7 / 58
7.優しい王子
しおりを挟む
「隣に座っても構いませんか?」
「ええ、どうぞ」
レリクス様は、私の隣にゆっくりと座った。
彼は、ずっと笑顔を浮かべている。その作り笑いも美しい。彼の顔を見て、私は改めてそう思っていた。
レリクス様は、綺麗な人である。
端正な顔立ちに、長い白髪。どこか儚げな雰囲気な彼の顔に、思わず私は見惚れてしまう。
「……私の顔に、何かついていますか?」
「え? いえ、そういう訳ではありません」
「……ああ、もしかして、この白髪が珍しいんですか?」
「そ、その……」
「大丈夫ですよ。慣れていますから」
レリクス様は、私が白髪を見ていたと思っていたようだ。
確かに、それは珍しいものである。だが、別にその一点に見惚れていた訳ではない。
ただ、それを素直に言うのも、少し恥ずかしかった。そのため、私は黙ってしまう。
しかし、それが良くないことだということはわかっている。
実は、レリクス様は白髪を気にしているのだ。恐らく、今彼はいい気分ではないだろう。
だが、今更取り繕っても意味はない。そんなことをしても、言い訳にしかならないだろう。
「……どうやら、悪い意味で私を見ていた訳ではないようですね」
「え?」
「あなたが、そういう目をしていましたから」
そんな私の考えをレリクス様は、一瞬で見抜いてきた。
驚いた私だったが、すぐに思い出す。そういえば、彼はそんな感じの人だったのだと。
レリクス様は、他者の機微に敏感な人なのだ。
人の様子をよく観察して、何を考えるかを当てる。ゲームの中でも、その特技を何度も発揮していた。
「本当は、何を考えていたのでしょうか? よろしかったら、教えてもらっても構いませんか?」
「えっと……実は、レリクス様が綺麗だと思ったのです」
「綺麗、ですか……」
隠しても無駄だと思ったので、私は素直に思ったことを言ってみた。
すると、レリクス様は驚いたような表情になる。流石に、綺麗と思われていたことは、彼でも驚くことだったようだ。
「なるほど……私に、見惚れていた、ということでしょうか?」
「はい、そういうことです」
「ありがとうございます……お礼を言うのもおかしいのかもしれませんが」
「そうですね……」
私とレリクス様は、笑い合った。
おかしな会話をしていると思ったからだ。
その笑顔を見ていて、私は少し考える。これも、作り笑いなのだろうかと。
根拠はないが、そうではない気がする。それは、願望といえるのかもしれない。
こんな風に笑い合っているのに、それが偽りだなんて、私は思いたくないのだろう。
「ええ、どうぞ」
レリクス様は、私の隣にゆっくりと座った。
彼は、ずっと笑顔を浮かべている。その作り笑いも美しい。彼の顔を見て、私は改めてそう思っていた。
レリクス様は、綺麗な人である。
端正な顔立ちに、長い白髪。どこか儚げな雰囲気な彼の顔に、思わず私は見惚れてしまう。
「……私の顔に、何かついていますか?」
「え? いえ、そういう訳ではありません」
「……ああ、もしかして、この白髪が珍しいんですか?」
「そ、その……」
「大丈夫ですよ。慣れていますから」
レリクス様は、私が白髪を見ていたと思っていたようだ。
確かに、それは珍しいものである。だが、別にその一点に見惚れていた訳ではない。
ただ、それを素直に言うのも、少し恥ずかしかった。そのため、私は黙ってしまう。
しかし、それが良くないことだということはわかっている。
実は、レリクス様は白髪を気にしているのだ。恐らく、今彼はいい気分ではないだろう。
だが、今更取り繕っても意味はない。そんなことをしても、言い訳にしかならないだろう。
「……どうやら、悪い意味で私を見ていた訳ではないようですね」
「え?」
「あなたが、そういう目をしていましたから」
そんな私の考えをレリクス様は、一瞬で見抜いてきた。
驚いた私だったが、すぐに思い出す。そういえば、彼はそんな感じの人だったのだと。
レリクス様は、他者の機微に敏感な人なのだ。
人の様子をよく観察して、何を考えるかを当てる。ゲームの中でも、その特技を何度も発揮していた。
「本当は、何を考えていたのでしょうか? よろしかったら、教えてもらっても構いませんか?」
「えっと……実は、レリクス様が綺麗だと思ったのです」
「綺麗、ですか……」
隠しても無駄だと思ったので、私は素直に思ったことを言ってみた。
すると、レリクス様は驚いたような表情になる。流石に、綺麗と思われていたことは、彼でも驚くことだったようだ。
「なるほど……私に、見惚れていた、ということでしょうか?」
「はい、そういうことです」
「ありがとうございます……お礼を言うのもおかしいのかもしれませんが」
「そうですね……」
私とレリクス様は、笑い合った。
おかしな会話をしていると思ったからだ。
その笑顔を見ていて、私は少し考える。これも、作り笑いなのだろうかと。
根拠はないが、そうではない気がする。それは、願望といえるのかもしれない。
こんな風に笑い合っているのに、それが偽りだなんて、私は思いたくないのだろう。
333
あなたにおすすめの小説
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」
千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。
だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。
それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。
しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。
怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。
戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~
Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。
しかも悪役令嬢に。
シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り!
私は自由に生きていきます。
※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。
※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる