るんだ。
光が、柔らかく揺らいだ。
―汝の、名は
光のコエがした。
「ラオン」
―ラオン……汝に愛の結晶、宝石クピトを授けよう
「本当!」
光の主は、ラオンが導き出した答えを受け入れた。一問一答の知恵試しに、勝ったのだ。
けれど、ホワイティアが語っていた話とは少し違う。宝石の番人であるという幻獣は、最後まで姿を現さなかった。
現れ、ラオンに問いかけてきたのは、光の主。
「ひとつだけ教えて下さい」
光の輪が、ゆらゆらと揺れる。コエはない。
「ある人は、ここに宝石の番人が棲むと云っていました。番人は獣の姿をしていると。あなたは、その番人なのですか?」
ラオンの声が、粒子と交ざり合う。
―そうだ。私にはカタチなどない。私は、宝石クピトの心
光がくるくると回りながら、輪を描いてゆく。
―私は、視る者が想い描いた姿となって象られる。お前は、私が光の集まりに見えると云った。お前は最初から、私の真の姿を視ていたのだ
「あなたの、真の姿を……」
クピトの心である光の集まり。それが、コエの主の正体だった。
―ラオン、お前は真を見極める眼をしている。私も、お前の真のカタチを視せてもらった
「僕の、真のカタチ…………?」
光は、もう何も答えなかった。
ただ、輪を描きながら光がその中心に集まり、収縮していく。中心の光が、瞬きながら更に白い一点の光となる。
やがてそこには、一粒の光の塊が生まれた。美しい光を宿し、何処までも澄んだ純粋な結晶。
これが、愛を司る宝石クピト。
たった今産み落とされたように、空気の裂け目から白い砂の上に落ちて転がった。
宝石クピトに眼を奪われていたラオンは、はっとして視線を上げた。
空間の裂け目も、光も、もうそこにはなかった。ただ果てない白い砂漠と、深い空が続いているだけ。
風に砂埃が舞い上がる。
「ラオン」
声がして、ラオンは振り向いた。惚けたように立ち尽くす少年。いつの間にか、ソモルも宇宙船もそこに戻っていた。
「ラオン、それ」
ソモルが、砂の上に転がる宝石を指差し呟いた。ラオンはすっとしゃがむと、砂に落ちたクピトを手のひらに掬い上げた。雲間から射す恒星の光を反射しながら、クピトはラオンの手の中にキラリ収まる。
「愛を司る宝石クピトだよ。僕が手に入れたんだ」
ラオンは振り返ると、大きな翡翠の瞳を真っ直ぐに向けてソモルに云った。ラオンの微笑みを、恒星の光が眩しく照らしていた。
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