19 / 64
第19話、その心が知りたくて
しおりを挟む
「私は元々誰かと話すのが苦手というか……目を合わせられないし。つい緊張しちゃうんですよ」
翌日、向こうでの話は彩音の頼みもあり六本木は話さず、代わりに変に悟られないようにと切り出した彩音の言葉に都庁達が耳を傾けていた。
「人見知りと言われればその通りなんですけど、こう、何と言うか……つい、ドキドキしちゃうんですよね」
「好き、という感情の判断基準が分からなくなっちゃったから誰に対してもそれっぽくなっちゃうって事?」
「惚れっぽいと言えばそうにも見えるが、話を聞くに少し違うっぽいしな」
渋谷兄妹が口々に思いを口にした所で、ふと新宿が彩音に身を乗り出し
「つまり、こうして俺とお話してる時もドキドキして……!?」
「新宿、お前はいつも……話を茶化すな」
と期待する新宿に対して都庁がため息混じりに制止させると、やがて彩音の声に視線を向ける。
「多分……誰と目が合っても合わせられないだろうし誰と手を繋いでも同じ反応になると思う」
その言葉に六本木は魔物に襲われ、御茶ノ水の喫茶店に逃げ込んだ時のことを思い出していた。
「『ロマンスクローバー』人気ですよねえ」
「あぁ、人気だねえ」
次の日、ゆかりはとある本を握りしめながら呟いていた。それは映画化もされた書籍で、中高生を始めとした若者に人気の恋愛小説で
「私もこんな恋をしてみたいですー」
「お前には早いだろ」
「なっ、別にいいじゃないですかっ!」
そんなやりとりを笑って見ていた一同だったが、都庁は同じく見ていた彩音が僅かに表情を曇っていたことに気づく。
「……神月さん?」
ふいに声をかけられ、ぼんやりと見つめていた彩音が都庁に振り向くと
「どうかした? ひょっとして、昨日話していたことを気にしているのか?」
「あ、いえ……」
と彩音は眉を下げながら笑い、やがて俯くと口にする。
「なんだか……昔の事を思い出して」
「昔?」
都庁の聞き返す声に、彩音はしばらく間を置いた後話し始める。
「東京に来る前までは、実はこの国とは離れた所にいたんです。その中の一つに、ある機関の手伝いをしていた事があって」
「……」
「そこも色んな個性の人がいて、こんな風に賑やかだったなあって思っただけです。ここで皆を見ていると、よく思い出して……」
ふいに聞こえてきた言葉に六本木は都庁と話す彩音に耳を傾け、都庁はゆかりと新宿、そして二人の会話を笑いながら眺めている他の土地達の様子を見ながら
「ここは相当騒がしいと思うが……」
「でも負けないくらい、それ以上に毎日騒がしかったんですよ。人数が多かったっていうのは確かにありますけど」
その頃を思い出すように、彩音は説明するように語り
「島の中の、森を抜けた高台にぽつんと拠点を構えていたから近所迷惑とかにはならないんですけど。リビングからゲームで騒ぐ声が聞こえたり、体を鍛えるって外に飛び出す足音が響いたり」
買い出しの手伝いに付き合わされる男性陣の嘆きやところ構わず勝負を仕掛ける声。
けどその組織は定期的に再結成と解散を繰り返しており、解散する事が決まったと同時に自分にとって来年度は高校生という節目が近づき……と説明していた彩音は膝の上にあった手を握り込むと
「ずっと逃げていたから……。解散とか色んなタイミングが重なって、高校生になると同時に私は日本に戻ってきて……この東京に来たんです」
「……」
(日本を離れていた理由。もしかしたらこの間聞いた話のある理由と関係があるのかもしれない)
と話を聞いていた都庁は口には出さず考えていると、近寄ってきた六本木の声に彩音と都庁は視線を向ける。
「神月さんにとってそこは思い出深い場所なんだね」
「……どうだろう。でも、ここも楽しいよ」
その一言に六本木は唖然とし、対する彩音は目を伏せながら
「ここはいつ来ても賑やかだし、最初この場所に来た時は嫌な予感ばっかりで正直来たくなかったけど」
「「……」」
「皆の使命も、悩みを解決する意味も分かってる。でも都市伝説として聞いたり思っていたよりも、なんというか普通の人と変わらなかった」
季節に合わせたイベント、行事、流行り……まるで普通の人と変わらない話をしながら、いざ手紙を受け取った人が来た時は皆真剣に向き合って答えに繋がる道を探していく。
その度に色んな考え方を知って皆と一緒にヒントを探しながら答えを見つけていくのが楽しくて。
