【運命】に捨てられ捨てたΩ

あまやどり

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第四章 最愛の番

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診療時間外になって、看護師たちは帰宅し、院長と副院長は結婚記念だからと言って早々に帰った。病院の施錠用の鍵を医者はひとり一個持っているので定時を少し過ぎても残っている事がある。
南は特に気に掛かる病名を診断した患者のために、同じ病名を持つ過去の患者のカルテを確認したりしていた。
数時間が経った頃そろそろ帰ろうとした南は、拓海がまだ残っているのに気づいた。
 そうだ、明日は定休日だ。
南は拓海に近づき「遅くまでお疲れ様」と声を掛けた。
「お疲れ様です。南先輩も残ってたんですね」
「拓海、明日休みだろう。今日の帰り呑みにいかないか?」
拓海は驚いた顔をして、一瞬迷った素振りを見せたが、「久しぶりに良いですね」と答えた。
 拓海がウチで働いてから一度も呑みとかに行ってないからな。そもそも二人になる機会を俺は避けてたし、きっと拓海も気にしてただろう。それより、池上との間になんかあったのか、最近元気ないな。
数日前から心此処に非ずといった様子の拓海を南は何事かと心配に思い、拓海を呑みに誘った。
 まさか、また一緒に呑める日が来るとはな。
南は拓海が帰りの支度を終えるまでにお店を探した。
半個室のカジュアルダイニングなお店で室内の明かりはステンドガラスを透かして色とりどりの明かりで華やかに店内を照らしている。料理はイタリアンで家庭料理や大衆食堂などの料理と本場から取り寄せたワインなどが人気のお店だった。
南と拓海は注文をそこそこに、一杯目のお酒がくると乾杯をする。南は二杯目からはワインの飲み比べを頼み、拓海はレモンサワーやハイボールなど同じものを頼む。大学での思い出話をしているうちに、拓海が酔っ払ってきたなと南は気づいた。
「拓海、最近元気ないようだけど、なんかあったのか?」
南はこの質問で拓海が不機嫌にならなければ良いなと聞いた後に思った。
南の心配をよそに拓海は頬を赤くしながら答える。
「南先輩はいろんな人と付き合ってた事があるじゃないですか」
「え」南は急に自分の過去を掘り起こされドキリとした。
「浮気とかってどうやって問い詰めたんですか?」
 は?
一気に酔いが醒めた南は拓海に詰め寄る。
「……秀也が浮気したのか?」
拓海は「分かりません」と言った。
 あいつ疑われるような行動をしたのか? とりあえず、本人から話を聞かない限り怒りが収まりきらねえ。
「秀也に話しがある、電話かけろ」
「無理ですよ、アメリカにいて忙しいだろうからきっと出ないですよ」
「アメリカ!? お前を置いて?」
南は急に秀也が日本に居ないことを知らされ、話に追いつけなかった。
「……一年で戻ってくるんだって」
 はあ、ちゃんと帰ってくるのか。それで、拓海は元気が無かったのか?
「もう一生、声を聞くことも出来なくなるのかな」
そう言いながら一人で悩んで、誰かにそれを打ち明けられた事で気が抜けたのか、呑みに呑んだ拓海は机に突っ伏し小さく寝息を立てた。
「こいつらどんなすれ違いをしてるんだよ」
南は拓海を起こすことなく、タクシーを呼び会計を済ませ、お店を出てすぐの通りに到着したタクシーに乗り、自宅に向かった。
 拓海、俺はまだお前の事を諦めたわけじゃないからな。
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