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美咲ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美咲√(26)
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子供が多く訪れる事もあり、デパート屋上にある観覧車は非常に小さい。その為、真正面に座る形で座る必要がある。その所為なのか、先程まではしゃいでいた美咲は、じっと姿勢を正したまま硬直してしまっていた。意外に防音されているらしく、揺らしても微かにしか揺れない所を見ると強度も高いようだ。
「なぁ美咲」
「は、はい!何でしょうお兄様」
「……」
家よりも狭い場所で、密室で向き合うという経験は俺たちの間には無かった事だ。気恥ずかしさを感じるのも分かるが、いつも腕にくっ付いたり手を引っ張ったりしているはずの美咲が動揺している。さっきまでの勢いが嘘のように見えてしまう。
「お前、緊張してんの?」
「な、何を言ってるんですかお兄様。私がき、緊張している訳が無いですよ?私を誰だと思ってるんですか、神楽坂美咲ですよ?美咲なのですよ?!」
「何で名前を2回言ったんだよ。観覧車、嫌だったか?」
「い、いえ……そんな事は決して無くて、あの……えっと」
もじもじと何かを言いたそうにしている美咲は、チラチラと俺の視線を気にしながら何かを言おうとしている。ここは密室で、俺と美咲の二人きり。そんな状態で赤くなれば、俺じゃなくても誰だって分かるだろう。
美咲がせっかく頑張ろうとしているのだから、俺も男を見せるべきなのだろう。
「――美咲」
「は、はい」
「俺に話すがあるのかもしれないが、俺もお前に話があるんだ。聞いてくれるか?」
俺は出来るだけ美咲が安心するように笑顔を浮かべた。上手く笑えているかは知らないが、美咲は少し照れた様子で「どうぞ」と言ってくれたので話す事にした。
「まずは、そうだな。……正直に言うとだな、俺は最初はお前らの事が苦手だった」
「っ……?」
「勘違いする前に言うと、今はそうでもない。単純に出会った瞬間が特殊過ぎた事もあるし、あの頃の俺は留年してから数日しか経っていない時で、全部が面倒になっていた時期だったんだよ」
「……」
「けど、今日まで一緒に過ごして来て天才なんて呼ばれるお前らにも、苦手な事があったんだなって思ったら嬉しくなっちまってさ。俺もお前らも一緒で、同じ土俵に居るし、最初は上手くいかないのが当然だっていう初心を思い出せた」
「……」
「誰にでも苦手な事があって、誰にでも得意な事がある。それは当たり前だし、そんな事は分かってるつもりだったんだけどな。けど……どうも俺には、分かり切ってるのに空回りする癖があるらしくてな。思っている事が上手く行かなかったり、自分よりも誰かと比較されるのが無意識に恐がっちまうらしいんだ」
「(だからですか。……最初の頃、私たちと距離が開いていたのは)」
「でもさ……お前らが賞を取ってインタビューを受けたあの日、お前らが『好きな人や好きな男性のタイプはどんな人ですか?』っていう質問を受けた時に迷わず答えたのが俺だって聞いた時は驚いた。馬鹿だろって思いながら、周りから罵倒とか飛んで来たも、俺には堪らなく嬉しかったんだよ」
卑怯者と呼ばれていた俺にも、俺の事を尊敬しているとか好きだって言ってくれる奴が居たんだなと安心した。安心したし、嬉しかった。これ以上無いくらいに気持ちが昂ぶって、思い切り殴られたみたいな感覚が俺の心を砕き割ったのだ。
俺はそれ程、あの日の言葉を聞いた時から彼女たちに惹かれていったのだと今なら思う。それでも俺の心を揺るがすのは、隣に居て安心してしまうのは目の前に居る彼女だ。好意を向けてくれている美羽には申し訳ないが、どうやら俺の心は既に決まっていたらしい。
「美咲……お前が好きだ。俺の彼女になってくれるか?」
「っ……!」
「――!?」
そう言った瞬間、美咲が席を立って俺に飛び付いてきた。勢いがあったが、頑丈なゴンドラのおかげで揺れる事も無かった。危険な行為だと思いながらも、俺は抱き着いて来る彼女に視線を戻した。
「――遅いですよ。どれだけその言葉を……待ち望んだと思うんですか」
「悪い。……不安にさせちまってたか?」
「当たり前ですっ。私はお兄様が好きなんです!大好きなんですっ。それなのにお兄様はいっつも誤魔化すし、新聞部や生徒会に逃げるから不安だったんですよ!?」
「あれ?何で俺怒られてるの?」
「私、怒ってます。非常に機嫌が悪いです」
ムスッとした態度のまま、俺の隣に座る美咲。やがて微かに潤んだ瞳を揺らして言った。
「――言葉ではなく、誠意を見せてくれたら許します。私のして欲しい事、当ててくださいね?お兄様」
そう言って美咲はすぐに目を閉じて、待機し始めた。言葉ではなく誠意で、その意味は俺でも分かる事だ。俺は静かに美咲の頬に触れ、自分の顔を近付けるのであった。触れる程度の物だったが、それでも目を開けた時に嬉しそうな表情を浮かべる美咲が視界に入った。
「これで良いか?」
「ええ、許します。私、かなり面倒な女なので覚悟して下さいね?お兄様」
「……あぁ、分かってるよ」
そう言って笑みを浮かべる美咲はとても綺麗で、後ろに見える夕陽がそれを際立たせていた。その一瞬の出来事が俺の脳裏に焼き付き、二度と忘れる事は無いだろうと心の中で思うのであった。