と語っていく言葉を聞いていた都庁もまた関心するよう頷きながら
「とても難しい役目でありながら、とてもやりがいのある役目でもあると思っているよ」
「そうですね。色んな人がここに来て、色んな人生経験を聞いてきて……すごく不思議な感じになります。本当に、色んな人が色んな事で悩んでるんだなあって」
そう口にする彩音の傍ら六本木は黙り込む。
(初めてここへ連れてこられた時よりもずっとこの場や皆に対する警戒心は薄れてる。それに昨日や今までの様子から少しずつヒントになりそうなものも掴めてきて)
だけど……と六本木は人知れず難しい表情をし
(だけど……まだ聞き出すには信頼度が足りない。まだ心から悩みを僕達に委ねられるようには見えない。どうすればいいんだろう)
「日本にはこんな不思議なことは有り得ないと思っていたから」
彩音達の間は一度沈黙し、ふと彩音は六本木へ冷淡にもとれる視線を向ける。
向けられた視線に六本木が疑問に思って間もなく小さく息を吐くように彩音は口を開く。
「何故外国にいたのか気にならないんだ」
それに六本木は一度目を丸くしながら
「え、だって両親が海外に赴任する事になった関係とか、海外で生活していた理由は様々だと思うよ?」
「…………」
その返答に彩音は顎に手を当て黙り込み、何分も沈黙した後再び息を吐く。
そして発せられた言葉に六本木と都庁は表情を変えた。
「私がここに呼ばれた理由……本当は心当たりがないわけじゃないんだ」
「「!」」
「それが引っかかった原因である可能性は十分にあるけど……ただ、それが本当に解決したい悩みかどうかと聞かれると分からないんだ」
彩音は考えた末頷くと黙り込んでしまうが、都庁はそんな彩音を見ると
「話してくれないか」
「……昨日の話は覚えてますか」
「あぁ。まさか、それが関係しているのか?」
「いえ……ただ、全くの無関係でもないと思います。ある出来事と事件が重なって私は誰かを好きになる感情を失った。でも、本当は……」
膝の上にあった手が握りこまれ、やがて彼女らの知りたかった事が明かされる。
「……その事件で私は『感情』そのものを殺したんです」
「感情を……殺した?」
沈黙の後、都庁が呟くと彩音は黙り込んでいた。
しかし口を開くと答えるように説明していく。
「その時から私は感情を捨てて、表に出さないようにしたんです。そして……もう二度と人を信用しないと決めました」
それぞれ話をしていたはずの周囲からの視線に気づくが、もう引き返すことは出来ないと覚悟を決め語り続けた。
「恋愛感情を失ったことに気づくより前に、感情そのものを押し殺していたうちに笑うことも怒りも忘れたんです。……まるで……ただの生きるだけの存在になって」
感情があるから傷ついて、弱さを見せるからつけこまれて騙される。
感情を殺し始めてから泣かなくなったしショックに塞ぎ込むこともなくなった。
そしていつの間にか、それが普通になったと語られる言葉を彼女らは静かに聞いていた。
「もう二度と傷つかない為にしたことのはずなのに……自らそれを望んだはずなのに最近それが妙に虚しくなるんです」
「何故……?」
「おそらく、ここで色んな悩みを持って現れては解決していく人達を見たからでしょう」
と彩音の答えに対して都庁は反応すると
「失った後……色んな人達を見てその時から変化の予兆はあったんです。それがここに来てより強くなってるんだと思います」
「つまり……君がここへ呼ばれた理由。その最高難易度と呼ばれる悩みは『失った感情を取り戻す事』……?」
「……正確にはそれと、人を信用出来なくなったこの心を変えたいんだと思います。『もう一度、人を信用出来るようになりたい』……」
けど、と彩音は歯切れの悪い言葉を口にした。
「でも、それがここに呼ばれた本当の理由だとして、それを心の底から解決したい、取り戻したいとは思えないんです」
感情が表に出ない今の状態はまるで息をするだけの生きた屍。
だけどそこまでしてそれを望んだのには確かな理由がある。
「もし感情を取り戻してしまえば……また弱くなってしまう気がして。感情を殺したから……隙のない強い自分を作る事が出来たのに」
「……なら、どうしてそれを取り戻したいと思いかけるように?」
六本木が疑問を口にし、彩音から視線が向けられると彩音は俯き表情を歪めながら答えた。
