ド“クズ”大公はハリボテ王太子に篭絡される

あまやどり

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清酌庶羞

9 ※

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カシャン……ジャラ、……ジャラ
 鎖はやかましく頭上で音を鳴らす。鎖の音を追うようにか、キスの音を追うようにか、どちらが先で、または後なのか分からなくなるほどジューリの愛が降り注ぐ。

「……ちゅっ、……ちゅっ、ふぅ……んん!」

 ジューリの温い舌がアルの口内に侵入し、歯列を、舌を、唾液を絡めて蹂躙する。アルの口内で溜めておけなかった唾液は口の端から溢れた。ジューリはアルの顎を上げ呑み込ませるように口を封じ、手を喉仏へ伸ばす。それが上下に動くのを手で確かめて、満足気な顔を浮かべて唇から離れる。
 けほっけほっと、アルが咳き込む様子をなんとも感じてなさそうな顔で見つめる。アルの目には、このぐらいではへたらないだろうと考えているような顔に見える。

「……ハァ。無礼なキスだな」
「おや? お気に召さなかったか?」
「息苦しくて興が削がれる」
「そうか?」

 ジューリはアルの衣服の上から中心を撫でる。高まり硬くなった欲が存在を主張している。アルはジューリから顔をそらす。すぐに顔を親指と人差し指で挟まれ、ジューリの顔の方へと向かされる。

「目をらすな。これから、お前の身体を抱くのは私だと、しっかりと目に焼き付けろ」

アルは彼の碧い双眸を見つめる。

――ああ、我が領の海辺を映した瞳。なぜ、こうもこの人に惹かれるのだろうか。

 トスと音を立ててジューリの肩に額を置く。額に力を込め、顎を引いて彼の身体を近づける。彼はされるがままにアルに寄った。
 すると、アルは勢いよく首を伸ばしジューリの首筋に噛みついた。ジューリはビクリと身体を反応させ、アルの頭を掴んで首から離そうとしたが、押し当てられた歯でアルが何をしようとしているのか分からず万が一の事を考え無理に剥がすことはしなかった。
 アルは緩やかに歯を首から離し、唾液が二人を繋いだまま、眉間に皺を寄せるジューリに言った。

「ふん、今回はお前の好きにさせてやるが、やられるだけは性に合わないのでな。これは、随分と良い眺めだぞ」

 アルは赤い歯型がついたジューリの肩を愉悦を感じ、口角を吊り上げ得意げな笑みを浮かべた。

「アル、これは……いや、今はあなたのその考えを変えないようにしよう」

 ジューリの顔は赤らみ、まるで欲しい物が手に入ったと喜ぶ子供のように屈託のない笑みを浮かべる。それならばと、直ぐに彼はアルのズボンを剥ぎ取るように脱がし、アルの中心に手を伸ばした。ズボンの裾がアルの日焼けのない白い太ももを露わにし、両腿の間をアルの鈴口から溢れた淫水が、てらてらと濡らす。
 ジューリはアルの淫水を指に絡ませ、中心からそのまま後ろへと移動する。割れた二つの肉房を開き、渇いた窄みの周りをその淫水で潤す。すると中の熱く、肌よりは湿った肉壁の中へと長い指の一節一節を押し進めていく。

「ん、……んん、つめっ、た」
「すぐに慣れる」
「ふっ、……ん……」
「私の指がアルの中に沈んでいくようだ」

 アルの濡れた後孔はジュ―リの指を咥えると、奥に奥にと肉が吸い付く。しかし、慣れない行為に対して気が急ぐだけで、一向に二本目を受け入れられる様子がない。

「んん、ふぅ……ふっ、ふっ、」
「なに? ふむ、その頼みなら受け入れよう。アル、女神の祝福だ」
「は?……カハッ!!」

 ジューリの声と同時にアルは身体にひりひりと静電気のような痺れが回り、眼の奥でちかちかと白熱灯が点滅するように光る。その痺れは次第に、肉壁で感じる指の動きの違和感を甘い快楽に変え、それによって生じた目眩は性の喜びを蜜のようにとろりと脳に流し快感を得る。

「こ、れ……いや、だ」
「私には止められぬ。女神の力をその身体で受け入れるんだ」
「あ、……ん、気持ち、わるい」

次第に、それらは射精感を中心にもたらした。

――吐きそうで気持ち悪いのに、なぜだ!

「アル、息を吸うんだ」
「は、ハッ、ハァ」
「これは、恐ろしいな」

 ジューリは目の前の光景に欲がそそり立ち、餌を前にして待てを強制される犬のように目を輝かせる。
 彼の前でアルは蕩けるような快楽に浸り、キスを求めて一生懸命に赤い顔を上に向けている。さらに、濡れた中心をジューリの身体に擦り付けるようにして、腰を前後に揺らしている。
 ジューリはアルの中心を愛おしそうに見ると、名残惜しそうに身体を離す。

「アル、どうして欲しい」
「触っ、てくれ、あつ、い」
「ジューリと呼んだら触ってやる」
「…、あ、もう、無理だ、イキ、たいんだ」

 ジューリはアルの血色が良くなった顔についた、紅茅ベニチガヤの葉先のように赤い傷口を舐める。追い打ちをかけるようなその行為から生じた痺れがまたアルの脳を侵し、達する寸前の鈴口からとぷとぷと淫水が溢れ、神秘的で荘厳な神殿の土を濡らす。

「ほら、気持ちよくなりたいのだろう?」
「あ、……じゅ、ジューリ」
「よく言った」

 ジューリは目を細めて静かに微笑んだ。そんな彼に頭を撫でられて心が満たされるように気持ち良くなる。しかし、待ち望んでいた欲を放つ快感は一向に訪れない。アルはジューリに期待を込めた双眸を向けた。ジューリは空いた手をアルの中心の前に翳し、ニコニコと笑っているだけだ。

「ジューリ?」
「ほら、ここに手があるぞ。自由に使え」
「な、にを言って、るん、だ?」

 ジューリは何も答えない。
 もう今すぐ快感に堕ちたいアルは震える身体を膝になけなしの力を込めて立て直し、翳されたジューリの手に自分の中心を擦りつけるように触れさせた。彼の手は輪っかをつくり、その穴に腰を振って嵌めると雁をひっかけるように擦り続ける。

「んんん‼ ――ああぁ‼」

ジャラジャラ、ジャララ……、カシャン!!

 アルはジューリの手の中に欲を放った。
 手枷で前のめりになるだけだが、膝に力の入らないアルの身体をジュ―リは肩を掴んで支え、アルの顔を片手で持ち上げると頬にキスをした。

 だらんと無気力に伸びたアルの両腕の手首には赤い錆びた色が濃く染みついていた。


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