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美羽ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(21)
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「お兄様、ちょっと宜しいでしょうか?」
「んあ?どうした美咲、こんな時間に」
金曜日を終えた午後10時。普段なら眠る準備を終えて、お互いに好きな事をしている時間。だがそんな時間になったと同時に、美咲が俺の部屋を訪ねて来た。何の用かは定かでは無いが、それでも俺は美咲を部屋に迷わず入れた。何故なら、彼女の目が物語っていたからである。
「……それで、どうしたんだ?」
「それはですね、お兄様。美羽の事です」
「美羽?……喧嘩でもしたのか?」
「……じとー」
「あれ、違うのか?」
美咲から、『えー、この兄マジか』みたいな視線を向けられてしまった。何かおかしい事を言っただろうかと思ったが、少し考えてから何かが俺の中で引っ掛かった物があった。やがて、俺はそれを美咲に問い掛ける事にしたのである。
「えっと、間違ってたらごめんなんだけど」
「はい」
「美羽が俺に告った事って、美咲も知ってるって事は?」
「……(コク)」
美咲が何も言わずに首を縦に振った。という事は、美咲の用事というのは告白の件という事だ。つまりは俺が美羽の事をどう思ってるのか、それを詳しく聞きに来たという点が濃厚だろう。そして真面目な美咲の事だ。きちんとした答えを出していない事も知っているだろうから、それを踏まえてどうするのかと今後の事を聞いてくるはずだ。
「あぁ、ええとだな……」
「お兄様、目がかなり泳いでいますわよ。眼球がお忙しい様子で」
「いやいや、美咲、一体何を言ってるんだ。俺は何も焦ってなどいないさ。っはっはっは」
「はぁ……先に言っておきますけれど、これはあくまで私が勝手に聞きに来ているだけです。美羽に秘密裏に告げたりなんて事はしないので安心して下さい。私、嘘を吐くのは嫌いなので」
「あぁ、知ってるよ。知ってるから少し困ってるんだよ」
「?……と言うと?」
美咲が問い掛けてくるのを分かっているはずなのにも関わらず、俺はそんな言い方をしてしまった所為で話さざるを得なくなってしまった。だからこそ、俺は腹を括って洗いざらい思ってる事を話す事にした。
少し前に出会った当初の印象から、最近に思い始めた事を含めて。その全てを話した結果、俺は美咲から溜息混じりに言われてしまうのであった――。
「つまりお兄様は、最近の美羽の態度にオドオドしていて、挙句の果てには好きと言われて勢いでフッてしまった。と、そういう事ですか?そしてお兄様は別に、美羽の事は嫌いじゃなくて、寧ろ好きという感情も持っていると自覚してしまった。そういう事で宜しいですか?」
「うぐ……は、はい」
「はぁ……もう、お兄様ったら……何も悩む必要なんて無いじゃありませんか」
「いや、悩むだろ!兄妹だぞ?血が繋がってないとはいえ、兄妹なんだから世間体もある。それで美羽が傷付いたら、俺は耐えられないぞ?勿論、それで影響を受けるのはお前もだ、美咲。俺はお前たちの事を思って」
「そういう話ではありませんわ、お兄様。では私から、お兄様に女子の一人として意見を差し上げます。それを聞いてから、よーく考えて下さい」
「お、おう」
「それでは……こ、こほん。――好きなら世間なんて気にする必要は無いです。大事なのは、本当に相手を好きかどうか、大事に出来るかどうか、必要なのはそれだけで十分だと思います。世間体を気にするのも良いですが、美羽の気持ちを蔑ろにするのと、私たちの保身……それは恐らく、逃げてるだけですわ。だからお兄様は、いえ……幸一さんは、卑怯者と呼ばれてしまうのですよ。肝心な時に答えを出さないから」
「っ!?」
それが美咲から……妹から告げられた一言であり、俺の心に重い一撃を与えた言葉だった――。
「んあ?どうした美咲、こんな時間に」
金曜日を終えた午後10時。普段なら眠る準備を終えて、お互いに好きな事をしている時間。だがそんな時間になったと同時に、美咲が俺の部屋を訪ねて来た。何の用かは定かでは無いが、それでも俺は美咲を部屋に迷わず入れた。何故なら、彼女の目が物語っていたからである。
「……それで、どうしたんだ?」
「それはですね、お兄様。美羽の事です」
「美羽?……喧嘩でもしたのか?」
「……じとー」
「あれ、違うのか?」
美咲から、『えー、この兄マジか』みたいな視線を向けられてしまった。何かおかしい事を言っただろうかと思ったが、少し考えてから何かが俺の中で引っ掛かった物があった。やがて、俺はそれを美咲に問い掛ける事にしたのである。
「えっと、間違ってたらごめんなんだけど」
「はい」
「美羽が俺に告った事って、美咲も知ってるって事は?」
「……(コク)」
美咲が何も言わずに首を縦に振った。という事は、美咲の用事というのは告白の件という事だ。つまりは俺が美羽の事をどう思ってるのか、それを詳しく聞きに来たという点が濃厚だろう。そして真面目な美咲の事だ。きちんとした答えを出していない事も知っているだろうから、それを踏まえてどうするのかと今後の事を聞いてくるはずだ。
「あぁ、ええとだな……」
「お兄様、目がかなり泳いでいますわよ。眼球がお忙しい様子で」
「いやいや、美咲、一体何を言ってるんだ。俺は何も焦ってなどいないさ。っはっはっは」
「はぁ……先に言っておきますけれど、これはあくまで私が勝手に聞きに来ているだけです。美羽に秘密裏に告げたりなんて事はしないので安心して下さい。私、嘘を吐くのは嫌いなので」
「あぁ、知ってるよ。知ってるから少し困ってるんだよ」
「?……と言うと?」
美咲が問い掛けてくるのを分かっているはずなのにも関わらず、俺はそんな言い方をしてしまった所為で話さざるを得なくなってしまった。だからこそ、俺は腹を括って洗いざらい思ってる事を話す事にした。
少し前に出会った当初の印象から、最近に思い始めた事を含めて。その全てを話した結果、俺は美咲から溜息混じりに言われてしまうのであった――。
「つまりお兄様は、最近の美羽の態度にオドオドしていて、挙句の果てには好きと言われて勢いでフッてしまった。と、そういう事ですか?そしてお兄様は別に、美羽の事は嫌いじゃなくて、寧ろ好きという感情も持っていると自覚してしまった。そういう事で宜しいですか?」
「うぐ……は、はい」
「はぁ……もう、お兄様ったら……何も悩む必要なんて無いじゃありませんか」
「いや、悩むだろ!兄妹だぞ?血が繋がってないとはいえ、兄妹なんだから世間体もある。それで美羽が傷付いたら、俺は耐えられないぞ?勿論、それで影響を受けるのはお前もだ、美咲。俺はお前たちの事を思って」
「そういう話ではありませんわ、お兄様。では私から、お兄様に女子の一人として意見を差し上げます。それを聞いてから、よーく考えて下さい」
「お、おう」
「それでは……こ、こほん。――好きなら世間なんて気にする必要は無いです。大事なのは、本当に相手を好きかどうか、大事に出来るかどうか、必要なのはそれだけで十分だと思います。世間体を気にするのも良いですが、美羽の気持ちを蔑ろにするのと、私たちの保身……それは恐らく、逃げてるだけですわ。だからお兄様は、いえ……幸一さんは、卑怯者と呼ばれてしまうのですよ。肝心な時に答えを出さないから」
「っ!?」
それが美咲から……妹から告げられた一言であり、俺の心に重い一撃を与えた言葉だった――。
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