「……心の底からの善意から歩み寄る人達にさえ疑いの心しか向けられないから。君たちみたいにね」
「……!」
「私は別に感情や人を信用する心を取り戻さないままでも構わないんだ。だけど……その度に善意で動く人達が傷つくことがあって」
「…………」
「何故か私を見て傷つく人達を見ると辛くなるから。何で勝手にやってる事なのにそんなに辛い表情をするんだろうって」
ふと六本木の声が聞こえ視線を向けると、六本木は言葉を選ぶように伏せた表情をしながら口を開いた。
「実は、自分が思ってるよりずっと周りの人はよく見てたりするんだよね。だから少し様子が違うと気づいちゃうものなんだ」
例えば喧嘩して仲直り出来ないとしたら、例え当事者達が隠していても勘のいいお互いの友達は違和感に気づくだろうと六本木は語り
「明らかに様子がおかしくて、それを解決してあげたくて。でも、その人が何で喧嘩したか分からなかったらどうにも出来ないでしょ?」
それは悩みも同じで、明らかに何かに悩んでいるのに何で苦しんでいるのか分からないから見ている側は何も出来ない。
でも、もし話したら話さなかった時起きてしまう可能性を回避できるかもしれないと話した。
話さなければ、互いが分からぬまま溝は深くなって互いが分からない事に、分かってくれないことに悲しくて怒れて……いずれ取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
「でも、もし打ち明けたらその人がヒントをくれるかもしれない。助けてくれるかもしれない。もしくは巡り巡って思わぬチャンスが訪れるかもしれない」
「ですが返って悪化することもあるのも事実です。正確に『これが正しい』とは誰にも言えないのです。もちろん、私達にも」
と横から月島の声が挟まれ、彩音は向けた視線を戻すと黙り込んでいた。
そんな様子を見ていた六本木は視線を細め、意を決すると彩音に話しかける。
「……神月さん。君に謝らないといけないことがあるんだ」
「……?」
僅かに顔を上げる彩音を六本木は表情を僅かに歪めながら見ていた。そして続きを口にすると
「今、こうして心の内を話してくれた事は凄く嬉しくて」
その言葉に彩音は呆然とし
「正確なものはまだ分からないけど、こうして話してくれなければ僕達は何も分からないままだった。話してくれたから、君の心の奥底にある本当の君を知る事が出来たしそれを元に僕も手助け出来る」
「…………」
「例えばパズルみたいに分かる所から少しずつピースをはめていって、次第に分からなかったところが分かってきて順番に埋まっていく。そうして一枚の絵が完成するでしょ?」
例え今はそれが確信にならなくても、本当はもっと違う理由でここに引き留められているとしても、そういう僅かな情報の積み重ねが真の悩みの糸口になると六本木はいつものように穏やかな口調で話していた。
それは気持ちの整理がついて初めて成立するもの。
そして、穏やかだった六本木の表情が曇ると
「それでね、ここまで話してくれた事はとても嬉しいんだけど……、……レターを受け取った人の基本的な情報はマスターから教えられてるのは知ってるよね?」
「……? うん……」
と頷くと六本木は申し訳なさそうな表情のまま告げた。
「それは、神月さんも例外ではなくて……」
手紙を受け取った人のプロフィールや簡単な情報はここで共に解決に当たり始めてから何度も見ていて、それは始めのコミュニケーションや解決に当たる上で最低限の情報として与えられるものだと説明も受けている。
しかし六本木のこの表情の理由はやがて彩音にも伝わることになり
「君が都外出身だって事も、両親が職業柄海外を転々としてる事も実は知ってたんだ。その……クラスメイトの北条君との関係とか」
「なっ……」
「……それだけじゃなくてね。実は、その……神月さんは感情を失った原因でもある事件の詳細を話したがらないけど……」
六本木が歯切れ悪く話しながら様子を見上げた時、彩音は言葉を失ったように愕然としていた。
「まさか……」
「……ごめん」
と六本木は申し訳ない表情で謝り、返答のない中顔を上げ彩音を見ると
「今はこの中で、最も接点が多い僕だけマスターからそこで『何があったのか』聞かされてるんだ。他の皆はまだ知らないけど……」
ただ神月さんから明かすまで、僕から他の誰にも話したりはしない、と俯いている彩音を見ながら更に投げかける。
「その上で聞きたい事があるんだ。僕達は人々の悩みを導く為に存在していて、その為に人の生活に溶け込んでるわけだけど……」
「……」
「偶然が重なって今の僕とはクラスメイトでもある。仮に君が恐れてる事態が起きる可能性があるとして、だけどそんな事はさせない……と今僕が言ったら信じてくれる?」
「え……」
その瞬間、彩音の心臓がドクンと鳴った。
明確に言葉として説明されていなくとも、その言葉が何を指しているのか何故か思い当たってしまったから。
そして六本木は動揺した彩音を見ながら
「人ってね、意外と目を見るとその人が何を考えているかわかるものなんだよ。目は口ほどに物を言うって言うようにね」
まるで空気を読むように周囲が口を挟むことも無く、ただ時だけが過ぎていく。
それはまるで試されているような感覚で、困惑した彩音はその意図を探らんと六本木の目へ視線を向けた。
それはまるで誘導させられているように思えた反面、自分がどうやって真偽を見抜いているか分かってるような口調で思わず目線を反らすも
「僕は、嘘をつくように見えるかな」
「嘘だと……思、わない」
「どうしてそう思ったの?」
問いに続けて彼の発した言葉は都庁や周りをを驚かせ、だが六本木は驚く様子もなく答えを飲み込んだ。
間もなく、六本木に向けられた視線は鋭く
「特に確信していた訳じゃないけれど、神月さんには人を見る目があると思ったんだ。……これは、僕自身の主観で感じた事なんだけど」
「……やっぱり気に入らない」
まるで全てを知られているような感覚に彩音は息を吐くとそう呟き、その声に都庁と月島が彩音に視線を向けると彩音は不満げに表情を歪めた様子で語る。
「望んでもないのに迷いを晴らそうとしたり、いっつもニコニコした態度で話しかけてきたり、勝手に人の過去を知って……」
「…………」
「なのに今の今まで……私が感情の事を話すまでそれを口にしなかった。まるで私が話すのを待ってたみたいに」
私の中にあるはずの悩みを解決する為にここに呼ばれたのだから、聞こうと思えば何でも聞けたはずで、情報を得れば得るほどその答えに近づける事が分かってるはずなのにそれをしなかった。
勝手にズケズケ入ってこないで距離感を保ちながら、なのに気づけば少しずつ詰められて自ら情報を与えてて。
「つい情報を引き出されてるのが見て取れてムカつくのに……そこに悪意が全く感じられないから更にムカつくんだよ」
彼らは悩みを解決する為に存在し、それが使命で。
そこに裏とか隠されたものは一切なく、心の底から人々の悩みを導く事に全力でいるということはあの日新宿の駅で遭遇した時から、これまでのここでの様子を見ていれば分かってしまう。
「誰にでも優しくして、困ってる人の為に全力で……」
六本木はそう聞きながら彼女の過去に起きた事をマスターから聞かされた時の事を思い出していた。
最高難易度を極める彼女からはこれまで以上にある程度情報がなければそれを導き出せない。
そして、その最もカギとなる『あの事件』についてはおそらく彼女が話すことはないだろう、と偶然クラスメイトでもある六本木にのみ聞かされた。
(かつて起きた事件で彼女は心を塞ぎ込んで、誰も信じられなくなった。その関係で逃げるように海外に出て旅に出ていたことも)
だけど、今僕の言葉を信じてくれた。
と六本木は黙り込んでいた彩音へ視線を向け
(正確には君が東京に来る前にどこで何をしていたのか、そんな過去の経緯がありながら何故か鈴木さん達と親しい理由とか何でも知ってるわけじゃない)
「それでも僕が教えられたのは神月さんの悩みに関係するであろう最低限の情報だけで、神月さん自身については知らないことばかりなんだ」
「……」
「そういうのは誰かからデータとして得るものではなくて、昨日とか今日話してくれたみたいに少しずつ打ち解けて知っていくものだから」
(だけど、マスターが特例として彼女を僕達の仲間に引き入れた意味が分かった気がする)
彼女がここの一員として共にレターを受け取った人達の解決に参加し始めた時、始めは困惑したように萎縮していた。
だけどふと気づけば彼女は手紙を受け取った人達の事をよく見ていて、時々発言する言葉に僕達が気付かされることも多かった。
(もう誰も信じられなくなったって言ってるけど本当は違うと思うんだ。そう思い込んでるだけで)