こうして俺と美咲は恋人となり、これからの事を考えながら観覧車を降りる。家に帰るまでも会話が途切れる事はなく、互いに笑みを浮かべたまま共に歩くのである。明日も明後日も、ずっと一緒だ……――。
「なぁ美咲」
「は、はい!何でしょうお兄様」
「……」
家よりも狭い場所で、密室で向き合うという経験は俺たちの間には無かった事だ。気恥ずかしさを感じるのも分かるが、いつも腕にくっ付いたり手を引っ張ったりしているはずの美咲が動揺している。さっきまでの勢いが嘘のように見えてしまう。
「お前、緊張してんの?」
「な、何を言ってるんですかお兄様。私がき、緊張している訳が無いですよ?私を誰だと思ってるんですか、神楽坂美咲ですよ?美咲なのですよ?!」
「何で名前を2回言ったんだよ。観覧車、嫌だったか?」
「い、いえ……そんな事は決して無くて、あの……えっと」
もじもじと何かを言いたそうにしている美咲は、チラチラと俺の視線を気にしながら何かを言おうとしている。ここは密室で、俺と美咲の二人きり。そんな状態で赤くなれば、俺じゃなくても誰だって分かるだろう。
美咲がせっかく頑張ろうとしているのだから、俺も男を見せるべきなのだろう。
「――美咲」
「は、はい」
「俺に話すがあるのかもしれないが、俺もお前に話があるんだ。聞いてくれるか?」
俺は出来るだけ美咲が安心するように笑顔を浮かべた。上手く笑えているかは知らないが、美咲は少し照れた様子で「どうぞ」と言ってくれたので話す事にした。
「まずは、そうだな。……正直に言うとだな、俺は最初はお前らの事が苦手だった」
「っ……?」
「勘違いする前に言うと、今はそうでもない。単純に出会った瞬間が特殊過ぎた事もあるし、あの頃の俺は留年してから数日しか経っていない時で、全部が面倒になっていた時期だったんだよ」
「……」
「けど、今日まで一緒に過ごして来て天才なんて呼ばれるお前らにも、苦手な事があったんだなって思ったら嬉しくなっちまってさ。俺もお前らも一緒で、同じ土俵に居るし、最初は上手くいかないのが当然だっていう初心を思い出せた」
「……」
「誰にでも苦手な事があって、誰にでも得意な事がある。それは当たり前だし、そんな事は分かってるつもりだったんだけどな。けど……どうも俺には、分かり切ってるのに空回りする癖があるらしくてな。思っている事が上手く行かなかったり、自分よりも誰かと比較されるのが無意識に恐がっちまうらしいんだ」
「(だからですか。……最初の頃、私たちと距離が開いていたのは)」
「でもさ……お前らが賞を取ってインタビューを受けたあの日、お前らが『好きな人や好きな男性のタイプはどんな人ですか?』っていう質問を受けた時に迷わず答えたのが俺だって聞いた時は驚いた。馬鹿だろって思いながら、周りから罵倒とか飛んで来たも、俺には堪らなく嬉しかったんだよ」
卑怯者と呼ばれていた俺にも、俺の事を尊敬しているとか好きだって言ってくれる奴が居たんだなと安心した。安心したし、嬉しかった。これ以上無いくらいに気持ちが昂ぶって、思い切り殴られたみたいな感覚が俺の心を砕き割ったのだ。
俺はそれ程、あの日の言葉を聞いた時から彼女たちに惹かれていったのだと今なら思う。それでも俺の心を揺るがすのは、隣に居て安心してしまうのは目の前に居る彼女だ。好意を向けてくれている美羽には申し訳ないが、どうやら俺の心は既に決まっていたらしい。
「美咲……お前が好きだ。俺の彼女になってくれるか?」
「っ……!」
「――!?」
そう言った瞬間、美咲が席を立って俺に飛び付いてきた。勢いがあったが、頑丈なゴンドラのおかげで揺れる事も無かった。危険な行為だと思いながらも、俺は抱き着いて来る彼女に視線を戻した。
「――遅いですよ。どれだけその言葉を……待ち望んだと思うんですか」
「悪い。……不安にさせちまってたか?」
「当たり前ですっ。私はお兄様が好きなんです!大好きなんですっ。それなのにお兄様はいっつも誤魔化すし、新聞部や生徒会に逃げるから不安だったんですよ!?」
「あれ?何で俺怒られてるの?」
「私、怒ってます。非常に機嫌が悪いです」
ムスッとした態度のまま、俺の隣に座る美咲。やがて微かに潤んだ瞳を揺らして言った。
「――言葉ではなく、誠意を見せてくれたら許します。私のして欲しい事、当ててくださいね?お兄様」
そう言って美咲はすぐに目を閉じて、待機し始めた。言葉ではなく誠意で、その意味は俺でも分かる事だ。俺は静かに美咲の頬に触れ、自分の顔を近付けるのであった。触れる程度の物だったが、それでも目を開けた時に嬉しそうな表情を浮かべる美咲が視界に入った。
「これで良いか?」
「ええ、許します。私、かなり面倒な女なので覚悟して下さいね?お兄様」
「……あぁ、分かってるよ」
そう言って笑みを浮かべる美咲はとても綺麗で、後ろに見える夕陽がそれを際立たせていた。その一瞬の出来事が俺の脳裏に焼き付き、二度と忘れる事は無いだろうと心の中で思うのであった。
こうして俺と美咲は恋人となり、これからの事を考えながら観覧車を降りる。家に帰るまでも会話が途切れる事はなく、互いに笑みを浮かべたまま共に歩くのである。明日も明後日も、ずっと一緒だ……――。
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