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第二十二章
『諌暁』
しおりを挟む元日の倒壊のまま立冬や
るると描く涙のしずく冬の窓
梟やほぅほぅ賢しらに底の闇
また同じ朝と一日冬の蜂
再稼働にグッズ検め冬の星
青頸や浮遊すゴミにからまれり
姿見の池に赤らむ冬紅葉
劒岳も望める街も冬夕焼
亡き妻の線香を消し凩や
ファシズムと冬めく翳の濃くなりぬ
鴨鍋をつつく立花高笑い
谷川やおまんこ叫び神の旅
野良猫の寝床へ懐炉そっと入れ
空風や煙る白砂に眼を細む
底冷えの京を味わうだいこだき
雑炊や指くわえたる痛風持ち
寒風に居場所争う野良猫ら
冬耕や汗を拭へり荒れし掌で
狼やヤクザ映画で泣かされる
ひよどりの日がな鳴きたる花八手
倹約と褞袍繕うお婆はん
頑なにヘイトを止めず木の葉髪
ジャケツには異なる名前の刺繍あり
足競う炬燵のベストポジションを
お手玉の蜜柑を食みて小言聞く
虎落笛お隣からはよがり声
クソリプとバトルを始め湯ざめする
枝打の北山けさは白くなり
冬鷗とおに忘れた戀に泣く
息白し父の腕のガザの子の
しらんけど千枚漬とぶぶ漬けす
隣国の戒厳令と冬銀河
最期まで闘志を消さぬ枯れ螳螂
もう遊ぶ子らなど見えぬ冬田道
はみごされ一人遊びに木守柿
北風の陰謀論の大統領
ハゲ頭ぴかぴか磨き神迎
北窓でのぞきこまんで!野良はんよ
あつあつのグラタンの待つ家路急く
できたてのグラタンに手を出す仔猫
大雪やシャベル傍ら伸ばす腰
鼻唄の焚火はできぬ落葉掃く
ポインセチア誰を恨んで雨に濡る
ぎとぎとのネオンの街の聖歌聴く
その風邪を移していいと抱きしめる
新たなる開戦忌まであと数歩
こころなど捨てし浮世の漱石忌
長命の凍星ごとき孤独かな
冬木立どの寂しさも然るべく
鷦鷯そんなに人を信じるな
闇バイト美味く見えるか疿子の実
小さき子のマスクに描いた笑う顔
すべてうそ愛もうそなの冬の園
掛け取りに姿くらます十二月
繰り言に飽きて呷りし燗冷まし
金婚も夕餉のあとの隙間風
事始め花見小路ははんなりと
底冷えの京の湯豆腐ぼったくり
洟水を垂らさぬようにきりたんぽ
だんだんと小さくなりぬる歳暮箱
スケジュールどおり進まず暮早し
ふくらはぎぷりぷりさせて鮃釣る
寒鰤に上腕二頭筋ぷりり
寒波の夜きんきん冷えし社会鍋
呑みすぎてゲロにまみれて冬うらら
冬至には華僑の友と餃子会
聖歌ゆく街に凍死のホームレス
高騰に深夜バイトの冬休み
襟巻の貉と似たる老婦人
年用意する余裕なき母子家庭
うるさいとクレーム入る除夜の鐘
鐘までに筋トレ終えて大晦日
大掃除でけしまへんな自民党
寒紅や小指のなぞる睦言に
夜の深み立ちんぼ直す寒紅や
雪とゆう女の記憶の寒紅や
うっすらと雪見障子に寒紅や
グラタンや博多の鰥夫ぐらぐらす
上りなどできぬ庶民の双六や
777で使いの七草買いそびれ
ぽっぺんや昔集めた切手売り
伏見では福良雀の丸かじり
やや褪せた実家終いの破魔矢かな
独楽まわす子ら見当たらぬ路地寒し
福娘はばかりはんに戸惑うて
曲げる腰叩き伊勢海老さばきをり
宝恵籠花街の誉れ競い合い
ユニクロのいつもながらも初鏡
成人の日に追いこみをかけられて
還暦をすぎ再婚か熨斗鮑
ほの蒼き寒満月に独白す
餅花を見つめる猫の眼まるくなり
小豆粥啜り二度寝の宿酔い
かたなしな専業主夫の女正月
大寒や諌暁のあと罪か死か
なめたらいかんぜよと向く寒椿
永陽や野良には野良の哲学か
大寒や温泉宿に灯る窓
大寒やオカンがすかんスカタンす
『深夜食堂』さがす夜の雪女郎
雪だるま督促状を丸め捨て
トランプでババ引きまくり龍の玉
寒潮の大渦ミルク入るカフェと
探梅の月ヶ瀬の渓ゆく雲龍
寒燈やマジックアワー少し延ぶ
むつみ月つめたい指をからめあう
冬薔薇やや褪せつつも風に立つ
霜焼の指にしおしおポテトしむ
薄氷やダブルワークのシンママは
節分や鬼には鬼の論と義と
立春も吹雪のごとし古都眠る
春寒やパナソニックは解散し
春寒や接着剤のような猫
気の早い春セーターを重ね着る
年金でデパ地下は過ぎ春寒し
梅園にバードウォッチの聾夫婦
마늘効く干鱈スープ할매맛의
春泥や赤いきつねのエクスタシー
子と仔猫こそり薄氷つつきたり
薄氷や鴨と鷺とが向かい立つ
雛流し拾いに行くと駄々をこね
堰の底おもい果たせぬ雛流し
手に止まる囀話相手にし
春北斗去りゆく朝の静かなり
雛の間の丑三つ時の話声
かたくなに解けぬ戦地の春の川
春泥にまだ残りたる輪島塗
春雨や濡れて参らぬ更年期
凍返る熟年離婚に判を押し
春疾風すずめの餌を吹き散らす
啓蟄や野鳥の視線しりもせず
鳥渡るこだわりもせず超然と
春キャベツ畑にさかる猫の声
卒業す十五の母の晴れた貌
虎杖やニキビ面して反抗期
虎杖や結石からり血尿に
黄水仙これみよがしに役者やのう
春怨や勝手にしよししらんけど
花齊まだ血の流る傷があり
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