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天界試験編
第24話、恐怖との選択
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「天使の多くは何らかの使命……つまり、役割を与えられるものだ。下界の監視ないし、魂の導き手ないし親衛隊などの護衛ないしな」
故に与えられた使命を果たす事は天界にとって問うべきまでもない常識で何よりも優先するべきもの。
そう思っていたのは蒼真も同じで
「学校でもそうしきたりのように教えられ、それが天界人としてそういうものなのだと特に何も感じなかった」
「……」
「だからどの役目に付きたいとか、何をしたいとか特にもなく何でもよかったんだ。けど……周りが皆そうとも限らなくてな」
特に同じく学校に通う天界人の中には親の期待で直属の役割を目指したり、天使になる事を夢に見て語る者もいた。だがそんな者達の言葉を聞き姿を見てもそこまで必死になる理由が分からなかったと話す。
だがふいに拳を握り締め
「だが、さっきの戦いで……強い者というものをはっきり感じた。あいつは俺より強く……俺は……敵わなかった」
俯かせたまま一旦言葉が止まると
「それは、きっと俺が天界人としての意識が足りなかったからだろう。天使とは、それを目指す天界人とはなんなのか」
ゆくゆくは天使になる者としてどうするべきなのかを。
そう語りながら蒼真は黙り込んでいる彩音を微かに見上げ
「俺達が果たすべき使命がどんな意味を持つのか、こうして気づいた所で分からないことばかりだが……一つだけ分かったことがある」
「……」
「それは……導くべき存在がどんなものなのか……契約者たるお前と契約し、こうして言葉を交わすことで少しだけ理解した」
家に戻ってからも部屋で蒼真は語り続けた。
天界人の強さは個々の能力も関係はしているものの、少なくとも神から武器や力を授けられたりせず半人前である天界人にとって最も重要なのは契約者との相性だと再び話した。
「相性が良ければいいほど天界人の力は増強され、場合によっては天使に近い力を発揮することも出来るという。この試験においては契約でいかに力を増幅し引き出せるかにかかっている」
しかし、力を引き出す鍵は必ずしも相性だけとは言えないと蒼真は続け、例えば大地や人々を守る神に人々が信仰し祈りを捧げるのは決して人間の心の安寧の為行われ、神にとって無意味なものではない。
人々の祈りは神にとっても大切なもので、祈りにより力を得てその力を使い信仰心を向ける人間へ恵みを与えるように出来ている。とベッドに腰を下ろしている彩音へ視線を向けると
「神にも色々いる。素で強大な力を持つ神もいれば素では微々たる力を持たずとも人々の祈りによって力を得る神もいる」
大まかな傾向としてはその国を見守る守護神や恵みを与える神は信仰心と祈りによって力を増幅させ、戦神や裁きを下す神は素で強力な力を持っていると言う。
「神にも位や上下はあるし、上位の神ほど強い力を持つものだ。だが微力や小さな神さえも時によっては……祈りによって祈りを糧としない神をも上回る力を持つことができるんだ」
祈りによって力を得ることは天使にはないものの、今の蒼真達天使の階級を受けない天界人にとっては無関係でもないと彩音を見て告げる。
「今の俺達もまた、力の強弱は個人の素質と契約者との相性によるのに加えある条件を満たす事でより強い力を得る事が出来るはずなんだ。……信じることによって」
「!」
発せられた言葉に彩音が反応を示し、それに蒼真も気づきながら言葉を続けていく。
「人間と天界人……互いの絆が強くなればなるほど相性としての共鳴もより深くなり力は何倍にも増強されると言われているんだ」
「……それって……敗因は、私にもあるって事……?」
そんな彩音に対して直後蒼真は首を横に振り
「それに関してはお前を責めるつもりはない。何故ならお前はそれが出来ない事を知っていたからな」
契約する相手として彩音の事は生まれた時からその全てを把握し、その理由も知っていると告げると彩音は俯いたまま呟くように
「……でも、そう言ってくれれば少しは」
「正直な話、俺自身そんなのなくてもクリアできると思ってたんだ」
その声に顔を上げると深刻な表情を浮かべた蒼真がおり
「予選試験こそあれど本試験まで漕ぎ着ければ、能力と素質を認められれば試験には合格出来る。そう甘く見ていた」
「…………」
「何とか第四試験まで合格し、残すは最終試験……その予選さえ抜けられればチャンスはある。が……」
それは再び危険がつきまとうということと口ににされない言葉を彩音が読み取ると蒼真は口を開いた。
「次の……最後の試練は約一週間後の土曜に行われ、リタイアする場合は前日までに伝えなければならない」
「……」
「どうするかを決めろ。俺はどちらでも構わないが」
日が経てど答えを出されぬまま蒼真は険しい表情で迷っているのであろう彩音を見ては黙り込んでいた。
更に日が経ち期日の前日。
朝から姿を見せぬ蒼真が気になりながらも答えを出すため葛藤し続けていた。そして日も暮れ始めた夕方、空がオレンジ色に染まる中部屋の中にいた彩音は虚空に向け名を呼んだ。
「蒼真」
名を呼べば、音もなく青白い光と共に姿を現し目の前に立つ彩音へ視線を向け
「……決めたのか」
「うん」
部屋が静まり返り、緊張が走るように手を握り込む彩音を蒼真は無言で見つめており彼女から発される答えをただ待ち続けた。
「私は……」
まるでその『答え』を出す事を躊躇うように詰まった様子に蒼真は心の中でその答えを察し、僅かに視線を伏せた時その答えは明かされた。
「……試験を続けるよ」
「……!」
答えが出た瞬間蒼真は驚いたように視線を上げると僅かに口を開け、彩音を見ると
「な……何故だ。あの場でお前が戦うことは出来ず、見ていることしか出来ないというのに続けると言うのか?」
「……」
「あんなにも恐怖に怯えて怖い思いをして、あの場ではお前が思う『望み』を叶えられないというのに……」
そのまま何秒もの時が経ち、唖然としていた蒼真の前で彩音は目を伏せながら胸に手を当てると握り込んだ。
そして開かれた口に蒼真が反応すると
「蒼真は私の全てを見てきて……だからきっと私が何で戦えるようになって、何で守護者になったのかも知ってると思う」
「…………」
「私が神様に奇跡を願っていて、それから神様を嫌っていたことも」
何故この地に来るまでこの国の外にいたのか、そこで何をしていたのか全て見てきた。この人間にとって、この世界がいかに無価値なものと感じているのかも知っている。
それなりの成績をとって、それなりに友達も出来て笑って生きて。平和な今の時代、この国の人間ならさほど難しくないごく普通のこと。
「でも誰も言葉にしなくても求められてる当たり前の事が私には出来なかった。どうして私には当たり前の事が出来ないんだろうね?」
「…………」
「この国に私の居場所はなくて。有名人になりたいとか、お姫様になりたいとか何も特別な事なんて望んでなかったのに。ただ『普通』に生きたかっただけなのに」
間が空き静まり返る室内。
そう悲しい表情で笑みを浮かべながら嘆く理由も意味も蒼真は知っていながら聞いては黙り込んでいた。
そのまま時が経ち、再び声が聞こえ
「蒼真、言ったよね。蒼真は天使となり使命を受け果たすのが天界人としての当たり前だからこの試験に参加してるって」
握っていた手を強く握り直すと蒼真へ視線を上げながら
「私は……当たり前のことが出来ないなら出来ないなりにこの『命』の意味を知りたい。生きてる意味を知りたいんだ」
もし人は必ず死ぬ存在なんだとしたら、その時これまでの生に意味が欲しい。そう投げかけ蒼真に真っ直ぐ視線を向けて投げかける。
「言ったよね。蒼真も天界人として天使の称号や使命を受けてまで使命を果たす意味がよく分かってないって。その必要性、存在意義がいまいち分からないって」
「…………」
「だから、この試験で蒼真の思う天界人としての存在意義を……天使になる理由を考えて教えて。その代わり、私もこうして生きる理由を考えるから」
(天使になる理由……か)
更に時が経ち深夜、静まり返った街の中蒼真は家の前で空に浮かんだまま投げかけられた事を思い出す。
(難しい事を言うし、結局何故試験を続ける決断をしたのかいまいち分からないな。……だが、始めからあいつは何故そう思い至るのか分からないことばかりだった)
こうして直にやりとりを始めれば、人間というものがいかに不可解な生き物かを実感させられ蒼真もまた心の中に問いかける。
何故天使は魂を導き守るのか。その役目を果たす天使とは一体どんな存在なのかを。そんな時隣に白く淡い光が舞い降り視線を向けるとその光はやがてハクの姿を現した。
「決断されたようですね」
「……」
投げかけに対して蒼真は黙り込んだまま俯いていると、そんな蒼真を見ながらハクは言葉を続ける。
「天界試験がいかに厳しいものか分かったでしょう? それだけ天界にとってこの試験は大切で重要なものなのですよ」
「お前は……天使をどう思ってるんだ」
ふと投げかけられた言葉にハクは言葉を止めると顎に手を置き考えるように答える。
「母のような存在……でしょうかね」
それに蒼真から視線を向けられるとハクは目を伏せながら
「ありとあらゆる魂を導き、時に穢れを浄化する。天上の存在と言えど私は地上の存在と大差ない役割だと思いますよ」
「何……?」
「どんな生き物も母親というものは存在していて、母の愛や導きをもって導かれていくもの。時に愛し時に叱り……それは我々天使の役目と似ていると思えませんか?」
全てを導き正しい場へ送る為、天使は純白でなくてはならないし正しい存在でなくてはならない。ありとあらゆる魂を導く為に。
「貴方の掲げる天使というものは貴方にしか分からないものですが、その尊さ分からずして天使というものは務まらないと思いますよ」
「……」
「それだけ重要で、なくてはならない存在なのですよ」
(そんな存在に俺はなろうとしているのか)
天使とは魂を導く存在で、いつかは契約者となったあいつの魂も天使によって導かれるのだろう。
そして導かれた魂は巡り巡ってまた新たな生命として舞い降りる。
「最終試験ともなれば周りの実力も跳ね上がります」
「分かってる。それでも俺は負けるわけにはいかないんだ」
「…………」
「あいつの為にも」
決意するように拳を握り、そう呟く蒼真を見ていたハクはふと問いかけた。
「何故天界試験において、天界人は人間と契約を結ぶか分かりますか?」
「それは、試験においてそれが条件であり、契約を通じてより強い力が解放出来るからでは無いのか」
「違いますよ」
そう首を振られ目を丸くすると
「知識や実力はいくらでも磨くことは出来れど、たった一つ天界では知ることの出来ないものがあります。それは……導くべき命の尊さ」
「…………」
「我々の導く魂を持つ存在がどんなものか、その命の尊さを知る為に契約というものが義務化されているのですよ。尊さ知らずして正しく導いたり浄化する事など出来ませんから」
「命の尊さ……」
「貴方は何故そこまでして天界試験に意気込むのです?」
そうハクは蒼真へ視線を向け直し
「その答えが……契約にて貴方が得た天使と導くべき魂に関する答えになります」
そしてハクは笑みを浮かべると
「最終試験まで残り僅かではありますが、まだ出来ることは十分ありますよ。例えば……実戦慣れしておくとか」
「……!」
口角を上げていたハクへ視線を向けると微かに表情を歪ませるが彼は笑みを浮かべたまま
「まだ少し時間があります。一日弱あれば少しは実戦に慣らすことも出来るでしょう」
「……いいだろう」
沈黙の果てに聞こえた声にハクが視線を向けると蒼真もまた視線を上げ、真剣な眼差しを向けながら口を開き
「明日一日手合せに付き合ってやる。俺は……強くならなくてはならないんだ。あいつの為にも」
時は経ち金曜日の夜。
最終試験前日となった彩音はある決意を元に階段を降りるとリビングに入り、その中にいる啓へ呼びかけながら視線を向けた。
自身が呼びかけることはあれど、逆は珍しい光景の為呼ばれた啓は目を丸くしながら彩音へ視線を返し聞き返す。
「お嬢様、如何されましたか?」
「…………」
扉の近くに立ち止まり後ろで手を組んでいた彩音はその組んでいた手を離し
「ちょっと……話があるんだ」
間もなく啓の前まで来た彩音は向き合う形で立ち、背けていた目を小刻みに向けながら
「……実は、ある理由で今ある事をしていて……私が戦う訳じゃないんだけど、少し危険な事になるかもしれないんだ」
そう切り出すと啓の表情が変わり彩音もそれに気づき視線を俯かせながら
「その……もしかしたら死ぬかもしれなくて、絶対平気とは言いきれないんだ」
言葉を失ったままの姿に彩音は当然だと思いながらその心の内を明かしていく。
「言いたくない訳じゃなくて言えないんだけど……」
と言いかけた時隣に青白い光が舞い降り彩音は視線を向けると目を丸くした。
そのまま光は彩音の隣で青い髪の少年の姿となり舞い降り、啓もまた唖然とした表情で宙に浮く少年に視線を向けた。彩音が唖然としている中蒼真は彩音に視線を向けると
「本来天界人は契約者、及び天に通じる者以外には姿を見せるべきではないのだが……事情が事情な以上明かさない訳にもいかないだろう」
と彩音から啓に視線を移すと彩音は蒼真の言葉の意図を理解し、啓に投げかけるとその声に啓は反応する。
「詳しくは話せないけど、可能性がある限り話さないといけないと思って。この子は……蒼真。今、蒼真が受けてるある試験に協力してて、試験を受けるには私が必要なんだ」
少年が地から浮いている事から言われずとも彼は人間ではないと察し、そのまま彩音の話が続くと
「これは蒼真の為の試験だからルールで私の戦う力も一切使えなくて……。私が戦う訳じゃないけど危険な事には変わりないんだ」
「…………」
「でも、これは私にとって必要な事なんだと思うんだ。これは……私にとっても必要な一つの試練なんじゃないかって思って」
「何……?」
その声に反応したのは蒼真で、蒼真は声を上げると唖然とした様子で彩音へと視線を向けた。そして同時に彼女から発せられる雰囲気がこれまでと変わっている事に気づくと言葉を止める。
「お嬢様にとっての、試練……?」
そう問いかける啓に対して確かな意思を示すかのように真剣な眼差しを向け、彼女は口を開くと己に置かれた状況と、特別な力の経緯を話し始めた。
「私は……信じられないかもしれないけど、ある神様から守護者として選ばれて特別な力をもらったの。そんな守護者の使命は迫る危機から世界を守る事で……」
「…………」
「だから戦うことは私に与えられた使命でもあって……私は守護者としての力や魔法が使えるからあんなに怖い魔物とも戦えたんだ」
やがて陰を落とした表情に啓が気づくと彩音は視線を伏せながら
「でも、もし魔法が使えなかったら……あの力が無かったら戦うことなんて出来ないんだ。……小さい時から怖いことが嫌いだったから」
蒼真は黙り込んだまま目を伏せる。
そして啓が静かに聞き入れる中彩音は薄ら笑いを浮かべ
「これでも私は守護者の中でも一応『勇気の守護者』って言われてるんだ。だけど私に勇気なんてないと思ってる」
勇気の守護者として選ばれる前から、この国の外で出来事に巻き込まれる度に関わった人達は私を見て勇気があるって言ってくれた。
でも違うんだ、と重ねて彩音は首を振った。
外国で目の前の人を助けようとしたのは、襲い来る者を退かなければ自分の命もまた危なかったからで、目の前で苦しんでる人を見て助けたいと思ったのは見ていられなかったから。
「全部自分の為だよ。本当に勇気のある人は、力の有無関係なく手を差し伸べようとするし守ろうとするはず。自分の事なんて考えずにね」
本当の意味で私に勇気なんてものはなく、勇気の守護者として選ばれた理由が分からずにいる。緋香琉やクロス……他の守護者の中で自分が一番弱い人間だと認めているかのように話していった。
「世界を守れる力があっても、こんな弱さじゃ駄目だって分かってる」
たとえ力が使えなくても勇敢に立ち向かえるような心でないと守護者とは言えない。本当の意味で勇気ある人間とは言えないと。
そして視線を上げると
「だからこれは……私が本当の意味で強くなる為の試練なのかもしれないとも思うんだ。戦うのは私じゃないけど……」
代わりに戦う蒼真を信じることもまた強さだと話すと蒼真は目を丸くし、その意味を説明するよう心の内を明かしていく。
「勝敗を分ける鍵は『信じる心』にあるんだって。私にとってそれは一番難しい事で、もっと違う人間と組んだ方が良かったんじゃないかとさえ思えて」
(だけどこの契約が生まれた時から決まっていて、これが決められた運命だったのだとしたのなら……)
「……変わるチャンスかもしれないんだ」
「……わかりました」
沈黙の果て、聞こえた声に彩音は表情を変え啓へ視線を上げた。
啓は確かに不安を抱えた表情をしながら小さく息を吐き、呆然と視線を向ける彩音に対して口を開いた。
「お嬢様がそう決められたことなのであれば、私に止める権利はないでしょう」
「……」
「私はお嬢様がこれまでなされてきた事の全ては存じ上げません。戦う術を持ち、海外を旅されていたとしても……具体的にどこで、何をされていたかは何も知りません」
俯きながら話していた顔を上げると彩音へ視線を向け
「神月家に仕える執事としては止めるのが当然なのでしょうけど、今お話された事が本当なら……『私』としては止めるべきではないと思うのです」
「……どういうこと?」
「従者としてすべき判断と私個人としての思いは別ということですよ。今も、貴方が彼と何をしようとしているのか分かりませんが……『変わるチャンス』……そう思えたのなら」
故に与えられた使命を果たす事は天界にとって問うべきまでもない常識で何よりも優先するべきもの。
そう思っていたのは蒼真も同じで
「学校でもそうしきたりのように教えられ、それが天界人としてそういうものなのだと特に何も感じなかった」
「……」
「だからどの役目に付きたいとか、何をしたいとか特にもなく何でもよかったんだ。けど……周りが皆そうとも限らなくてな」
特に同じく学校に通う天界人の中には親の期待で直属の役割を目指したり、天使になる事を夢に見て語る者もいた。だがそんな者達の言葉を聞き姿を見てもそこまで必死になる理由が分からなかったと話す。
だがふいに拳を握り締め
「だが、さっきの戦いで……強い者というものをはっきり感じた。あいつは俺より強く……俺は……敵わなかった」
俯かせたまま一旦言葉が止まると
「それは、きっと俺が天界人としての意識が足りなかったからだろう。天使とは、それを目指す天界人とはなんなのか」
ゆくゆくは天使になる者としてどうするべきなのかを。
そう語りながら蒼真は黙り込んでいる彩音を微かに見上げ
「俺達が果たすべき使命がどんな意味を持つのか、こうして気づいた所で分からないことばかりだが……一つだけ分かったことがある」
「……」
「それは……導くべき存在がどんなものなのか……契約者たるお前と契約し、こうして言葉を交わすことで少しだけ理解した」
家に戻ってからも部屋で蒼真は語り続けた。
天界人の強さは個々の能力も関係はしているものの、少なくとも神から武器や力を授けられたりせず半人前である天界人にとって最も重要なのは契約者との相性だと再び話した。
「相性が良ければいいほど天界人の力は増強され、場合によっては天使に近い力を発揮することも出来るという。この試験においては契約でいかに力を増幅し引き出せるかにかかっている」
しかし、力を引き出す鍵は必ずしも相性だけとは言えないと蒼真は続け、例えば大地や人々を守る神に人々が信仰し祈りを捧げるのは決して人間の心の安寧の為行われ、神にとって無意味なものではない。
人々の祈りは神にとっても大切なもので、祈りにより力を得てその力を使い信仰心を向ける人間へ恵みを与えるように出来ている。とベッドに腰を下ろしている彩音へ視線を向けると
「神にも色々いる。素で強大な力を持つ神もいれば素では微々たる力を持たずとも人々の祈りによって力を得る神もいる」
大まかな傾向としてはその国を見守る守護神や恵みを与える神は信仰心と祈りによって力を増幅させ、戦神や裁きを下す神は素で強力な力を持っていると言う。
「神にも位や上下はあるし、上位の神ほど強い力を持つものだ。だが微力や小さな神さえも時によっては……祈りによって祈りを糧としない神をも上回る力を持つことができるんだ」
祈りによって力を得ることは天使にはないものの、今の蒼真達天使の階級を受けない天界人にとっては無関係でもないと彩音を見て告げる。
「今の俺達もまた、力の強弱は個人の素質と契約者との相性によるのに加えある条件を満たす事でより強い力を得る事が出来るはずなんだ。……信じることによって」
「!」
発せられた言葉に彩音が反応を示し、それに蒼真も気づきながら言葉を続けていく。
「人間と天界人……互いの絆が強くなればなるほど相性としての共鳴もより深くなり力は何倍にも増強されると言われているんだ」
「……それって……敗因は、私にもあるって事……?」
そんな彩音に対して直後蒼真は首を横に振り
「それに関してはお前を責めるつもりはない。何故ならお前はそれが出来ない事を知っていたからな」
契約する相手として彩音の事は生まれた時からその全てを把握し、その理由も知っていると告げると彩音は俯いたまま呟くように
「……でも、そう言ってくれれば少しは」
「正直な話、俺自身そんなのなくてもクリアできると思ってたんだ」
その声に顔を上げると深刻な表情を浮かべた蒼真がおり
「予選試験こそあれど本試験まで漕ぎ着ければ、能力と素質を認められれば試験には合格出来る。そう甘く見ていた」
「…………」
「何とか第四試験まで合格し、残すは最終試験……その予選さえ抜けられればチャンスはある。が……」
それは再び危険がつきまとうということと口ににされない言葉を彩音が読み取ると蒼真は口を開いた。
「次の……最後の試練は約一週間後の土曜に行われ、リタイアする場合は前日までに伝えなければならない」
「……」
「どうするかを決めろ。俺はどちらでも構わないが」
日が経てど答えを出されぬまま蒼真は険しい表情で迷っているのであろう彩音を見ては黙り込んでいた。
更に日が経ち期日の前日。
朝から姿を見せぬ蒼真が気になりながらも答えを出すため葛藤し続けていた。そして日も暮れ始めた夕方、空がオレンジ色に染まる中部屋の中にいた彩音は虚空に向け名を呼んだ。
「蒼真」
名を呼べば、音もなく青白い光と共に姿を現し目の前に立つ彩音へ視線を向け
「……決めたのか」
「うん」
部屋が静まり返り、緊張が走るように手を握り込む彩音を蒼真は無言で見つめており彼女から発される答えをただ待ち続けた。
「私は……」
まるでその『答え』を出す事を躊躇うように詰まった様子に蒼真は心の中でその答えを察し、僅かに視線を伏せた時その答えは明かされた。
「……試験を続けるよ」
「……!」
答えが出た瞬間蒼真は驚いたように視線を上げると僅かに口を開け、彩音を見ると
「な……何故だ。あの場でお前が戦うことは出来ず、見ていることしか出来ないというのに続けると言うのか?」
「……」
「あんなにも恐怖に怯えて怖い思いをして、あの場ではお前が思う『望み』を叶えられないというのに……」
そのまま何秒もの時が経ち、唖然としていた蒼真の前で彩音は目を伏せながら胸に手を当てると握り込んだ。
そして開かれた口に蒼真が反応すると
「蒼真は私の全てを見てきて……だからきっと私が何で戦えるようになって、何で守護者になったのかも知ってると思う」
「…………」
「私が神様に奇跡を願っていて、それから神様を嫌っていたことも」
何故この地に来るまでこの国の外にいたのか、そこで何をしていたのか全て見てきた。この人間にとって、この世界がいかに無価値なものと感じているのかも知っている。
それなりの成績をとって、それなりに友達も出来て笑って生きて。平和な今の時代、この国の人間ならさほど難しくないごく普通のこと。
「でも誰も言葉にしなくても求められてる当たり前の事が私には出来なかった。どうして私には当たり前の事が出来ないんだろうね?」
「…………」
「この国に私の居場所はなくて。有名人になりたいとか、お姫様になりたいとか何も特別な事なんて望んでなかったのに。ただ『普通』に生きたかっただけなのに」
間が空き静まり返る室内。
そう悲しい表情で笑みを浮かべながら嘆く理由も意味も蒼真は知っていながら聞いては黙り込んでいた。
そのまま時が経ち、再び声が聞こえ
「蒼真、言ったよね。蒼真は天使となり使命を受け果たすのが天界人としての当たり前だからこの試験に参加してるって」
握っていた手を強く握り直すと蒼真へ視線を上げながら
「私は……当たり前のことが出来ないなら出来ないなりにこの『命』の意味を知りたい。生きてる意味を知りたいんだ」
もし人は必ず死ぬ存在なんだとしたら、その時これまでの生に意味が欲しい。そう投げかけ蒼真に真っ直ぐ視線を向けて投げかける。
「言ったよね。蒼真も天界人として天使の称号や使命を受けてまで使命を果たす意味がよく分かってないって。その必要性、存在意義がいまいち分からないって」
「…………」
「だから、この試験で蒼真の思う天界人としての存在意義を……天使になる理由を考えて教えて。その代わり、私もこうして生きる理由を考えるから」
(天使になる理由……か)
更に時が経ち深夜、静まり返った街の中蒼真は家の前で空に浮かんだまま投げかけられた事を思い出す。
(難しい事を言うし、結局何故試験を続ける決断をしたのかいまいち分からないな。……だが、始めからあいつは何故そう思い至るのか分からないことばかりだった)
こうして直にやりとりを始めれば、人間というものがいかに不可解な生き物かを実感させられ蒼真もまた心の中に問いかける。
何故天使は魂を導き守るのか。その役目を果たす天使とは一体どんな存在なのかを。そんな時隣に白く淡い光が舞い降り視線を向けるとその光はやがてハクの姿を現した。
「決断されたようですね」
「……」
投げかけに対して蒼真は黙り込んだまま俯いていると、そんな蒼真を見ながらハクは言葉を続ける。
「天界試験がいかに厳しいものか分かったでしょう? それだけ天界にとってこの試験は大切で重要なものなのですよ」
「お前は……天使をどう思ってるんだ」
ふと投げかけられた言葉にハクは言葉を止めると顎に手を置き考えるように答える。
「母のような存在……でしょうかね」
それに蒼真から視線を向けられるとハクは目を伏せながら
「ありとあらゆる魂を導き、時に穢れを浄化する。天上の存在と言えど私は地上の存在と大差ない役割だと思いますよ」
「何……?」
「どんな生き物も母親というものは存在していて、母の愛や導きをもって導かれていくもの。時に愛し時に叱り……それは我々天使の役目と似ていると思えませんか?」
全てを導き正しい場へ送る為、天使は純白でなくてはならないし正しい存在でなくてはならない。ありとあらゆる魂を導く為に。
「貴方の掲げる天使というものは貴方にしか分からないものですが、その尊さ分からずして天使というものは務まらないと思いますよ」
「……」
「それだけ重要で、なくてはならない存在なのですよ」
(そんな存在に俺はなろうとしているのか)
天使とは魂を導く存在で、いつかは契約者となったあいつの魂も天使によって導かれるのだろう。
そして導かれた魂は巡り巡ってまた新たな生命として舞い降りる。
「最終試験ともなれば周りの実力も跳ね上がります」
「分かってる。それでも俺は負けるわけにはいかないんだ」
「…………」
「あいつの為にも」
決意するように拳を握り、そう呟く蒼真を見ていたハクはふと問いかけた。
「何故天界試験において、天界人は人間と契約を結ぶか分かりますか?」
「それは、試験においてそれが条件であり、契約を通じてより強い力が解放出来るからでは無いのか」
「違いますよ」
そう首を振られ目を丸くすると
「知識や実力はいくらでも磨くことは出来れど、たった一つ天界では知ることの出来ないものがあります。それは……導くべき命の尊さ」
「…………」
「我々の導く魂を持つ存在がどんなものか、その命の尊さを知る為に契約というものが義務化されているのですよ。尊さ知らずして正しく導いたり浄化する事など出来ませんから」
「命の尊さ……」
「貴方は何故そこまでして天界試験に意気込むのです?」
そうハクは蒼真へ視線を向け直し
「その答えが……契約にて貴方が得た天使と導くべき魂に関する答えになります」
そしてハクは笑みを浮かべると
「最終試験まで残り僅かではありますが、まだ出来ることは十分ありますよ。例えば……実戦慣れしておくとか」
「……!」
口角を上げていたハクへ視線を向けると微かに表情を歪ませるが彼は笑みを浮かべたまま
「まだ少し時間があります。一日弱あれば少しは実戦に慣らすことも出来るでしょう」
「……いいだろう」
沈黙の果てに聞こえた声にハクが視線を向けると蒼真もまた視線を上げ、真剣な眼差しを向けながら口を開き
「明日一日手合せに付き合ってやる。俺は……強くならなくてはならないんだ。あいつの為にも」
時は経ち金曜日の夜。
最終試験前日となった彩音はある決意を元に階段を降りるとリビングに入り、その中にいる啓へ呼びかけながら視線を向けた。
自身が呼びかけることはあれど、逆は珍しい光景の為呼ばれた啓は目を丸くしながら彩音へ視線を返し聞き返す。
「お嬢様、如何されましたか?」
「…………」
扉の近くに立ち止まり後ろで手を組んでいた彩音はその組んでいた手を離し
「ちょっと……話があるんだ」
間もなく啓の前まで来た彩音は向き合う形で立ち、背けていた目を小刻みに向けながら
「……実は、ある理由で今ある事をしていて……私が戦う訳じゃないんだけど、少し危険な事になるかもしれないんだ」
そう切り出すと啓の表情が変わり彩音もそれに気づき視線を俯かせながら
「その……もしかしたら死ぬかもしれなくて、絶対平気とは言いきれないんだ」
言葉を失ったままの姿に彩音は当然だと思いながらその心の内を明かしていく。
「言いたくない訳じゃなくて言えないんだけど……」
と言いかけた時隣に青白い光が舞い降り彩音は視線を向けると目を丸くした。
そのまま光は彩音の隣で青い髪の少年の姿となり舞い降り、啓もまた唖然とした表情で宙に浮く少年に視線を向けた。彩音が唖然としている中蒼真は彩音に視線を向けると
「本来天界人は契約者、及び天に通じる者以外には姿を見せるべきではないのだが……事情が事情な以上明かさない訳にもいかないだろう」
と彩音から啓に視線を移すと彩音は蒼真の言葉の意図を理解し、啓に投げかけるとその声に啓は反応する。
「詳しくは話せないけど、可能性がある限り話さないといけないと思って。この子は……蒼真。今、蒼真が受けてるある試験に協力してて、試験を受けるには私が必要なんだ」
少年が地から浮いている事から言われずとも彼は人間ではないと察し、そのまま彩音の話が続くと
「これは蒼真の為の試験だからルールで私の戦う力も一切使えなくて……。私が戦う訳じゃないけど危険な事には変わりないんだ」
「…………」
「でも、これは私にとって必要な事なんだと思うんだ。これは……私にとっても必要な一つの試練なんじゃないかって思って」
「何……?」
その声に反応したのは蒼真で、蒼真は声を上げると唖然とした様子で彩音へと視線を向けた。そして同時に彼女から発せられる雰囲気がこれまでと変わっている事に気づくと言葉を止める。
「お嬢様にとっての、試練……?」
そう問いかける啓に対して確かな意思を示すかのように真剣な眼差しを向け、彼女は口を開くと己に置かれた状況と、特別な力の経緯を話し始めた。
「私は……信じられないかもしれないけど、ある神様から守護者として選ばれて特別な力をもらったの。そんな守護者の使命は迫る危機から世界を守る事で……」
「…………」
「だから戦うことは私に与えられた使命でもあって……私は守護者としての力や魔法が使えるからあんなに怖い魔物とも戦えたんだ」
やがて陰を落とした表情に啓が気づくと彩音は視線を伏せながら
「でも、もし魔法が使えなかったら……あの力が無かったら戦うことなんて出来ないんだ。……小さい時から怖いことが嫌いだったから」
蒼真は黙り込んだまま目を伏せる。
そして啓が静かに聞き入れる中彩音は薄ら笑いを浮かべ
「これでも私は守護者の中でも一応『勇気の守護者』って言われてるんだ。だけど私に勇気なんてないと思ってる」
勇気の守護者として選ばれる前から、この国の外で出来事に巻き込まれる度に関わった人達は私を見て勇気があるって言ってくれた。
でも違うんだ、と重ねて彩音は首を振った。
外国で目の前の人を助けようとしたのは、襲い来る者を退かなければ自分の命もまた危なかったからで、目の前で苦しんでる人を見て助けたいと思ったのは見ていられなかったから。
「全部自分の為だよ。本当に勇気のある人は、力の有無関係なく手を差し伸べようとするし守ろうとするはず。自分の事なんて考えずにね」
本当の意味で私に勇気なんてものはなく、勇気の守護者として選ばれた理由が分からずにいる。緋香琉やクロス……他の守護者の中で自分が一番弱い人間だと認めているかのように話していった。
「世界を守れる力があっても、こんな弱さじゃ駄目だって分かってる」
たとえ力が使えなくても勇敢に立ち向かえるような心でないと守護者とは言えない。本当の意味で勇気ある人間とは言えないと。
そして視線を上げると
「だからこれは……私が本当の意味で強くなる為の試練なのかもしれないとも思うんだ。戦うのは私じゃないけど……」
代わりに戦う蒼真を信じることもまた強さだと話すと蒼真は目を丸くし、その意味を説明するよう心の内を明かしていく。
「勝敗を分ける鍵は『信じる心』にあるんだって。私にとってそれは一番難しい事で、もっと違う人間と組んだ方が良かったんじゃないかとさえ思えて」
(だけどこの契約が生まれた時から決まっていて、これが決められた運命だったのだとしたのなら……)
「……変わるチャンスかもしれないんだ」
「……わかりました」
沈黙の果て、聞こえた声に彩音は表情を変え啓へ視線を上げた。
啓は確かに不安を抱えた表情をしながら小さく息を吐き、呆然と視線を向ける彩音に対して口を開いた。
「お嬢様がそう決められたことなのであれば、私に止める権利はないでしょう」
「……」
「私はお嬢様がこれまでなされてきた事の全ては存じ上げません。戦う術を持ち、海外を旅されていたとしても……具体的にどこで、何をされていたかは何も知りません」
俯きながら話していた顔を上げると彩音へ視線を向け
「神月家に仕える執事としては止めるのが当然なのでしょうけど、今お話された事が本当なら……『私』としては止めるべきではないと思うのです」
「……どういうこと?」
「従者としてすべき判断と私個人としての思いは別ということですよ。今も、貴方が彼と何をしようとしているのか分かりませんが……『変わるチャンス』……そう思えたのなら」
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