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美羽ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(20)
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美羽や美咲という姉妹が家に来て、数か月、数年経っている。そんな中で、こんな気不味い空気に触れているのは何年振りだろうか。詳しくは覚えていないけれど、かなり久し振りという感覚がある。
だからこその戸惑いもあるのかもしれない。現に美羽も同じのようで、喧嘩をした事の無かった日々。そんな日々の中で、こうも気不味くなったのは一緒に暮らして初めての経験だ。俺も戸惑ってはいるものの、逆に異性を暮らしているのに喧嘩の無かった今までの方が異常だったのかもしれない。
それ相応の年頃の男女が一緒に住んで、一緒に朝から夜まで暮らして生活しているのだ。同棲生活にも似たこの生活の中で、何もないという事自体が恐らく異常だったのかもしれない。
そう考えると、俺にも良い経験だと確信する事が出来る。
「ねぇ兄者」
「どうした?腹でも減ったか?」
「何で美羽が兄者を呼ぶと、そうなるのさ。違うってば」
「じゃあ何だ?」
並んで歩く。と言っても、やや遅く歩いている美羽は、どこかおっかなびっくりという風にも見える。また変に気を遣って居るのだろう。空回りしなければ良いのだが、美羽も俺もこういう空気に慣れていない。
天真爛漫で、誰にでも隔てなく接する事が出来る美羽。そんな美羽にもし弱点があるとすれば、彼女が自分で犯した失敗を最後まで引っ張り続ける事だろう。
スポーツの世界でも失敗などは多く見られるが、現時点での美羽は失敗してもめげないようにしているらしい。俺が直接この目で見た訳では無いのだが、そういう噂が流れてくるのは彼女の魅力にも繋がるのだろうと思う。
「兄者は、美羽と美咲……どっちが姉でどっちが妹だと思う?」
「は?」
聞かれた事が一瞬理解が出来なくて、俺は思わず声を漏らした。だってそうだろ。こいつらはお互いの立ち位置を理解し合っているように見える。だからどっちが姉とかどっちが妹とか、そういう概念が無いものだと思うのが必然だろう。
だがまぁ、明確にどっちが姉で妹かという疑問を投げられると……そうだなぁ。
「――どっちもどっち、かな」
「それ、答えになってなくない?」
「仕方ないだろ。どっちがどっちって、俺は考えた事が無いんだから。美羽は美羽だし、美咲は美咲だろ?それ以上でもそれ以下でも無いんだから、自分がどっちかなんてどうでも良い話だろ」
「……でも、どっちがお姉ちゃんとか聞かれた時にどう答えれば良いの?」
「そんなん決まってるだろ」
「ん?」
何を迷っているのかは知らないが、美羽には美羽の、美咲には美咲の良い所がある。それを姉妹感で語るだけ無駄だと俺が思っている以上、その質問は俺にとって時間の無駄とも言える問い掛けだった。
だがしかし、美羽はそれで納得する性格じゃない。ならば俺は、負けず嫌いという点から攻めて行こうと決めて言うのであった。
「そん時は、自分が美咲よりも上だ!って公言しちまえ。お前らはそういう風に振舞ってた方が、俺的にも周りからも納得されると思うぞ」
「そうかなぁ?」
「一度やってみりゃ良い。まぁ美咲には、あまり言わない方が良いかもな。絶対喧嘩になるから」
「……分かった。やってみる」
「おう。俺にとっての神楽坂姉妹は、ある意味で最強で居れば十分だよ」
「……うん!」
美羽は満面の笑みを浮かべて、そう返事をした。ようやく彼女にも、いつもの笑顔が戻った事を理解出来た。そうなった瞬間、俺の心にあったモヤモヤ感が晴れるのを感じたのであった。
「んじゃ、そろそろ帰るぞ。あまり遅いと美咲に怒られる」
「そだね。じゃあ兄者、家まで競争!」
「あ、おい待てこら」
「勝った方が、アイス一本ね。あれ、ジャンボチョコの奴」
