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水族館
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夏休みになり、水族館へ行く事になった。
駅のホームで待っていると、ちょんちょんと背中をつつかれた。後ろを見ると白と青のワンピースを着た一ノ瀬さんが居た。
「お待たせ」
恥ずかしそうな表情をする彼女。
「全然待ってないよ、行こっか」
僕は目を逸らした。いつもと違う姿にドキッとしてしまった。
電車は混んでいて隣の人と密着してしまいそうなくらいだった。僕は彼女を庇う姿勢で立っていた。上目遣いで見て来る彼女からフワッとしたいい匂いが鼻をかすめる。意識して顔が熱くなる。ちょいちょいと引っ張られ下を向くと
「ねぇ顔赤いけど大丈夫?気分悪くなっちゃった?」
と、心配そうな顔をした彼女がいた。素直に言う訳にはいかないので
「あぁ…大丈夫だよ」
答えようとした時、ガタンと大きく電車が揺れ、さらに密着してしまった。
「一ノ瀬さんごめん、大丈夫?」
彼女を見ると耳を赤くして僕の洋服の胸元を両手でキュッと握り、
「大丈夫、ちょっとびっくりしちゃっただけ」
そう言って下を向いてしまった。
水族館に着いて彼女は安心したようなそんな顔をしていた。
「綺麗だよね」
そう呟いた僕に
「うん、とても綺麗」
そう返してくれた。
ゆっくりと見ている中で彼女がいきなり足を止めた。
「どうしたの?」
と尋ね彼女の視線の先を見るとクラゲがいた。
「一ノ瀬さんクラゲ好きなの?」
彼女は静かに頷き、
「私ね生まれ変わるならクラゲになりたいんだ…」
そう呟いた。
「そっかぁ綺麗だもんねクラゲ」
彼女は黙って見つめ続けていた。
一通り見終わってお土産を売っている所へ行った。僕はクラゲのキーホルダーを見つけたのでこっそりと買った。
帰りの電車は空いていてすぐに帰ることが出来た。
駅に着いて僕は彼女を家まで送ることにした。
「そこまでしてくれなくてもいいのに」
申し訳なさそうな顔をする彼女。
「暗くなりだしたし心配だから気にしないで」
一緒に歩き彼女の家に着いた。
「今日はありがとう、行けて良かったし凄く楽しかった」
彼女は笑った。
「こちらこそありがとう、一ノ瀬さん、これ」
と、小さい紙袋を差し出すと彼女は両手で受け取った。紙袋を開けると彼女はハッとした顔をした。
「一ノ瀬さんクラゲ好きなんでしょ?いいかなって思って…」
と照れ隠しをする僕に、
「ありがとう」
と、嬉しそうに目をうるっとさせながらニコッと微笑んだ。
駅のホームで待っていると、ちょんちょんと背中をつつかれた。後ろを見ると白と青のワンピースを着た一ノ瀬さんが居た。
「お待たせ」
恥ずかしそうな表情をする彼女。
「全然待ってないよ、行こっか」
僕は目を逸らした。いつもと違う姿にドキッとしてしまった。
電車は混んでいて隣の人と密着してしまいそうなくらいだった。僕は彼女を庇う姿勢で立っていた。上目遣いで見て来る彼女からフワッとしたいい匂いが鼻をかすめる。意識して顔が熱くなる。ちょいちょいと引っ張られ下を向くと
「ねぇ顔赤いけど大丈夫?気分悪くなっちゃった?」
と、心配そうな顔をした彼女がいた。素直に言う訳にはいかないので
「あぁ…大丈夫だよ」
答えようとした時、ガタンと大きく電車が揺れ、さらに密着してしまった。
「一ノ瀬さんごめん、大丈夫?」
彼女を見ると耳を赤くして僕の洋服の胸元を両手でキュッと握り、
「大丈夫、ちょっとびっくりしちゃっただけ」
そう言って下を向いてしまった。
水族館に着いて彼女は安心したようなそんな顔をしていた。
「綺麗だよね」
そう呟いた僕に
「うん、とても綺麗」
そう返してくれた。
ゆっくりと見ている中で彼女がいきなり足を止めた。
「どうしたの?」
と尋ね彼女の視線の先を見るとクラゲがいた。
「一ノ瀬さんクラゲ好きなの?」
彼女は静かに頷き、
「私ね生まれ変わるならクラゲになりたいんだ…」
そう呟いた。
「そっかぁ綺麗だもんねクラゲ」
彼女は黙って見つめ続けていた。
一通り見終わってお土産を売っている所へ行った。僕はクラゲのキーホルダーを見つけたのでこっそりと買った。
帰りの電車は空いていてすぐに帰ることが出来た。
駅に着いて僕は彼女を家まで送ることにした。
「そこまでしてくれなくてもいいのに」
申し訳なさそうな顔をする彼女。
「暗くなりだしたし心配だから気にしないで」
一緒に歩き彼女の家に着いた。
「今日はありがとう、行けて良かったし凄く楽しかった」
彼女は笑った。
「こちらこそありがとう、一ノ瀬さん、これ」
と、小さい紙袋を差し出すと彼女は両手で受け取った。紙袋を開けると彼女はハッとした顔をした。
「一ノ瀬さんクラゲ好きなんでしょ?いいかなって思って…」
と照れ隠しをする僕に、
「ありがとう」
と、嬉しそうに目をうるっとさせながらニコッと微笑んだ。
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