37 / 68
美羽ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(22)
しおりを挟む
「あぁ~……」
頭がボーっとする。昨日の夜、美咲に言われた言葉が思っていたよりもダメージとなっていた。次の日にまで精神的にダメージが蓄積されているとは、ロールプレイングゲームだったら美咲は盗賊か魔法使いだな。盗賊なら毒を塗った刃物による一刺しで、魔法使いなら毒の効果のある魔法を……という流れがしっくり来ていた。
「昨日と今日で、また随分と落ち込んでいますね。先輩は」
「仕方無いだろ。俺の弱点という弱点を狙った一撃だったんだから、唸りたくもなる」
「っていうか先輩、新聞部の部室は相談所でも休憩所でも無いんですから。用が無いなら出て下さい」
「冷たい事を言うようになったなぁ。根暗キャラからクールキャラに設定変更か?」
「ゲームみたいに変更出来たら、ボクの性格はパリピになってますね」
何でパリピなんだよとツッコミを入れようと思ったが、どうせ『今までの自分と正反対の性格にした方が、人生楽しいからですよ!』とかなんとか言いそうなので止めておこう。そんな無駄話をする為に、わざわざここに来た訳では無い。……と思う。
「そういえば先輩、去年の新聞部の資料って何処にあるか分かります?」
「何で新聞部でも無い俺に聞くんだよ。部長にでも聞けよ」
「その部長よりも先輩に聞きたいから、聞いてるんですよ。後、先輩は仮にも元生徒会長ですし、覚えている事は覚えていると信じてますからね。ボクなりの期待と敬い方ですよ」
「そんな他力本願な敬いと期待を、俺は聞いた事が無いんだが……つか、何の資料だ?」
「体育祭と文化祭ですね。今年に何が行われるかは知らないので、早めにデータを取り入れておこうって思って。けど肝心の資料が何処にあるのか、部員のボクも知らないんですよね」
「廃棄されてるって可能性は無いのか?古過ぎたり、残せない物って破棄してたと思うぞ。生徒会でも大掃除とかで、一年に一回は資料整理があるぐらいだ。大体は図書室とか資料管理室に行くと思うから、そこを探すのも有りじゃないか?」
「おお、先輩ナイスアイディア!さっすが元生徒会長!」
元生徒会長は余計だと心の中でツッコミを入れながら、俺は彼女に出されたお茶を一口飲む。身長の低い彼女が、せっせかと資料整理を行っている所を眺めているが、別に青春って感じがしないのは何でなんだろうか。という議題が脳裏に浮かんだが、それはまた今度考える事にしよう。
「じゃあ先輩、行きましょうか」
「んあ?」
お茶を飲んでいた所で、彼女はそんな事を言い始めた。何の事を言っているのか不明だった為、俺は思わず間抜けな声を出して彼女の言葉に反応した。
「んあ?じゃなくて、先輩も一緒に行くんですよ」
「何処に?」
「図書室と資料管理室」
「何で?」
「先輩が発案したからですよ?そこにあるかもしれないって」
「……だからって、何で俺まで行くんだよ。一人で行けば良いじゃん」
「資料は重たいです。一年分も積まれているのなら、そんな事は明白じゃないですか。なら力持ちの先輩が来なきゃ、ボクが紙で死にます。そうなったら先輩は責任を取れますか?」
紙で潰されて死ぬって、豆腐の角に頭ぶつけて死ねって言われてるのと一緒のニュアンスじゃないだろうか。そう思いつつ、彼女ならダイイングメッセージで俺の名前を書きそうな予感もある。それを踏まえると、ここは嫌々でも手伝うべきか。それとも新聞部の部室から立ち去るべきか。
「じゃあ先輩、行きましょ」
「……」
選択の余地は無かった。選択肢を出しても意味は無く、彼女の中では俺が必ず居る事になっているようだ。頼りにされるのは嬉しいし、応えるのはやぶさかではないのだが……良いように遣われてる節があって軽く癪である。
こうして俺は渋々、小鳥遊幽と共に図書室と資料管理室へと向かった。だがそこで一悶着ある事を……この時の俺は知らないのであった。
頭がボーっとする。昨日の夜、美咲に言われた言葉が思っていたよりもダメージとなっていた。次の日にまで精神的にダメージが蓄積されているとは、ロールプレイングゲームだったら美咲は盗賊か魔法使いだな。盗賊なら毒を塗った刃物による一刺しで、魔法使いなら毒の効果のある魔法を……という流れがしっくり来ていた。