「待て、それは俺が残しておいた奴だ!」
「しーらない♪よーいどん!!」
そう言って神楽坂美羽……俺の妹は元気良く、そして力強く飛び出して行ったのだった。まるでその背中から、美しい羽を広げるように――。
だからこその戸惑いもあるのかもしれない。現に美羽も同じのようで、喧嘩をした事の無かった日々。そんな日々の中で、こうも気不味くなったのは一緒に暮らして初めての経験だ。俺も戸惑ってはいるものの、逆に異性を暮らしているのに喧嘩の無かった今までの方が異常だったのかもしれない。
それ相応の年頃の男女が一緒に住んで、一緒に朝から夜まで暮らして生活しているのだ。同棲生活にも似たこの生活の中で、何もないという事自体が恐らく異常だったのかもしれない。
そう考えると、俺にも良い経験だと確信する事が出来る。
「ねぇ兄者」
「どうした?腹でも減ったか?」
「何で美羽が兄者を呼ぶと、そうなるのさ。違うってば」
「じゃあ何だ?」
並んで歩く。と言っても、やや遅く歩いている美羽は、どこかおっかなびっくりという風にも見える。また変に気を遣って居るのだろう。空回りしなければ良いのだが、美羽も俺もこういう空気に慣れていない。
天真爛漫で、誰にでも隔てなく接する事が出来る美羽。そんな美羽にもし弱点があるとすれば、彼女が自分で犯した失敗を最後まで引っ張り続ける事だろう。
スポーツの世界でも失敗などは多く見られるが、現時点での美羽は失敗してもめげないようにしているらしい。俺が直接この目で見た訳では無いのだが、そういう噂が流れてくるのは彼女の魅力にも繋がるのだろうと思う。
「兄者は、美羽と美咲……どっちが姉でどっちが妹だと思う?」
「は?」
聞かれた事が一瞬理解が出来なくて、俺は思わず声を漏らした。だってそうだろ。こいつらはお互いの立ち位置を理解し合っているように見える。だからどっちが姉とかどっちが妹とか、そういう概念が無いものだと思うのが必然だろう。
だがまぁ、明確にどっちが姉で妹かという疑問を投げられると……そうだなぁ。
「――どっちもどっち、かな」
「それ、答えになってなくない?」
「仕方ないだろ。どっちがどっちって、俺は考えた事が無いんだから。美羽は美羽だし、美咲は美咲だろ?それ以上でもそれ以下でも無いんだから、自分がどっちかなんてどうでも良い話だろ」
「……でも、どっちがお姉ちゃんとか聞かれた時にどう答えれば良いの?」
「そんなん決まってるだろ」
「ん?」
何を迷っているのかは知らないが、美羽には美羽の、美咲には美咲の良い所がある。それを姉妹感で語るだけ無駄だと俺が思っている以上、その質問は俺にとって時間の無駄とも言える問い掛けだった。
だがしかし、美羽はそれで納得する性格じゃない。ならば俺は、負けず嫌いという点から攻めて行こうと決めて言うのであった。
「そん時は、自分が美咲よりも上だ!って公言しちまえ。お前らはそういう風に振舞ってた方が、俺的にも周りからも納得されると思うぞ」
「そうかなぁ?」
「一度やってみりゃ良い。まぁ美咲には、あまり言わない方が良いかもな。絶対喧嘩になるから」
「……分かった。やってみる」
「おう。俺にとっての神楽坂姉妹は、ある意味で最強で居れば十分だよ」
「……うん!」
美羽は満面の笑みを浮かべて、そう返事をした。ようやく彼女にも、いつもの笑顔が戻った事を理解出来た。そうなった瞬間、俺の心にあったモヤモヤ感が晴れるのを感じたのであった。
「んじゃ、そろそろ帰るぞ。あまり遅いと美咲に怒られる」
「そだね。じゃあ兄者、家まで競争!」
「あ、おい待てこら」
「勝った方が、アイス一本ね。あれ、ジャンボチョコの奴」
「待て、それは俺が残しておいた奴だ!」
「しーらない♪よーいどん!!」
そう言って神楽坂美羽……俺の妹は元気良く、そして力強く飛び出して行ったのだった。まるでその背中から、美しい羽を広げるように――。
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