最高難易度、その欠片は見え始めていた。
翌日、向こうでの話は彩音の頼みもあり六本木は話さず、代わりに変に悟られないようにと切り出した彩音の言葉に都庁達が耳を傾けていた。
「人見知りと言われればその通りなんですけど、こう、何と言うか……つい、ドキドキしちゃうんですよね」
「好き、という感情の判断基準が分からなくなっちゃったから誰に対してもそれっぽくなっちゃうって事?」
「惚れっぽいと言えばそうにも見えるが、話を聞くに少し違うっぽいしな」
渋谷兄妹が口々に思いを口にした所で、ふと新宿が彩音に身を乗り出し
「つまり、こうして俺とお話してる時もドキドキして……!?」
「新宿、お前はいつも……話を茶化すな」
と期待する新宿に対して都庁がため息混じりに制止させると、やがて彩音の声に視線を向ける。
「多分……誰と目が合っても合わせられないだろうし誰と手を繋いでも同じ反応になると思う」
その言葉に六本木は魔物に襲われ、御茶ノ水の喫茶店に逃げ込んだ時のことを思い出していた。
「『ロマンスクローバー』人気ですよねえ」
「あぁ、人気だねえ」
次の日、ゆかりはとある本を握りしめながら呟いていた。それは映画化もされた書籍で、中高生を始めとした若者に人気の恋愛小説で
「私もこんな恋をしてみたいですー」
「お前には早いだろ」
「なっ、別にいいじゃないですかっ!」
そんなやりとりを笑って見ていた一同だったが、都庁は同じく見ていた彩音が僅かに表情を曇っていたことに気づく。
「……神月さん?」
ふいに声をかけられ、ぼんやりと見つめていた彩音が都庁に振り向くと
「どうかした? ひょっとして、昨日話していたことを気にしているのか?」
「あ、いえ……」
と彩音は眉を下げながら笑い、やがて俯くと口にする。
「なんだか……昔の事を思い出して」
「昔?」
都庁の聞き返す声に、彩音はしばらく間を置いた後話し始める。
「東京に来る前までは、実はこの国とは離れた所にいたんです。その中の一つに、ある機関の手伝いをしていた事があって」
「……」
「そこも色んな個性の人がいて、こんな風に賑やかだったなあって思っただけです。ここで皆を見ていると、よく思い出して……」
ふいに聞こえてきた言葉に六本木は都庁と話す彩音に耳を傾け、都庁はゆかりと新宿、そして二人の会話を笑いながら眺めている他の土地達の様子を見ながら
「ここは相当騒がしいと思うが……」
「でも負けないくらい、それ以上に毎日騒がしかったんですよ。人数が多かったっていうのは確かにありますけど」
その頃を思い出すように、彩音は説明するように語り
「島の中の、森を抜けた高台にぽつんと拠点を構えていたから近所迷惑とかにはならないんですけど。リビングからゲームで騒ぐ声が聞こえたり、体を鍛えるって外に飛び出す足音が響いたり」
買い出しの手伝いに付き合わされる男性陣の嘆きやところ構わず勝負を仕掛ける声。
けどその組織は定期的に再結成と解散を繰り返しており、解散する事が決まったと同時に自分にとって来年度は高校生という節目が近づき……と説明していた彩音は膝の上にあった手を握り込むと
「ずっと逃げていたから……。解散とか色んなタイミングが重なって、高校生になると同時に私は日本に戻ってきて……この東京に来たんです」
「……」
(日本を離れていた理由。もしかしたらこの間聞いた話のある理由と関係があるのかもしれない)
と話を聞いていた都庁は口には出さず考えていると、近寄ってきた六本木の声に彩音と都庁は視線を向ける。
「神月さんにとってそこは思い出深い場所なんだね」
「……どうだろう。でも、ここも楽しいよ」
その一言に六本木は唖然とし、対する彩音は目を伏せながら
「ここはいつ来ても賑やかだし、最初この場所に来た時は嫌な予感ばっかりで正直来たくなかったけど」
「「……」」
「皆の使命も、悩みを解決する意味も分かってる。でも都市伝説として聞いたり思っていたよりも、なんというか普通の人と変わらなかった」
季節に合わせたイベント、行事、流行り……まるで普通の人と変わらない話をしながら、いざ手紙を受け取った人が来た時は皆真剣に向き合って答えに繋がる道を探していく。
その度に色んな考え方を知って皆と一緒にヒントを探しながら答えを見つけていくのが楽しくて。
と語っていく言葉を聞いていた都庁もまた関心するよう頷きながら
「とても難しい役目でありながら、とてもやりがいのある役目でもあると思っているよ」
「そうですね。色んな人がここに来て、色んな人生経験を聞いてきて……すごく不思議な感じになります。本当に、色んな人が色んな事で悩んでるんだなあって」
そう口にする彩音の傍ら六本木は黙り込む。
(初めてここへ連れてこられた時よりもずっとこの場や皆に対する警戒心は薄れてる。それに昨日や今までの様子から少しずつヒントになりそうなものも掴めてきて)
だけど……と六本木は人知れず難しい表情をし
(だけど……まだ聞き出すには信頼度が足りない。まだ心から悩みを僕達に委ねられるようには見えない。どうすればいいんだろう)
「日本にはこんな不思議なことは有り得ないと思っていたから」
彩音達の間は一度沈黙し、ふと彩音は六本木へ冷淡にもとれる視線を向ける。
向けられた視線に六本木が疑問に思って間もなく小さく息を吐くように彩音は口を開く。
「何故外国にいたのか気にならないんだ」
それに六本木は一度目を丸くしながら
「え、だって両親が海外に赴任する事になった関係とか、海外で生活していた理由は様々だと思うよ?」
「…………」
その返答に彩音は顎に手を当て黙り込み、何分も沈黙した後再び息を吐く。
そして発せられた言葉に六本木と都庁は表情を変えた。
「私がここに呼ばれた理由……本当は心当たりがないわけじゃないんだ」
「「!」」
「それが引っかかった原因である可能性は十分にあるけど……ただ、それが本当に解決したい悩みかどうかと聞かれると分からないんだ」
彩音は考えた末頷くと黙り込んでしまうが、都庁はそんな彩音を見ると
「話してくれないか」
「……昨日の話は覚えてますか」
「あぁ。まさか、それが関係しているのか?」
「いえ……ただ、全くの無関係でもないと思います。ある出来事と事件が重なって私は誰かを好きになる感情を失った。でも、本当は……」
膝の上にあった手が握りこまれ、やがて彼女らの知りたかった事が明かされる。
「……その事件で私は『感情』そのものを殺したんです」
「感情を……殺した?」
沈黙の後、都庁が呟くと彩音は黙り込んでいた。
しかし口を開くと答えるように説明していく。
「その時から私は感情を捨てて、表に出さないようにしたんです。そして……もう二度と人を信用しないと決めました」
それぞれ話をしていたはずの周囲からの視線に気づくが、もう引き返すことは出来ないと覚悟を決め語り続けた。
「恋愛感情を失ったことに気づくより前に、感情そのものを押し殺していたうちに笑うことも怒りも忘れたんです。……まるで……ただの生きるだけの存在になって」
感情があるから傷ついて、弱さを見せるからつけこまれて騙される。
感情を殺し始めてから泣かなくなったしショックに塞ぎ込むこともなくなった。
そしていつの間にか、それが普通になったと語られる言葉を彼女らは静かに聞いていた。
「もう二度と傷つかない為にしたことのはずなのに……自らそれを望んだはずなのに最近それが妙に虚しくなるんです」
「何故……?」
「おそらく、ここで色んな悩みを持って現れては解決していく人達を見たからでしょう」
と彩音の答えに対して都庁は反応すると
「失った後……色んな人達を見てその時から変化の予兆はあったんです。それがここに来てより強くなってるんだと思います」
「つまり……君がここへ呼ばれた理由。その最高難易度と呼ばれる悩みは『失った感情を取り戻す事』……?」
「……正確にはそれと、人を信用出来なくなったこの心を変えたいんだと思います。『もう一度、人を信用出来るようになりたい』……」
けど、と彩音は歯切れの悪い言葉を口にした。
「でも、それがここに呼ばれた本当の理由だとして、それを心の底から解決したい、取り戻したいとは思えないんです」
感情が表に出ない今の状態はまるで息をするだけの生きた屍。
だけどそこまでしてそれを望んだのには確かな理由がある。
「もし感情を取り戻してしまえば……また弱くなってしまう気がして。感情を殺したから……隙のない強い自分を作る事が出来たのに」
「……なら、どうしてそれを取り戻したいと思いかけるように?」
六本木が疑問を口にし、彩音から視線が向けられると彩音は俯き表情を歪めながら答えた。
「……心の底からの善意から歩み寄る人達にさえ疑いの心しか向けられないから。君たちみたいにね」
「……!」
「私は別に感情や人を信用する心を取り戻さないままでも構わないんだ。だけど……その度に善意で動く人達が傷つくことがあって」
「…………」
「何故か私を見て傷つく人達を見ると辛くなるから。何で勝手にやってる事なのにそんなに辛い表情をするんだろうって」
ふと六本木の声が聞こえ視線を向けると、六本木は言葉を選ぶように伏せた表情をしながら口を開いた。
「実は、自分が思ってるよりずっと周りの人はよく見てたりするんだよね。だから少し様子が違うと気づいちゃうものなんだ」
例えば喧嘩して仲直り出来ないとしたら、例え当事者達が隠していても勘のいいお互いの友達は違和感に気づくだろうと六本木は語り
「明らかに様子がおかしくて、それを解決してあげたくて。でも、その人が何で喧嘩したか分からなかったらどうにも出来ないでしょ?」
それは悩みも同じで、明らかに何かに悩んでいるのに何で苦しんでいるのか分からないから見ている側は何も出来ない。
でも、もし話したら話さなかった時起きてしまう可能性を回避できるかもしれないと話した。
話さなければ、互いが分からぬまま溝は深くなって互いが分からない事に、分かってくれないことに悲しくて怒れて……いずれ取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
「でも、もし打ち明けたらその人がヒントをくれるかもしれない。助けてくれるかもしれない。もしくは巡り巡って思わぬチャンスが訪れるかもしれない」
「ですが返って悪化することもあるのも事実です。正確に『これが正しい』とは誰にも言えないのです。もちろん、私達にも」
と横から月島の声が挟まれ、彩音は向けた視線を戻すと黙り込んでいた。
そんな様子を見ていた六本木は視線を細め、意を決すると彩音に話しかける。
「……神月さん。君に謝らないといけないことがあるんだ」
「……?」
僅かに顔を上げる彩音を六本木は表情を僅かに歪めながら見ていた。そして続きを口にすると
「今、こうして心の内を話してくれた事は凄く嬉しくて」
その言葉に彩音は呆然とし
「正確なものはまだ分からないけど、こうして話してくれなければ僕達は何も分からないままだった。話してくれたから、君の心の奥底にある本当の君を知る事が出来たしそれを元に僕も手助け出来る」
「…………」
「例えばパズルみたいに分かる所から少しずつピースをはめていって、次第に分からなかったところが分かってきて順番に埋まっていく。そうして一枚の絵が完成するでしょ?」
例え今はそれが確信にならなくても、本当はもっと違う理由でここに引き留められているとしても、そういう僅かな情報の積み重ねが真の悩みの糸口になると六本木はいつものように穏やかな口調で話していた。
それは気持ちの整理がついて初めて成立するもの。
そして、穏やかだった六本木の表情が曇ると
「それでね、ここまで話してくれた事はとても嬉しいんだけど……、……レターを受け取った人の基本的な情報はマスターから教えられてるのは知ってるよね?」
「……? うん……」
と頷くと六本木は申し訳なさそうな表情のまま告げた。
「それは、神月さんも例外ではなくて……」
手紙を受け取った人のプロフィールや簡単な情報はここで共に解決に当たり始めてから何度も見ていて、それは始めのコミュニケーションや解決に当たる上で最低限の情報として与えられるものだと説明も受けている。
しかし六本木のこの表情の理由はやがて彩音にも伝わることになり
「君が都外出身だって事も、両親が職業柄海外を転々としてる事も実は知ってたんだ。その……クラスメイトの北条君との関係とか」
「なっ……」
「……それだけじゃなくてね。実は、その……神月さんは感情を失った原因でもある事件の詳細を話したがらないけど……」
六本木が歯切れ悪く話しながら様子を見上げた時、彩音は言葉を失ったように愕然としていた。
「まさか……」
「……ごめん」
と六本木は申し訳ない表情で謝り、返答のない中顔を上げ彩音を見ると
「今はこの中で、最も接点が多い僕だけマスターからそこで『何があったのか』聞かされてるんだ。他の皆はまだ知らないけど……」
ただ神月さんから明かすまで、僕から他の誰にも話したりはしない、と俯いている彩音を見ながら更に投げかける。
「その上で聞きたい事があるんだ。僕達は人々の悩みを導く為に存在していて、その為に人の生活に溶け込んでるわけだけど……」
「……」
「偶然が重なって今の僕とはクラスメイトでもある。仮に君が恐れてる事態が起きる可能性があるとして、だけどそんな事はさせない……と今僕が言ったら信じてくれる?」
「え……」
その瞬間、彩音の心臓がドクンと鳴った。
明確に言葉として説明されていなくとも、その言葉が何を指しているのか何故か思い当たってしまったから。
そして六本木は動揺した彩音を見ながら
「人ってね、意外と目を見るとその人が何を考えているかわかるものなんだよ。目は口ほどに物を言うって言うようにね」
まるで空気を読むように周囲が口を挟むことも無く、ただ時だけが過ぎていく。
それはまるで試されているような感覚で、困惑した彩音はその意図を探らんと六本木の目へ視線を向けた。
それはまるで誘導させられているように思えた反面、自分がどうやって真偽を見抜いているか分かってるような口調で思わず目線を反らすも
「僕は、嘘をつくように見えるかな」
「嘘だと……思、わない」
「どうしてそう思ったの?」
問いに続けて彼の発した言葉は都庁や周りをを驚かせ、だが六本木は驚く様子もなく答えを飲み込んだ。
間もなく、六本木に向けられた視線は鋭く
「特に確信していた訳じゃないけれど、神月さんには人を見る目があると思ったんだ。……これは、僕自身の主観で感じた事なんだけど」
「……やっぱり気に入らない」
まるで全てを知られているような感覚に彩音は息を吐くとそう呟き、その声に都庁と月島が彩音に視線を向けると彩音は不満げに表情を歪めた様子で語る。
「望んでもないのに迷いを晴らそうとしたり、いっつもニコニコした態度で話しかけてきたり、勝手に人の過去を知って……」
「…………」
「なのに今の今まで……私が感情の事を話すまでそれを口にしなかった。まるで私が話すのを待ってたみたいに」
私の中にあるはずの悩みを解決する為にここに呼ばれたのだから、聞こうと思えば何でも聞けたはずで、情報を得れば得るほどその答えに近づける事が分かってるはずなのにそれをしなかった。
勝手にズケズケ入ってこないで距離感を保ちながら、なのに気づけば少しずつ詰められて自ら情報を与えてて。
「つい情報を引き出されてるのが見て取れてムカつくのに……そこに悪意が全く感じられないから更にムカつくんだよ」
彼らは悩みを解決する為に存在し、それが使命で。
そこに裏とか隠されたものは一切なく、心の底から人々の悩みを導く事に全力でいるということはあの日新宿の駅で遭遇した時から、これまでのここでの様子を見ていれば分かってしまう。
「誰にでも優しくして、困ってる人の為に全力で……」
六本木はそう聞きながら彼女の過去に起きた事をマスターから聞かされた時の事を思い出していた。
最高難易度を極める彼女からはこれまで以上にある程度情報がなければそれを導き出せない。
そして、その最もカギとなる『あの事件』についてはおそらく彼女が話すことはないだろう、と偶然クラスメイトでもある六本木にのみ聞かされた。
(かつて起きた事件で彼女は心を塞ぎ込んで、誰も信じられなくなった。その関係で逃げるように海外に出て旅に出ていたことも)
だけど、今僕の言葉を信じてくれた。
と六本木は黙り込んでいた彩音へ視線を向け
(正確には君が東京に来る前にどこで何をしていたのか、そんな過去の経緯がありながら何故か鈴木さん達と親しい理由とか何でも知ってるわけじゃない)
「それでも僕が教えられたのは神月さんの悩みに関係するであろう最低限の情報だけで、神月さん自身については知らないことばかりなんだ」
「……」
「そういうのは誰かからデータとして得るものではなくて、昨日とか今日話してくれたみたいに少しずつ打ち解けて知っていくものだから」
(だけど、マスターが特例として彼女を僕達の仲間に引き入れた意味が分かった気がする)
彼女がここの一員として共にレターを受け取った人達の解決に参加し始めた時、始めは困惑したように萎縮していた。
だけどふと気づけば彼女は手紙を受け取った人達の事をよく見ていて、時々発言する言葉に僕達が気付かされることも多かった。
(もう誰も信じられなくなったって言ってるけど本当は違うと思うんだ。そう思い込んでるだけで)
最高難易度、その欠片は見え始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる