顔が良い妹の方が相応しいと婚約破棄したではありませんか。妹が無能だったなんて私の知ったことではありません。

木山楽斗

文字の大きさ
74 / 83

74.婚約について(モブ視点)

しおりを挟む
「えっと、ルルメリーナ嬢は婚約の何について悩んでいるのでしょうか?」
「うーん、それはわかりません」
「例えば、婚約そのものについて不安を感じているとか、ですか? 結婚したくないと思っているとか」
「結婚したくない、ですか? うーん、どうなんでしょう?」

 イルヴァドの質問に対して、ルルメリーナは曖昧な回答を返していた。
 彼女自身が悩みを理解していないのは、中々に厄介なものである。困った顔をしているイルヴァドを見ながら、ノルードは頭を抱えていた。
 まずはその悩みがなんなのかを解き明かさなければならない。そう思ったノルードは、ネセリアの方を見る。

「ルルメリーナ様、もしかして婚約者について何か理想などがおありですか?」
「え?」
「こういった男性が好みであるとか、そういった事柄です。その理想を叶えられるか、不安を感じているのではありませんか?」
「うーん、理想とかはそんなにないかも」

 ネセリアの言葉に、ルルメリーナはゆっくりと首を振った。
 婚約者について、そこまで気にしていないということは、具体的な相手がいるという訳でもなさそうだ。となると、やはり結婚そのものに悩んでいるのではないか。ノルードは、そう思った。

「イルヴァド様、貴族の結婚というものは、難しいものなのでしょうか?」
「難しいということでも、ないとは思いますよ。ルルメリーナ嬢の場合は、お父上が婚約を決めるということになりますが……基本的にはどこかの嫡子に嫁ぐことが望ましいでしょうね」
「つまり、貴族の夫人になるということでしょうか?」
「ええ、まあもちろん、ノルードさんやネセリアさんのご両親のような場合もありますね。使用人などとして生きていくとか」

 ノルードの質問に、イルヴァドはすらすらと答えてくれた。
 それはもちろん、ありがたいものである。ただ、ノルードは思っていた。ルルメリーナが、使用人として生きていくのは無理ではないかと。
 彼女は、中々に奔放な性格である。礼儀や作法を重んじる使用人には、向いているとは思えない。

 ただ、同時にノルードは思った。それは別に、貴族の夫人になっても変わらないと。
 ルルメリーナには、もしかしたら貴族には向いていないのかもしれない。ノルードは、そんなことを思ってしまった。

「うーん、どれも私には難しそうですね」
「そうでしょうか? ルルメリーナ嬢なら、なんだかんだ上手くやれると思いますが」
「そうですかねぇ」

 ルルメリーナの将来について、ラスタリア伯爵夫妻はどう思っているのか。ノルードはそれが気になっていた。
 具体的に考えていないということもないだろう。ルルメリーナにも、両親と話すことを勧めた方がいいかもしれない。ノルードは、そんなことを思うのだった。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
【コミカライズ決定の情報が解禁されました】 ※レーベル名、漫画家様はのちほどお知らせいたします。 ※配信後は引き下げとなりますので、ご注意くださいませ。 愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…

まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。 お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。 なぜって? お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。 どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。 でも…。 ☆★ 全16話です。 書き終わっておりますので、随時更新していきます。 読んで下さると嬉しいです。

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

婚約破棄をされるのですね? でしたらその代償を払っていただきます

柚木ゆず
恋愛
「フルール・レファネッサル! この時を以てお前との婚約を破棄する!!」  私フルールの婚約者であるラトーレルア侯爵令息クリストフ様は、私の罪を捏造して婚約破棄を宣言されました。  クリストフ様。貴方様は気付いていないと思いますが、そちらは契約違反となります。ですのでこれから、その代償を払っていただきますね。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

『婚約破棄されたので王太子女となります。殿下より上位です』

鷹 綾
恋愛
「君は王太子妃に相応しくない」 その一言で、私は婚約を破棄されました。 理由は“真実の愛”。選ばれたのは、可憐な令嬢。 ……ええ、どうぞご自由に。 私は泣きません。縋りません。 なぜなら——王家は、私を手放せないから。 婚約は解消。 けれど家格、支持、実務能力、そして民の信頼。 失ったのは殿下の隣の席だけ。 代わりに私は、王太子女として王政補佐の任を命じられます。 最初は誰もが疑いました。 若い、女だ、感情的だ、と。 ならば証明しましょう。 怒らず、怯えず、排除せず。 反対も忠誠も受け止めながら、国を揺らさずに保つことを。 派手な革命は起こしません。 大逆転も叫びません。 ただ、静かに積み上げます。 そして気づけば—— “殿下の元婚約者”ではなく、 “揺れない王”と呼ばれるようになるのです。 これは、婚約破棄から始まる静かな逆転譚。 王冠の重みを受け入れた一人の女性が、 国を、そして自分の立場を塗り替えていく物語です。

自滅王子はやり直しでも自滅するようです(完)

みかん畑
恋愛
侯爵令嬢リリナ・カフテルには、道具のようにリリナを利用しながら身体ばかり求めてくる婚約者がいた。 貞操を守りつつ常々別れたいと思っていたリリナだが、両親の反対もあり、婚約破棄のチャンスもなく卒業記念パーティの日を迎える。 しかし、運命の日、パーティの場で突然リリナへの不満をぶちまけた婚約者の王子は、あろうことか一方的な婚約破棄を告げてきた。 王子の予想に反してあっさりと婚約破棄を了承したリリナは、自分を庇ってくれた辺境伯と共に、新天地で領地の運営に関わっていく。 そうして辺境の開発が進み、リリナの名声が高まって幸福な暮らしが続いていた矢先、今度は別れたはずの王子がリリナを求めて実力行使に訴えてきた。 けれど、それは彼にとって破滅の序曲に過ぎず―― ※8/11完結しました。 読んでくださった方に感謝。 ありがとうございます。

処理中です...