「昨日と今日で、また随分と落ち込んでいますね。先輩は」
「仕方無いだろ。俺の弱点という弱点を狙った一撃だったんだから、唸りたくもなる」
「っていうか先輩、新聞部の部室は相談所でも休憩所でも無いんですから。用が無いなら出て下さい」
「冷たい事を言うようになったなぁ。根暗キャラからクールキャラに設定変更か?」
「ゲームみたいに変更出来たら、ボクの性格はパリピになってますね」
何でパリピなんだよとツッコミを入れようと思ったが、どうせ『今までの自分と正反対の性格にした方が、人生楽しいからですよ!』とかなんとか言いそうなので止めておこう。そんな無駄話をする為に、わざわざここに来た訳では無い。……と思う。
「そういえば先輩、去年の新聞部の資料って何処にあるか分かります?」
「何で新聞部でも無い俺に聞くんだよ。部長にでも聞けよ」
「その部長よりも先輩に聞きたいから、聞いてるんですよ。後、先輩は仮にも元生徒会長ですし、覚えている事は覚えていると信じてますからね。ボクなりの期待と敬い方ですよ」
「そんな他力本願な敬いと期待を、俺は聞いた事が無いんだが……つか、何の資料だ?」
「体育祭と文化祭ですね。今年に何が行われるかは知らないので、早めにデータを取り入れておこうって思って。けど肝心の資料が何処にあるのか、部員のボクも知らないんですよね」
「廃棄されてるって可能性は無いのか?古過ぎたり、残せない物って破棄してたと思うぞ。生徒会でも大掃除とかで、一年に一回は資料整理があるぐらいだ。大体は図書室とか資料管理室に行くと思うから、そこを探すのも有りじゃないか?」
「おお、先輩ナイスアイディア!さっすが元生徒会長!」
元生徒会長は余計だと心の中でツッコミを入れながら、俺は彼女に出されたお茶を一口飲む。身長の低い彼女が、せっせかと資料整理を行っている所を眺めているが、別に青春って感じがしないのは何でなんだろうか。という議題が脳裏に浮かんだが、それはまた今度考える事にしよう。
「じゃあ先輩、行きましょうか」
「んあ?」
お茶を飲んでいた所で、彼女はそんな事を言い始めた。何の事を言っているのか不明だった為、俺は思わず間抜けな声を出して彼女の言葉に反応した。
「んあ?じゃなくて、先輩も一緒に行くんですよ」
「何処に?」
「図書室と資料管理室」
「何で?」
「先輩が発案したからですよ?そこにあるかもしれないって」
「……だからって、何で俺まで行くんだよ。一人で行けば良いじゃん」
「資料は重たいです。一年分も積まれているのなら、そんな事は明白じゃないですか。なら力持ちの先輩が来なきゃ、ボクが紙で死にます。そうなったら先輩は責任を取れますか?」
紙で潰されて死ぬって、豆腐の角に頭ぶつけて死ねって言われてるのと一緒のニュアンスじゃないだろうか。そう思いつつ、彼女ならダイイングメッセージで俺の名前を書きそうな予感もある。それを踏まえると、ここは嫌々でも手伝うべきか。それとも新聞部の部室から立ち去るべきか。
「じゃあ先輩、行きましょ」
「……」
選択の余地は無かった。選択肢を出しても意味は無く、彼女の中では俺が必ず居る事になっているようだ。頼りにされるのは嬉しいし、応えるのはやぶさかではないのだが……良いように遣われてる節があって軽く癪である。
こうして俺は渋々、小鳥遊幽と共に図書室と資料管理室へと向かった。だがそこで一悶着ある事を……この時の俺は知らないのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
その溺愛も仕事のうちでしょ?〜拾ったワケありお兄さんをヒモとして飼うことにしました〜
濘-NEI-
恋愛
梅原奏多、30歳。
男みたいな名前と見た目と声。何もかもがコンプレックスの平凡女子。のはず。
2ヶ月前に2年半付き合った彼氏と別れて、恋愛はちょっとクールダウンしたいところ。
なのに、土砂降りの帰り道でゴミ捨て場に捨てられたお兄さんを発見してしまって、家に連れて帰ると決めてしまったから、この後一体どうしましょう!?
※この作品はエブリスタさんにも掲載しております。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる